財政委員会 (滞納となった都税の収入確保に関する取り組みについて)

平成22(2010)年10月26日

財政委員会

〇吉田委員
 よろしくお願いいたします。  
 一昨年秋に発生をいたしました、いわゆるリーマンショックに端を発した世界的な景気の後退により、企業収益が大幅に悪化しまして、都税収入にも大きな影響を与えております。  
 平成二十一年度の都税収入決算見込みによりますと、都税総額は約四兆二千九百億円と、前年度に比べ約一兆円の減となるなど、過去最大の減収となっております。
 また、今年度当初予算では、法人二税の税収が、史上初めて固定資産税、都市計画税の税収を下回ると見込まれているなど、法人二税を中心として、税収の回復にはまだ時間がかかるものと考えざるを得ません。
 この厳しい経済情勢を受けて、都税徴収率も、平成十九年度をピークに二十年度から下がってきている、こういう状況にあります。
 しかし、このような厳しい情勢にあっても、あるいは、それだからこそ都民の安全・安心を支える都政の事業執行には停滞が許されず、その基礎となる財源を確保する歳入所管局として、主税局の使命は好況時以上に重要なものとなっております。

 そこで本日は、収入確保の中でも苦労の多いと思われる、滞納となった都税の収入確保に関する取り組みについて、何点かお伺いをいたします。
 平成十七年、この委員会の事務事業に対する質疑において、私から差し押さえについて質問をさせていただいたところ、平成十六年度の差し押さえ実績は約二万件、うち電話加入権の差し押さえ件数が、半数近い約九千件とのご答弁でありました。
 また、財産価値が下がっている電話加入権にかわり、債権の差し押さえを推進していると、こういう答弁でございました。
 これから何年もたっておりますが、その後の現在の実績はどうか、お伺いいたします。

〇宗田徴収部長 
 平成二十一年度の差し押さえ件数は約二万三千件でございまして、平成十六年度実績の約一・一倍となってございます。
 その内訳でございますが、電話加入権が平成十六年度の約三割に当たる約三千件、給与や預貯金などの債権が平成十六年度の約二倍に当たる約九千件となっております。
 この結果、差し押さえ全体に占める債権差し押さえの割合は、二一%から三八%に上昇しており、より実効性の高い滞納整理の手法が定着したと認識しております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 より実効性の高い滞納整理が進んでいるということであります。
 次に、平成十六年七月から、全国の自治体に先駆けて開始したインターネット公売につきましては、差し押さえ財産の高額落札に効果があり、全国的に新たな公売の手法として定着していると聞いております。
 平成十六年度の実績をお聞きしたところでは、六回実施したとのご答弁でありましたが、これもその後の実績についてお伺いをいたします。

〇宗田徴収部長
 インターネット公売は、平成十六年七月に、都が全国に先駆けて開始したものでございますが、平成二十一年度は、平成十六年度の二倍の計十二回を実施しております。
 売却金額では、平成十六年度の約五千七百万円に対し、平成二十一年度は一・五倍に当たる約八千四百万円となっております。
 また、平成二十一年度の見積もり合計金額と売却合計金額を対比いたしますと、見積もり合計金額約四千七百万円に対し、一・八倍の高値で落札されております。  
 このように、インターネット公売は、滞納事案の終局的処理を目指した滞納整理に大きな成果を上げているところでございます。

〇吉田委員
 件数でも二倍、あるいは実績も大変高くなっていて、そしてさらに高値で落札している。
 非常に効果のある手法として定着しているということがよくわかりました。  
 次に、滞納整理の手法の一つとして捜索がありまして、滞納者が再三の催告を無視した場合や、あるいは任意の財産提供を拒んだ場合に行われると聞いております。
平成十六年度の実績では四十九回捜索が行われたと、このようなご答弁をいただいているわけですが、これについても、その後の実績についてお伺いをいたします。

〇宗田徴収部長
 平成二十一年度の捜索実績は、計三百二十八回でございまして、平成十六年度の約七倍となっております。
 捜索は、差し押さえるべき財産の発見等のために行うものでございますが、インターネット公売の活用により、差し押さえ財産の換価が容易になったこと、捜索の着手を端緒として滞納者が自主的な納税に応じるケースが多いなど、滞納整理の促進に大きな効果を発揮しているところでございます。
 今後とも、個々の納税者に応じたきめ細やかな対応を行うとともに、納税に誠意が見られない悪質な滞納者に対しては、さまざまな滞納整理手法を活用し、毅然とした対応を行うなど、効果的で質の高い滞納整理を推進していきたいと思っております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 このように伺ってまいりますと、前回質疑をさせていただいた平成十六年度の状況と比べて、本日は二十一年度をお答えいただきましたけれども、毎年毎年、非常にしっかりと取り組みが進んでいるということがよくわかりました。  
 厳しいこの情勢の中、都税を確保し、また納税秩序を守るためにも、滞納については毅然として対応していただかなければなりません。
 他方で、納税意欲はあるけれども、失業や企業業績の悪化といった理由により納税資力のない納税者の方には、徴収猶予や、あるいは滞納処分の執行停止などの徴収緩和措置を適用する、こういう対応もしていただいているわけであります。
 今後とも、個々の納税者の状況に応じて、きめ細やかに対応していただくとともに、公正公平な滞納整理と税務の行政に引き続き取り組んでいただくようにご要望申し上げまして、私の質問を終わります。