財政委員会 (収用事件の取扱状況と収用事件の処理について)

平成22(2010)年10月19日


財政委員会

〇吉田委員
 近年、公共事業の予算が長期にわたって縮減傾向にあることに伴って、重点的かつ効率的な事業の実施が従来にも増して必要となるとともに、その事業効果の早期の発現が求められております。
 公共事業による効果を早期に発現していくためには、事業期間に占めるウエートが高い用地取得期間を短縮していくことが不可欠であり、用地取得をできる限り円滑化、迅速化することが強く求められていると思います。
 しかし、用地買収の現場では、補償金額に対する不満、あるいは起業者の対応に対する不満、さらには公共事業そのものに反対であるなど、さまざまな理由で、土地所有者などの権利者に買収に応じていただけないケースがあります。
そういった場合、公共事業を推進し、安全・安心、そして、よりよい都民生活を一刻も早く実現するためには、どうしても事業へのご理解、ご協力、任意買収に応じていただけない権利者などからも用地などを取得する必要があり、そのために土地収用制度が設けられているわけであります。

 都民生活の向上のため、公共事業推進のため、収用委員会は非常に重要な役割を担っている、こういう認識を改めて申し上げ、そして、そうした重要性を踏まえ、任意交渉による用地買収が困難となった場合には、積極的に収用制度を活用していかなければいけない、こうした観点から幾つか伺ってまいりたいと思います。  
 まず、近年の収用事件の取扱状況と、収用事件の処理に当たって、申請から裁決までどのくらいの期間を要しているのか、伺います。

〇藤井収用委員会事務局長
 過去五年間の収用委員会におけます取扱件数でございますが、平成十七年度が百十三件、十八年度、百二十五件、十九年度、百八件、二十年度が九十一件、二十一年度は百四件というように、毎年百件程度で推移しております。
 取扱件数といたしましては全国トップでございます。
 また、申請から裁決までの平均処理日数でございますが、それぞれ裁決のあった年度に属することになるわけでございますが、平成十七年度は三百十八日、十八年度は三百十日、十九年度は三百六十三日、二十年度は三百九日、二十一年度は五百五十八日となっております。
 なお、この平均処理日数には、和解あるいは取り下げなどにより短期間で解決した事件については含まれておりません。

〇吉田委員 
 ありがとうございます。
 事業概要を読ませていただきますと、収用委員会事務局では、申請から裁決までの事件の処理期間について、平成十三年度から導入している指名委員制度を活用して、事件ごとに担当の収用委員を選任し、迅速かつ適正な審理手続などにより、十カ月程度での処理を目指すとしております。
 しかしながら、実際の処理期間は、ご答弁をいただきましたように、十九年度が三百六十三日、二十一年度が五百五十八日と、過去五カ年で三百日を大きく超過している年もあるわけであります。
 このように長期化する要因については、どのように考えておられるのか伺います。

〇藤井収用委員会事務局長 
 収用事件には、さまざまな理由で長期化するものがございます。
 マンション事件など権利者が多数の場合や、相続が発生いたしまして相続人の認定に時間を要する場合、さらには土地所有者等権利者が非協力的な場合などには、権利関係の調整や意見書の提出などに時間を要しまして、裁決までの処理期間が長期化することがございます。  
 例えば二十一年度で申し上げますと、海外に居住している相続人の認定に時間を要した事件、あるいは申請された土地の区域が特定できず、その認定に時間を要した事件などが当該年度に最終的に処理されましたことにより、平均いたしましても、なお五百日を超える状況となっております。  
 また、起業者が意見書の作成など手続にふなれで提出に時間を要する場合など、個々の事情により事件処理に要する日数は異なります。  
 収用制度活用プランでは、処理期間十カ月程度を目指しておるわけでございますが、この想定は、事件の争点が早期に明確になりますように、起業者あるいは土地所有者や借地権者などの関係人の理解と協力が得られまして、意見書などが円滑に整うことを前提としております。

〇吉田委員 
 いろいろご説明がありました。
 確かに、起業者や土地所有者などの協力が必要な面もあるのはわかりますが、冒頭に申し上げましたとおり、用地取得のおくれがありますと、それに伴って、例えば道路整備などの事業がおくれると都民全体が不利益をこうむることになるわけであります。
 収用委員会には、ぜひともさまざまな工夫、努力をしていただき、収用事件の迅速処理に努めていただく、こういう必要があるわけであります。
 そこで、収用委員会を支える事務局として、迅速処理に向けてどのような取り組みを現在行っているのか、伺います。

〇藤井収用委員会事務局長
 副委員長からご指摘いただきましたように、任意で既に用地をご提供いただいている方々との公平への配慮からも、事件の早期解決は必要と考えております。
 まず、事件処理を迅速化するため、起業者や土地所有者などの権利者に対しまして申請予定案件の事前相談を受け付けておりまして、さらに申請後につきましても、早期解決のため、速やかな現地調査を行いまして問題点を把握いたしております。  
 また、事件ごとに処理スケジュールを作成いたしまして、十カ月を目標に事件処理が図られるよう適切に管理しておるところでございます。
 具体的には、関係者への事情聴取や進行管理会議を毎月開催いたしましてスケジュールを確認いたしております。
 その場合、遅滞が予想される場合には、その原因を明らかにいたしまして、その後の改善方法を検討するとともに、困難な課題を抱える事案につきましては、随時、検討会を開催いたしまして論点を整理いたしております。
 その論点整理に従いまして今後の処理方針を明確化するなど、きめ細かな対応に努めておるところでございます。

 また、円滑な事件処理のため、職員の専門的知識の向上にも取り組んでおります。
 平成二十一年度から、経験豊富な主査と経験の少ない若手職員をペアで組み合わせまして事件処理を行うペア制の導入をいたしておりまして、事前に具体的な課題を与え調査研究を行うなど、取り組んでおるところでございます。
 事務局内で発表させる実務研修の実施など、そのほかにもさまざまな取り組みを行い、職員の能力向上にも努めておるところでございます。

〇吉田委員 
 ただいまご答弁をいただきましたような、申請を受け付ける事務局側の迅速な処理、あるいは職員の能力向上など、本当に引き続きご努力をお願いしたいと思いますが、一方で、実際の事業を行う区市など収用を申請する側においても、収用申請をちゅうちょすることなく、適正、迅速に手続を進めていってほしい、このようにも思うわけであります。
 そのためには、収用委員会事務局においても、区市町村の用地担当職員に対して、収用を積極的に活用できるよう、具体的手続などの制度の周知に努めることが必要なわけだと思います。
事務局では、これまで個別の区市などからの要望に応じて実施してきた出前研修、これに加えて、本年度は、過去に収用の実績が少ない市や町も含めて、すべての区市町村を対象とした実践的研修を開始したと伺っております。
 この区市町村の担当職員に対する具体的な支援の内容についてお伺いをいたします。

〇藤井収用委員会事務局長
 都内の収用事件でありますれば、すべて東京都の収用委員会が取り扱うこととなります。
 したがいまして、区市町村職員に対する支援も、また重要なことと考えております。
 区市等の用地担当職員に対する支援といたしましては、二十二年度は、これまでに都内二十五団体の用地担当部署を訪問いたしまして、出前研修、出前相談を実施しているところでございます。
 また、本年度から新たに、区市町村職員を対象といたしまして、収用制度の基礎と申請書や意見書の作成方法を具体的に学ぶことができます収用制度活用基礎講座を実施いたしたところでございます。
 九月に第一回を実施いたしまして、十四区三十二名、十二市から二十九名、合計六十一名の参加を得ております。
 研修後のアンケートでは、おおよそ理解できたとの回答も含めまして、合わせて九六・五%が理解できたという内容になっております。
 このアンケート結果を踏まえまして、さらに十二月には第二回を予定しており、区市町村職員へのさらなる収用制度の周知と支援に努めてまいろうと考えております。
 このほか、事務局の中に設置しております相談支援センターにおきまして、区市等の用地担当職員から収用手続に関して相談を受け付けますとともに、個別具体の申請予定案件について、申請に必要な書類等が適正に作成できるよう支援も行っておるところでございます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 ただいまご答弁いただいたような研修、その他、本当に地道ですけれども、大切なお取り組みだと考えます。
 引き続き、区市町村などの起業者に対し、積極的な支援をお願いしたいと思います。
 また、収用制度の円滑な活用を図るためには、制度の意義やまちづくりに大きく貢献できるという点を、一般の都民に向けてもさらに周知し、理解を求めていくことも必要だと思います。
 これも意見にとどめさせていただきますが、本日は収用委員会の取り組みについて幾つかお聞かせをいただいてまいりましたが、最後に、今後ますます重要になってくると思われます収用制度の迅速な活用に向けた局長の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

〇藤井収用委員会事務局長
 副委員長から冒頭にもお話がございました、収用事件を迅速に処理するということにつきましては、公共事業の効果を早期に発現するためにも非常に重要なことであると認識いたしております。  
 収用委員会事務局といたしましては、今後とも、区市町村においても収用制度が迅速に活用されますように、出前研修、出前相談、また、新たに始めました収用制度活用基礎講座などの機会を通じまして、用地取得の実務を担います区市町村職員に対して収用制度の理解促進と個別具体的な支援に努めてまいりますとともに、広く都民にも的確に情報を提供いたしまして、制度の意義や効果を正しく理解していただけるよう取り組んでまいります。  
 今後も、引き続いて収用委員会を補佐し、公正、迅速な事案の処理を図り、収用案件の一日でも早い解決に向けて、万全を期して取り組んでまいる所存でございます。