公営企業会計決算特別委員会 (複合災害時の都営地下鉄の浸水対策・外国人の医療費未収金の徴収対策について)
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平成23(2011)年11月14日
公営企業会計決算特別委員会
〇吉田委員 よろしくお願いいたします。私からは、まず、災害時における都営地下鉄の浸水対策についてお伺いいたします。 タイの大規模水害に関するニュースが連日報道されています。首都バンコクにも大量の水が流れ込み、都市機能が完全に麻痺している状況であります。 原因は、例年に比べて雨量が多かったこと、上流の二つのダムが満水になったため同時に放水したことや、森林伐採による山の保水力が低下したことといわれていますが、まさに、水害によって国家存亡の危機に直面をしているといっても過言ではない状況であります。 タイ政府は軍を動員して厳戒態勢を続けていますけれども、水が引いて、市民生活が正常に戻るのにどれだけの日数がかかるのか、想像を絶するところであります。 東京でも、近年、ゲリラ豪雨が頻繁に発生していますけれども、特に地下空間を走る地下鉄への影響は非常に心配されます。一たび駅の出入り口から浸水しますと、一日、二百三十万人が利用している都営地下鉄も大きな影響が出て、都民生活に及ぼす影響は極めて深刻なものになると考えます。 そこでまず、都営地下鉄では、これまでどのような浸水対策に取り組んできたのか伺います。
〇野澤交通局長 都営地下鉄では、周辺の地形を考慮いたしまして、浸水のおそれのある九十四駅の出入り口に止水板や防水扉を設置し、また歩道上の九十カ所の換気用通風口には、浸水防止機を設置してまいりました。 あわせまして、駅出入り口からの浸水のおそれを想定いたしまして、都営地下鉄の各部門が合同で、毎年、止水板や土のう設置、情報伝達などの自然災害防止訓練を実施し、職員の緊急時における対応能力の向上を図っております。
〇吉田委員 これまで局がさまざまな浸水対策に取り組んでいることがわかりましたが、東京の湾岸部や東部には、地盤高が満潮時の海水面以下の地域、いわゆるゼロメートル地帯が広がっています。 ゼロメートル地帯は台風等による浸水の危険性が高い地域ですが、都営地下鉄も、新宿線や大江戸線は、ゼロメートル地帯の江東区、墨田区、江戸川区を走行しています。 一方、都心部においても、かつて集中豪雨や台風により、地下鉄駅出入り口から駅構内へ浸水が発生するなどの被害が報告されています。 今、答弁にありました出入り口の止水板や防水扉は、こうした浸水の可能性を想定して設置していると思いますけれども、現在、浸水対策はどのような想定に基づいて行っているのか伺います。
〇野澤交通局長 交通局では、これまで周辺の地形を考慮いたしまして、出入り口及び通風口からの雨水の流入を想定して、先ほどお答えしたような浸水対策を行ってまいりました。 こうした中、近年、集中豪雨が各地で頻発していることを受けまして、各区が作成いたしましたハザードマップに示されている浸水範囲とその程度に基づき、改めて出入り口や通風口を検証いたしました。 その上で、対策を強化する必要がある一部の箇所につきまして、止水板のかさ上げなどの対策を実施していくこととしております。
〇吉田委員 出入り口や通風口の浸水対策は、各区のハザードマップに基づいて講じていくということはわかりました。しかしながら、ことしになって、想定外という事例が多く発生しています。 例えば、三月十一日に発生した東日本大震災では、想定を上回る津波が発生したため、原子炉を冷却するための電源設備が被害を受け、冷却機能を失うという想定外の事態が深刻な状況を生んでおります。 同様なことが地下鉄でも起こり得ることが懸念されます。駅出入り口からの浸水を防止できても、地下鉄の走行に必要な電気を送る施設が浸水してしまうと、当然ながら地下鉄の運行がストップしてしまいます。聞くところによれば、新宿線などの電気施設もゼロメートル地帯に設置されているとのことです。 そこで、ゼロメートル地帯にある電気施設について浸水対策を講じているのか。講じている場合には、どのような対策を講じているのかお伺いします。
〇野澤交通局長 新宿線の変電所のうち二カ所は、いわゆるゼロメートル地帯にございます。 この変電所は、東京電力から供給された電力を、駅や電車の走行に必要な電力に変換する電気施設でございます。このため、この施設の建物の出入り口には防水扉を設置いたしまして、浸水を防ぐ構造といたしております。
〇吉田委員 電気施設についても、可能な対策を講じているということがわかりました。 ところで東日本大震災では、死者、行方不明者が約二万人、その大半が津波による犠牲者といわれています。津波の怖さを改めて認識させられる災害でした。 震源地から遠く離れた東京湾でも、これまでの想定の津波の高さ一・二メートルを超える、一・五メートルの津波を記録しています。江戸元禄期に発生した関東地震では、二メートルの津波が起きていたという分析もあります。 先日の東京都総合防災訓練において、臨海部で初めて津波を想定した訓練が実施され、水路の水門や道路の陸閘を閉鎖しました。まさに、津波からの浸水を防ぐ実践的な訓練だったと思っています。 そこで、これまでの都営地下鉄の、津波に対する対策について伺います。
〇野澤交通局長 津波警報が発令され、出入り口等から浸水のおそれがある場合には、列車の運行を次の駅で中止し、お客様を迅速に地上へ避難誘導することといたしております。
〇吉田委員 ただいまの答弁で、これまでの対策は集中豪雨を想定した浸水対策で、津波警報が発令され浸水のおそれがある場合は、お客様を避難誘導するということがわかりました。しかし、想定外のことが起きてしまった東日本大震災の教訓として、これまでの想定を見直すことは当然であります。 第三回定例会の代表質問で我が党の増子議員が−−東京においても、これから政府が検討を始める三連動地震のような大地震が発生し、満潮時に台風による高潮が重なり、ゼロメートル地帯で冠水するという複合災害が最悪の想定の一つとして懸念される。万々が一、海水などが浸水してしまった際に、被害を最小限に抑え込んでいく減災のために、都は早急に想定と対策を検討し始めるべきだと見解を求めましたところ、総務局長から−−万が一、浸水が起きた場合の迅速かつ的確な情報提供や避難誘導体制の整備など、対策を一層充実させることにより、減災に取り組んでいく旨の答弁がありました。 従来の想定では不十分であって、今後は新しい想定に基づいた対策が必要です。マグニチュード八クラスの地震が発生し、三連動あるいは五連動地震が起これば、ゼロメートル地帯では、地盤沈下も可能性を考慮すると、七メートルぐらいの津波に対応できる、七メートルぐらいの津波が来ることを想定する必要があると思います。まさに、最悪のシナリオも想定しなくてはなりません。 先般、我が党の防災対策小委員会が東京の防災対策への提言を取りまとめ、都に提出いたしましたが、その中でも、震災時の津波の検証と対策の見直しを求めたところであります。 交通局が毎年作成している冊子「都営交通のあらまし」に、浸水対策としてトンネル内の防水扉が写真つきで紹介されていましたので、交通局のご担当の方にどのような目的で設置をしているのかお聞きしましたところ、地震等により隅田川の下のトンネルが損傷し、河川水がトンネル内に流入した場合の被害拡大を防ぐために設置したということでありました。隅田川が底が抜けて、地下鉄にがあっと水が入ってしまったときのためにということであります。私は、この取り組みは、万々が一の場合を想定したすばらしい取り組みだと思っています。 しかしこの防水扉も、新宿線と大江戸線に設置されているものは電動で遠隔制御できるタイプのものですが、浅草線に設置されている防水扉は古いですから電動ではなく、係員がその場に行って手動で閉めなくてはならないタイプのものだそうです。いずれは電動式のものにかえなければいけないと思います。 また、津波を想定した場合、出入り口からの浸水を止水板だけでは到底食いとめることができず、出入り口全体をふさぐ構造の防水扉、この想定が高いところでは、また古い場所では、この出入り口全体をふさぐ防水扉がありますが、今、止水板だけでやっているところでも、防水扉の設置、つくり直す必要があると思います。 現在、国や東京都は、東日本大震災を踏まえて新たな想定づくりに着手しています。そこで、津波に対する新しい想定が出た場合、交通局はどのような対策を行うのか。また、想定が出るまでの間も現状把握をしっかりと行うべきだと考えますが、見解を伺います。
〇野澤交通局長 今後、津波に関する新たな想定が出た場合につきましては、その想定に基づき、必要なハード対策や、お客様をより安全に避難誘導するための具体的な避難場所等につきまして関係機関と連携し、対策を検討してまいります。 また現在、首都圏の地下鉄道の浸水防止対策協議会に参加をいたしまして、国や鉄道事業者と、浸水防止対策やお客様の避難誘導方策につきまして意見交換を行っているところでございます。 今後とも関係機関と、必要な情報共有に努めてまいります。
〇吉田委員 ありがとうございます。ハード対策には多額の経費がかかることがもちろん想定されます。鉄道事業者だけが負担するのではなく、例えば、国や都の一般会計からの補助金制度を創設することについても、私も要望してまいりたいと思います。 いずれにしても、常に利用者、都民の命を守り、また財産を守るという強い意識を持って、ハード、ソフトの両面からしっかり浸水対策を検証し、より災害に強い都営交通を目指していただくことを要望いたします。 次に、都立病院におきます外国人の未収金問題について質問をさせていただきます。 我が国の医療保険制度は、生活保護受給者を除いて国民のすべてがいずれかの公的な医療保険に加入する、国民皆保険のもとに運営されております。 国民すべてがいつでもどこでも、わずかな負担で繰り返し高度な医療を受けることができるというのが国民皆保険の意義であります。 ところが、都立病院における事務の執行管理を取り上げた平成二十二年度の包括外部監査では、都立病院における個人の過年度未収金残高が毎年一〇%近く増加しているとの指摘がありました。 去る十月二十八日の公営企業会計決算特別委員会第二分科会では、我が党の島田委員から個人未収金について質疑を行ったところでございますけれども、平成二十年七月十日の、厚生労働省の「医療機関の未収金問題に関する検討会報告書」を読みますと、「関東、愛知県、静岡県等においては、未収金患者に占める外国人の比率も高いことから、地域の実情に応じた取り組みが重要である」と指摘しています。 さまざまな要因によりまして、我が国に入国、滞在する外国人は増大しており、外国人による未収金問題が顕著化している状況がうかがえると思います。 そこで、都立病院では過年度未収金がどの程度発生し、どの程度回収ができているのか。また、そのうち外国人分の金額、全体に占める割合は、どの程度なのかお伺いします。
〇川澄病院経営本部長 平成二十二年度に新規に発生した過年度未収金、したがって二十一年度の未収金のうち、二十二年度中に回収できなかった未収金額は約一億七千百万円でございました。 また、過年度未収金のうち、二十二年度一年間で回収や不納欠損により縮減できた金額は約一億四千三百万円であり、差し引きで、前年度対比では約二千八百万円増加しております。その結果、二十二年度末現在、過年度未収金の金額は約十一億八千四百万円となっております。 なお、外国人から回収できた未収金の金額、全体に占める割合については、把握をしてございません。
〇吉田委員 十一億八千四百万円というのは大変大きな金額であります。しかし、この中で、外国人から回収できた未収金の金額を把握していないというのは意外であります。 それでは、都立病院における外国人患者の割合はどれくらいなのかお伺いします。
〇川澄病院経営本部長 一般的には、受診に際し患者の国籍を問うておりませんので、外国人患者数の全数の把握は行っておりませんが、過去に実施したことのあるワンウイーク調査結果では、都立病院全体で、外国人受診者の割合はおおむね一%程度でございました。
〇吉田委員 ありがとうございます。外国人の受診者は、ワンウイーク調査では一%程度ということでありました。この数字は、日本にいる外国人の割合を勘案してみますと、ある程度妥当なものではないかと考えます。 それでは、診療に関する二十二年度末未収金のうち、外国人が占める金額及びその割合がどれくらいなのか伺います。
〇川澄病院経営本部長 外国人の滞納状況としましては、病院の担当者が氏名や面談等から外国人と判断し、集計した数字になりますけれども、平成二十三年三月末現在、現年度分を含め約三千八件、約二億七千四百万円。全体に占める未収金額の割合は約一三%でございます。 また、把握している範囲での国別の割合では、件数、金額ともに、フィリピン、韓国、中国の順となっております。
〇吉田委員 ありがとうございます。お手数を煩わせて調べていただいてありがとうございました。 患者の数は、外国人の方は受診者一%。しかし、未収金、医療費をいただけないというのは一三%。未収金の割合が受診者数の割合に比べて、十倍以上高い状況にあるということがわかります。 そこで、都立病院を受診する外国人の医療費負担の現状について、医療保険制度も含めてお伺いします。
〇川澄病院経営本部長 日本に合法かつ中長期間滞在する外国人は、原則として日本の公的医療保険に加入することになります。具体的には、まず健康保険の適用事業所に雇用されている外国人就労者及びその家族は、健康保険に加入することを原則としております。 また、無職、留学生、その他週二十八時間以内のアルバイト等をしている外国人は、居住地に外国人登録をし、一年以上の在留期間があり、または一年以上の在留が見込まれる場合には、国民健康保険に加入することになります。 一方で、観光客等の一年未満の在留が見込まれる短期滞在の外国人は国民健康保険に加入することができず、医療費を全額自費で支払うことになります。このような方については、氏名、住所等連絡先の確認を行うことになります。
〇吉田委員 我が首都東京は、もとより外国人の多い地域でありまして、また政府の方針が、数次査証いわゆるマルチビザの発給など、ビザ緩和の方向にありますことから、今後外国人の入国滞在者数がふえ、未収金問題もより深刻化していくことが懸念されます。外国人が診療費を支払わなければ、病院の不良債権、すなわち国民、都民の負担がふえていくということになります。 しかし、都立病院では、外国人患者の未収金について、厚生労働省の報告書でも取り組みが重要と指摘しておりますけれども、把握もしていないというか、そういう問題意識を持たずに診療を行い、残念ながら何ら手を打っていないというように感じます。 坂東忠信さんという方がいらっしゃいます。警視庁に十八年勤務され、そのうち約八年間を、北京語を使う刑事、通訳捜査官として、中国人犯罪者を延べ千四百人取り調べた、まさに現場を知り尽くしたプロの方です。 その方の著書「通訳捜査官」という本には、「私が扱った中国人被疑者や参考人」、参考人というのは被疑者じゃなくて普通の方ですね、「参考人のうち半数近くは、なんと密入国者だった。」、中略、「また私の接した中国人を見ていると、正規入国者の半分近くは、滞在期間なんてほとんど気に掛けていない。」、中略、「私は何度もごくありふれた密航者の部屋にガサ入れに行き、彼らの部屋に散らかっていた、たくさんの開錠練習用ドアノブと開錠用具、偽造テレカ、偽造旅券、各種の偽造回数券などをこの目で見てきた。」、中略、「経験から言って、東京では就学生など正規滞在の中国人ですら、職質(職務質問)を食らってヤバイものを一切持っていないということのほうが珍しかったのである。」と書かれています。 この坂東さんにお話をお伺いしました。そうしますと、外国人の中では、一枚の保険証を知人が何人もで使い回す成り済ましの使用が当然のように行われているということであります。 都立病院の未収金が課題となっている現在、外国人の未収金が多いことを考慮すると、受診に際してその外国人の方が保険証の本人かどうかをきちんと確認していく、これは、外国人による未収金を予防する第一歩ではないでしょうか。 まず、一部の外国人が保険証の使い回しをしているという事実をどのように受けとめておられるか。また、外国人が保険証を提示した際の本人確認を、どのように行っておられるのか伺います。
〇川澄病院経営本部長 我が国の医療保険制度では国籍を加入の要件としておらず、また医師法第十九条により、医師は正当な事由がなければ診療の求めを拒んではならないという応招義務がございます。 このため、基本的にはだれでも、いかなる医療機関においても受診することが可能であり、保険証の提示があれば通常の対応を行っております。
〇吉田委員 今のご答弁、応招義務があるのは当然です。診るなといっているんじゃないんです。本人確認をしてくれといっているわけです。今のご答弁は、保険証の提示があれば通常の対応、はっきりいえば、何を出されても本物だと信じるということですね。 そして、本人でない方が保険証を提示して受診した場合、医療機関や保険者にはどのような影響が生じるんでしょうか、お伺いします。
〇川澄病院経営本部長 医療機関においては、患者本人負担分について支払いが行われた場合には影響は生じませんが、保険者は未加入の者の医療費を医療機関に支払うことになります。
〇吉田委員 患者本人負担分について支払いが行われた場合はいいけれども、行われない場合はどうするんでしょうね。 そして、保険者は未加入の方の分まで、その方の知り合いが使っちゃった医療費まで、七割負担ですか、医療機関に、全然関係ない人の分まで一生懸命その会社は払わなきゃいけないということであります。 では、保険証も身分証も何も提示されなかった場合で、なおかつ本人が申告した氏名、住所などが虚偽であった場合、どのような対応となるのか伺います。
〇川澄病院経営本部長 この場合は全額自己負担となり、医療機関において診療に対する支払いが行われた場合には影響は生じませんが、未払いの場合には医療費が未収となり、その後の徴収も困難になると考えられます。
〇吉田委員 まず、保険証を使い回しすることが多い。そして、旅券、外国人登録証、今は大体一万円とか二万円とかでにせものが売り買いされているそうでございますが、こういうものを提示された場合は、当然本人ではない。住所も違う、連絡先も違う。そして、それすらも掲示しないで、本人が本当に自分の氏名、連絡先を書くか。大変、甚だ心もとない。 そういう場合には、電話をかけても通じない。その場に臨戸−−呼び鈴を鳴らして、お願いしますといいに行っても別の人が住んでいる。こういう状況で、非常に嘆かわしい限りであります。 こうした点を踏まえて、まず保険証を提示せずに支払いをしない人がどれくらいいるのか、ワンウイーク調査を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
〇川澄病院経営本部長 包括外部監査の報告もあり、未収金対策の一環として、今後、保険証を提示せず支払いもしない者について調査を行い、実態把握に努めてまいります。
〇吉田委員 ぜひ、そうしていただきたいと思います。 これまで都立病院は、受診者の保険証の提示の有無にかかわらず、本人確認を十分に行うことができなかった、未収金の増加に何ら効果的な対策を講じることができてなかったと、このように受けとめざるを得ません。 では、外国人に対する医療費の徴収努力について、現在の都立病院での具体的な取り組みはどういうものなのかお伺いをいたします。
〇川澄病院経営本部長 外国人の医療費は、企業の構成員、留学生等、長期滞在予定者については、健康保険や国民健康保険等の医療制度の適用を受けられることになります。しかし、一部に存在する医療保険の未加入者の受診が未収金発生の大きな要因と考えられ、こうした受診者の状況把握が未収金発生防止の第一であると認識しております。 そこで、都立病院の取り組みとしては、入院している外国人患者さんとのコミュニケーションをとるために、フィリピン語、韓国語、中国語はもとより、一部、少数言語も含めた通訳ボランティアを活用しております。 救急で来院した外国人患者さんについては、保険証を持っていない場合にはパスポート等の身分証による確認を行うよう努めております。また、医事担当職員や医療ソーシャルワーカー、医師、看護師等が連携して情報共有し、未収金の発生防止等に努めているところでございます。 なお、未収となった患者さんに対しては、電話による支払い催告や催告書の送付、必要に応じ住所確認のための外国人登録の照会、現地調査、分割納付や保証人による支払いの交渉などの徴収努力を重ねているところでございます。 こうした取り組みを引き続き行い、未収金の発生防止、回収に努めてまいります。
〇吉田委員 大変難しい条件の中で、一生懸命やっておられると思うんです。 ただ、外国人の医療費に関しては、一番軽微な場合、健康保険制度についての本人の理解不足というケースもありましょうけれども、例えば雇用する事業者との関係、あるいは、例えば入国、あるいはオーバーステイ、いろいろな場合の便宜を図ってもらうための非合法組織との関係とか、そもそも遵法意識が低いとか、そもそも日本の側で入国管理政策が基本的に欠陥があるとか、さまざまな課題があって問題を複雑化していると思います。 ただいまのご答弁で、例えば通訳ボランティアの活用、職員の情報共有化などを行っておられるということでありますが、残念ながら、それでこの問題が解決するということにはならないと思うんです。 ここで、先ほどの坂東氏という方の著書「通訳捜査官」から、ある一節を紹介させていただきたいと思います。この節の項目は「健康で楽しい留置場生活」というものです。 「中国人被疑者は留置場生活の要領を仲間から聞いていて、最大限活用している。かなりの数の中国人が日本に来て警察に捕まり、入管に引き渡されて強制送還されているので、留置場の話は人によっては中国の自宅近所で情報を入手済みなのだ。『逮捕されたら病院代はタダ、体の不具合は日本の先進医学で完治して帰ろう』これは『日本の警察は優しいから大丈夫』という話と共に、半ば合い言葉になっている。だから、中国人被疑者は逮捕されたとたん、あっちが痛い、こっちが変だと始まるのである。言われれば、留置場も放ってはおけない。そのまま見ない振りして、突然死んでしまったら一大事になる。」、中略、「都内の留置場にはたくさんの中国人が入っていて、暇つぶしのためやたらと手紙を書く。それを受け取った中国の実家からも返事が来るが、警察では、封を本人に切らせて、その内容に犯罪に絡む記述がないかを点検することが許されている。ある時私が点検した手紙も、そうした中国の実家に住む弟からだった。それは留置場内にいる偽装結婚女性に送られてきたものだった。『お姉さん、ニイハオ。日本の警察はとても優しいですから大丈夫。中国の警察みたいに、殴ったりしませんから安心してください。ダンナさんはまだ死なないのですか。早く日本人になって、僕を日本に呼んでください』とあって、さらにこう書いてあった。『体の不調があれば、何でも言った方がいいよ。タダで病院に行けるから。僕は歯を治しました』」。 この問題は、もちろん都立病院だけの問題ではありません。しかし都立病院も、やはり解決に向けた努力をしていくべきものと考えます。 外国人の未収金問題に関し、都立病院として徴収を進めていく上でも、本人確認の制度改善など、国への積極的な働きかけを行っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇川澄病院経営本部長 医療機関の未収金問題に関する国への働きかけについてでございますが、外国人の未収金問題も含め、医療機関及び医療保険者双方の財政負担が過重とならないよう十分な対応措置をとり、医療提供体制及び医療保険制度の安定化を図るよう提案要求をしてきたところでございます。 引き続き関係局と連携し、これまで以上に国への働きかけに努めてまいります。
〇吉田委員 都立病院を初め、都が積極的に国に働きかけていただくなど、率先した行動をとっていただくことが重要だと思います。 平成二十三年三月十日、警察庁が打ち出した「犯罪インフラ対策プラン」では、「犯罪を助長し、又は容易にする基盤」を犯罪インフラとし、「基盤そのものが合法なものであっても、犯罪に悪用されている状態にあれば、これを含む」とした上で、さまざまな犯罪に利用される「犯罪インフラを徹底的に解明し、解体等していくことが重要」だとし、都道府県警察と関係行政機関との連携、事業者との連携を推進するとしています。 犯罪インフラ対策として、都立病院では警視庁等関係機関とどのように連携しているのかお伺いします。
〇川澄病院経営本部長 犯罪に関する警視庁や裁判所等からの捜査、照会等の協力要請に応じ、これまでもできる範囲で連携し、協力を行ってきたところでございます。 今後も、関係法規等を遵守しながら適切な対応を進めてまいります。
〇吉田委員 ありがとうございます。警察庁の犯罪インフラ対策プランでは、具体的な対処方策として、都道府県警と関係行政機関との連携について、それぞれが所管する制度、事業等にかかわる犯罪インフラに関する情報の共有と、各種申請やサービスについて、当該申請を受理する行政機関の窓口に対する注意喚起、申請者に対する不正防止の働きかけ、不審な事案があった場合の警察への連絡等を求めており、事業者に対しては、契約の際の本人確認の徹底、不審な事案があった場合の警察への連絡等を要請しています。 ただいまご答弁にありましたとおり、病院経営本部におかれても、外国人未収金対策について、この原因の根本にあるものが何なのかを十分に検証しつつ、積極的にさまざまな対策をとっていっていただくように求めまして、質問を終わります。
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