厚生委員会 (医療スタッフの処遇について)
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平成22(2010)年3月18日
厚生委員会
〇吉田委員 私から、医療スタッフの処遇という問題についてお伺いをいたしてまいります。 健全な病院運営を進める上で重要なことは、医療スタッフの確保ということは一つ大変重要であります。 私は、一昨年の各会計決算特別委員会の分科会において、お医者さん、医師の給与について、全国水準と比較すると大変な状況にあるんだということをお聞きして、その上で給与面や教育体制のほか、勤務環境など総合的な改善の必要性について申し上げたわけであります。現在では、医師の宿日直手当は三万円と、当時と比較してほぼ倍増されました。また、産科や救急に対応する医師などは過酷な勤務を強いられているといわれる診療科においても、産科医業務手当や救急医療業務手当が新設されるなど、医師については給与面での改善が進んできていると、このように認識をしております。 しかしながら、もちろん医師の確保ができれば、それで十分かといえば、そういうわけではありません。このたびの二十二年第一回定例会予算特別委員会の我が党の代表質問におきまして、我が党は、チーム医療における専門性を持つ看護人材の活用が医療崩壊を食いとめる上で重要な役割を果たすのではないかと申し上げまして、病院経営本部長は、都立病院が持つ高度な医療機能を十分発揮していくためには、専門分野において卓越した能力を持つ専門看護師や認定看護師の存在が不可欠だと、このように答弁をされています。 そこで、専門看護師と認定看護師には、どのような種類があって、都内の医療機関に資格者は何人程度いらっしゃるのか、ここ五年の推移もあわせてお伺いを いたします。
〇黒田経営企画部長 現在、社団法人日本看護協会が認定しております専門看護分野は、がん看護や精神看護など全部で十種類ございます。また、認定看護分野は、救急看護や皮膚、排せつケアなど全部で十九種類ございます。 都内医療機関で勤務する専門看護師は、がん看護、精神看護等、九種類でございまして、平成十七年度の三十五名から年々増加しまして、平成二十一年度は九十名となってございます。認定看護師は、救急緩和ケアなど十七種類でございまして、平成十七年度の三百六名から年々増加いたしまして、平成二十一年度は八百六名となっているところでございます。
〇吉田委員 ありがとうございます。この五年間で専門、認定、それぞれ約二・五倍ふえているというわけであります。高齢化が進んだ日本では、生活習慣病や 合併症を持つ患者が増加をしておりまして、複雑高度化した疾病構造に対応する必要が生じているといえます。 それでは、都立病院に勤務をする専門看護師と認定看護師には、どのような種類があって、資格者が何人程度いるのか、都内の医療機関と同じように、ここ五年間の推移もあわせてお伺いをいたします。
〇黒田経営企画部長 都立病院で勤務しております専門看護師は、がん看護、精神看護等三種類でございまして、平成十七年度は三名、平成二十一年度も三名と なってございます。認定看護師は、感染管理、救急、がん性疼痛看護など十種類でございまして、平成十七年度は十名、平成二十一年度は三十一名となっております。専門看護師は同数でございますが、認定看護師は約三倍にふえているところでございます。
〇吉田委員 わかりました。都立病院においても専門看護師や認定看護師が配置されていて、認定看護師については三倍ふえているということがわかりました。 必要に応じてということだと思いますので。しかし、ただ単に資格を持っていらっしゃるというだけでは意味がないわけでありまして、その資格を活用していただく、どう活用していただくのかということが重要であります。 そこで、都立病院で、そうした専門看護師や認定看護師をどのように活用していただいているのか、また、病院運営にどのように寄与しているのか、お伺いを します。
〇黒田経営企画部長 専門看護師や認定看護師の資格取得者は、院内でその専門性を生かした業務を行っているところでございます。例えば、感染管理認定看護師は、疫学、微生物学、感染症学等や関係法規に関する最新の知識を基盤に院内感染対策室で業務を行っております。各施設の状況に合った効果的な感染管理プログラムを構築しまして、それが確実に実践されるように、院内すべての職場、職員をサポートしております。 また、専門看護師や認定看護師は、特定の専門看護分野のリーダーとしまして、病棟スタッフをサポートするコンサルテーションを行うほか、病院経営本部研修や院内研修の講師を務めるなど、看護技術を組織的に高める活動にも従事をしております。 なお、専門看護師、認定看護師を専任配置いたしますと、医療レベルや患者サービスの向上になるのはもちろんのことでございますが、診療報酬上の加算も加 えられまして、病院収支の改善にも貢献しているところでございます。
〇吉田委員 ありがとうございます。専門看護師や認定看護師の方々、院内で、その専門性を生かして、それぞれの配置場所において非常に重要な役割を果たしていただいて、そしてまた、病院の経営にも資するものだということがよくわかりました。 そうした状況も踏まえまして、他の医療機関と比べて、この専門看護師や認定看護師の方々の処遇がどうなっているのか。また、産科における医師には、今年度から産科医業務手当が新設されているわけですが、同じく助産師の方に対する処遇、とりわけ給与面において、その役割に見合った扱いがなされているのか、お伺いをいたします。
〇黒田経営企画部長 まず、専門看護師と認定看護師についてでございますが、これまでは資格を有していない一般の看護師と同様の給与体系となっておりまして、特段の処遇は行われておりませんでした。しかしながら、平成二十二年度から特定看護分野従事手当が新設され、専門看護師や認定看護師の資格に基づき、 がん看護や感染管理など、特定の専門看護分野の業務に従事した場合には、新たに日額七百五十円の手当が支給されることとなりました。 なお、現状では都立病院の専門看護師、認定看護師は、特定の専門看護分野の業務に週一回から週二回程度、従事をしておりまして、これは月額で試算いたしますと、三千円から六千円の手当支給となります。これは国立病院機構の病院が、認定看護師に月額三千円、専門看護師に月額五千円、それぞれ資格手当として 支給されているものと、ほぼ見合ったものになるというふうに考えております。 続きまして、助産師についてでございますが、こちらも平成二十二年度から分娩介助業務手当が新設されまして、助産師が分娩介助の業務に従事した場合には、新たに一回につき三千円の手当が支給されることとなったところでございます。
〇吉田委員 都立病院においても、専門看護師や認定看護師だけでなく、助産師に対しても特殊勤務手当が支給されるということで、大変厳しいお仕事をされている中、今後の看護師さんの育成や助産師さんの確保が大いに期待できまして、また、有能な人材が安定的にそろうことで都立病院の高度で専門的な医療提供体制が継続的に確立され、患者サービスのさらなる向上というものにつながると思います。 国立の病院の方で資格手当として月額で支給されているものに対して、都立の方では仕事をするたびにというインセンティブになるような手当の支給ということも、これはかえっていいのではないかというふうにも思います。 最後に、専門看護師や認定看護師の今後の育成の方針についてお伺いいたします。
〇黒田経営企画部長 認定看護師の養成につきましては、平成十五年度から毎年五名程度ずつを養成してきたところでございますが、医療の高度化や院内における看護師の果たす役割が増大しているという現実を踏まえた一層の取り組み強化が必要と考えております。 具体的には、今後、専門看護師は各都立病院に一人ずつ、計八人の養成を目標として、外部の教育機関への派遣を行ってまいります。また、認定看護師につきましても、これまでより養成のペースを引き上げまして、毎年十人から十五人程度を養成してまいります。こうした取り組みによりまして、都立病院の看護の質やチーム医療の一層の向上を図ってまいります。
〇吉田委員 都民の命を守る、本当に大切な仕事をしていただいている各医療スタッフの皆様の質の向上あるいは処遇の改善、引き続き、私どもも関心を持って、お取り組みについて応援をしてまいりますので、しっかりと頑張っていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。
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