厚生委員会 (都立小児病院再編について)
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平成21(2009)年11月30日
厚生委員会
〇吉田委員 私からも、この都立の小児三病院の廃止と移転統合の問題について、お伺いをいたしてまいります。 先ほど、斉藤理事の質疑におきまして、私ども民主党が、これは十一月十三日、多摩地域における小児医療に対する緊急要請を申し上げたことに対して、十一月十六日、正式には十七日ですね、東京都から回答がありまして、先ほど質疑で明らかになりましたとおり、清瀬の小児病院、これ、ただ廃止をするということでは、本当に地域医療が困るということについて、とにかく移転時に小児救急を二系列で行える体制をつくる、あるいは需要を見きわめる。 それから、八王子については、外来救急、入院医療を行う小児科の新たな開設を市内の医療機関において実現できるよう努力すると。 そして、多摩北部医療センターについては、これは新たな小児総合医療センター特別連携病院というように位置づけて取り組みを進めていくと、このようなご回答をいただいたわけであります。 私も、七月の都議選で、都立病院、小児病院三つをつぶしてはならないと、最大限に努力をしていくという訴えをして当選させていただいてきた議員の一人であります。この間の十月二十日の病院経営本部に対する質疑、それから十月二十九日の福祉保健局に対する質疑、これにおきましても、再度は繰り返しませんけれども、とにかく小児医療だけではありませんが、東京の救急、あるいは産科、小児含めた医療の現状というのは大変に問題があると。墨東病院のような一件もありました。これをきちんと都民の安心を得られるものに変えていかなければいけない、これは都民の大きな世論であると思っております。 政権が交代した一つの要因も、この医療費削減ということに多くの国民が心配をしたということもあろうかと思います。新しい政権で、国全体でこの福祉や医療についての考え方、介護とか見直していく。これは、これまでずっと、財政が厳しくなってきた、あるいは社会保障費の削減という大きな国全体の流れの中で、東京都の財政制約の中でいろんなことをお考えになって、そして、三次医療、これをきちんと確保しなきゃいけないという思いも含めて、この移転と統合ということをお決めになったことはよくわかります。 もちろんこの府中に、三次医療のセンター、小児医療総合センターというのかな、これをつくると、これは私ども、全く賛成であります。ぜひやっていただかなければいけない。しかし、それに当たって、既存の地域を支えている病院についてのご判断について、多くの都民が不安を抱き、心配をし、これは都民だけでなくて、近隣の医療機関、関係者も含めてさまざまなご心配の声が上がっているということを、るるずっと申し上げ続けて、そして今回のご回答に至ったということです。 そして、さきの二十九日の厚生委員会、福祉保健局に対する質疑でも、私はまたここでも申し上げたんですけれども、この医療資源不足ということについて、東京都としてしっかりとこれを認識して、これをきちんとやっていくんですねとご質問を申し上げ、きちんと医療の不足ということを認識しております、しっかり取り組んでいきますと、こういう全体の福祉保健局のご回答をいただいているわけであります。 そしてまた、病院経営本部におかれても、そういうご認識のもとでこれから進めていくんだと思います。しかし、これをずっと進めていく中で、いろいろなご意見がたくさん出てきて、私どももいろいろと、三病院、この三小児病院、地域を初め、さまざまな団体、関係者、地域、住民の方々にご意見、ご要望をお聞きしてきて大変に気になったのは、これは地域の皆様、関係者も、東京都が納得いくやりとりをしようとしている実感が持てないんだと、こういう医療機関などの方々のご不満があった。あるいは、こういう病院がなくなる地域に対する真摯な配慮、これが不足しているんだと受けとめている−−説明する側の思いとは別に、受けとめる側の意識というのがありますから、配慮が不足していると、このように受けとめている、こういうことを指摘するご意見があったわけであります。 それで、都立病院についても、現場に必ずしも情報がきちんと正確に伝わっておらずに、現場で混乱を来していたり、現場の医師の先生方を初めとするスタッフの方に過度の負担もかけているという現状、結果を生んできたのではないかと、これまでのやり方について。 小児三病院の移転統合という、それぞれの地域に大きな影響を及ぼす大きな事業を行うに当たりまして、地域住民、医療機関など、関係者団体、現場の都立病院などに対して細心の注意を払って説明をして、そして意見をきちんとくみ上げて反映し、理解を得る努力を怠ってはならないのは当然のことであります。 これまでの間、この関係者、地域の住民の方々、そして医療機関、団体や現場の都立病院そのもの等に対して、この小児三病院の移転統合というこの事業について理解を得るために、どのような努力をし、課題をどのようにご認識をされ、そして今後どのように対応していかれるのか、伺います。
〇斎藤経営戦略・再編整備担当部長 まず、私どもの考えといたしましては、小児三病院の移転統合に当たりましては、小児総合医療センター開設が、現在の地元地域を初めとしまして、多摩地域全体の小児医療の充実に大きく寄与するものであるという設立意義をご理解いただきますとともに、小児病院転出後の地域住民の皆様が安心できる小児医療体制をいかに構築していくかが極めて重要であると認識しております。 その立場から、これまで地元自治体や医師会などと協議を重ね、小児病院転出後の地域の小児医療体制について取りまとめを行い、二次医療の受け皿となる中核病院の整備、支援などさまざまな充実策を実施することで一定のご理解をいただいてまいりました。また、地元の住民の皆様に対しましても、これらの転出後の地域医療体制について、市の広報や新聞織り込みなど、さまざまな方法で周知を行い、理解を得られるよう努めてきたところでございます。 しかしながら、この間、地域の医師会や中核病院とさまざまな接触の機会を持ちます中で、より丁寧な説明、また、垣根のない情報交換を求められるケースがあったことは事実でございます。この点は、私どもも真摯に受けとめまして、今後、移転前後の期間を通じまして、よりきめ細かい説明を行い、地元住民、医師会、医療機関など関係者の一層のご理解を得られるよう全力を挙げてまいりたいと考えます。 また、現場であります都立病院との間の情報の流通につきましても、当然、遺漏のないように万全を期していきたいと思います。 つけ加えまして、これらの点につきましては、特に厚生委員会の先生方には、会派を問わず引き続きご指導いただきますよう、委員長を初め、改めてよろしくお願い申し上げたいと存じます。
〇吉田委員 わかりました。とにかく、実情、そういう問題点もあったということを率直にご確認をしていただいて、今後、私どもからも引き続きいろいろとご意見を申し上げて、それも真摯に受けとめていただいて、移転統合、この問題というか、その事業について、本当に皆様が安心して、そして円滑に、そして将来に当たっても安心感を持てるようにやっていただくように努力をいただくというご答弁をいただいたわけであります。 そこで、その気持ちというか、やりとりのこれまでのあり方というところで、しっかりと今ご意思を確認したわけでありますので、この点については今後期待をさせていただきますけれども、そもそも東京都も苦しいお立場だと思うんです。この医療の不足というのは、東京だけの責任ではありません。国全体で非常に制度がいろいろと、自由標榜制とかいろいろな問題の中で、あるいは勤務医が大変厳しくて、どんどん開業医になっていってしまわれるとか、いろんな中で、東京都もお医者さんの確保、これは大変苦労をされておられる。特に救急、産科、そして小児科、リスクが多くて、もうなかなか新しいお医者さん、思いのある方、もう激務の中で、やっぱり数が減っていってしまう。こういう中でやっていらっしゃるのはよくわかっております。 その中で、三次救急をしっかりと多摩においてもきちんと確保するために必要だ、それもまた、もう先ほど申し上げたとおり、私どもも、もちろん必要だと思っております。ただ、地域それぞれの二次医療圏、前に質疑をさせていただいたとおり、地域の医療−−後医療といういい方もよくするようですけれども、ここについて、今回ご回答、最大限の努力を今の段階でもうされているんだろう、そうは思っております。 ですから、これについてはわかりましたというほかないわけでありますけれども、ここでもう終わりなんだということではなくて、今後さらに引き続いて、この小児、今回は小児病院の問題ですから、小児医療、各地域でもって−−前に、いろいろ私、数値を挙げて、福祉保健局にはずらっと申し上げたんです。その地域の年少人口千人当たり、小児のお医者さんの数が何人、何人、何人と、各医療圏ごとに順に読み上げさせていただいて、多摩は少ない、福祉保健局も少ないと認めた、こういうことで、これはちゃんとやっていきますと。 もちろん、一朝一夕というか、すぐにはできません。今後、営々と確保のための、人員確保のための努力をし、そしてきちんと充実をやっていく、今すぐにぱっと魔法のように、三次救急をやるために一生懸命やる、それ以外の方がぱっと生まれてくることはできませんので、少しずつ、少しずつ、またこの三次医療をやりながら地域医療を一生懸命、また回復、それだけじゃなくて、多摩と区部のいろいろの格差というのも、これは福祉保健局も認めていただいて、同じ思いを、同じ意識を病院本部も持っておられると思います。これを少しずつ、格差というものを最大限、一番できるだけ早くというか、これをきちんと格差、こういうものを改善していかなければいけない。 あちこちで申し上げてまいりましたけれども、多摩と区部の、まず今回は小児医療、そして医療全体の格差がある。この格差の改善、今回は例えば小児医療の水準の向上、こういうものについて、この移転は移転として、そしてその三次救急をきちんとつくり上げる、それはそれとして、移転後のそれぞれの二次医療圏の地域医療の確保、充実について、ちゃんとやっていくんですね、こういうことについてどのように行っていくのか、改めてお伺いをいたします。
〇中井病院経営本部長 多摩地域の医療水準の問題についてでございますが、吉田副委員長ご指摘のとおり、現在の小児医療の状況というのは、医療人材の深刻な不足、これに代表される、限りある医療資源の中でどうしていくのかということが問われている、そういうテーマでございます。当然、この医療資源、医療人材というものを拡大していくということが必要だというのは論をまたないわけでございまして、私どもといたしましても、その一翼を担うものとして、これを拡大していくことに今後も努力を続けたいというふうに思うわけでございますが、先生のご指摘にもあったとおり、これは中長期的な視点に立った取り組み、そして国への働きかけを含めた多面的な活動を継続的に行っていくということが不可欠なわけでございまして、そういった中で、今置かれた状況の中で何をするかということが、我々に問われている問題、課題であろうというふうに考えております。 そうした中では、現状の深刻な医療人材の不足の中では、老朽化した三つの小児病院、その建てかえという問題が、当然、潜在的にあったわけでございますので、それに対してどう将来に向けて対応するかといったときに、よりすぐれた医療機能を持った医療機関を、この現実に限られた医療人材の中でどういうふうにやるかという選択、その答えが今回の小児総合医療センターということであるわけでございまして、要は、ないものねだりというのはちょっと語弊もあるかもしれませんが、両立させる、併存させるということについては、現時点でとり得る選択肢としては、現実的にはないと。 もしそれを存続するのであれば、要は、小児総合医療センターは開設できないということになってしまうのであって、多摩地域で長年にわたって多くの方々から期待されている母体搬送、そして小児救急のより一層の充実、そういったことがさらにさらに遠い話になってしまうわけでございます。それが、我々、行政をつかさどる者としてとれる選択ではないという判断になったわけでございます。 そういった限られた医療資源の中で、今後、やはりより一層、初期、二次、三次の医療機関がそれぞれの役割分担を果たしながら、それらがより一層緊密に連携をしていくということが必要であろうというふうに考えるわけでございまして、とりわけ、先ほど申し上げたように、小児医療は深刻な医療資源が不足した状況にございますので、この機能分担と連携というのは極めて重要な事柄であるというふうに考えております。 今回の小児総合医療センターの開設に伴いまして、それぞれの小児病院が転出する地域には後医療対策を十分に行わせていただくわけでございますが、それに合わせまして、それらの地域の中核病院と小児総合医療センターとの連携ということが非常に重要な事柄になってこようということで、これにつきまして、今後さらにさらに、特に北部医療センターについては特別連携病院という形に位置づけまして、対応させていただきたいというふうに考えているわけでございます。 こうした取り組み、そして、先ほどご答弁をさせていただきましたが、民主党の緊急要請に対しますより一層の施策の充実といったことも含めまして、今後とも福祉保健局を初めとしました関係局と一体となった取り組みを進めまして、小児病院転出後の地域を初めとした多摩地域の医療の一層の充実に全力を挙げて努めてまいりたいというふうに考えております。
〇吉田委員 前向きな、本当に本部長のご答弁をいただきまして、ありがとうございます。 当初の計画にさらにより踏み込んでというか、我々の、いろいろ調べて要請させていただいて、これはさらなる対応を示していただいて、我々も部内で−−部内というか、会派の中で、これは激論になりました。これは会派で、この意見に大変問題だと思っている会派の方々、過半数になるという状況であっても、これは例えば再議ということに付されて、また議会に戻ってくれば、今度は三分の二の賛成が必要だ、そういう状況に至るよりも、このように積極的に、もうないところから絞り出して、今の現段階ではやっていただくと。そして今後、医療の充実、こういうものに一生懸命取り組んでいくと。そして、福祉保健局と病院経営本部と協力して、そして関係医療機関と、私ども一生懸命後押しをして、国にも働きかけてやっていくということで、大変、私も本当にいろいろな思いはありますけれども、本当にぜひ今後ともしっかりとやっていただきたいんだと。ここではもちろん、これは一里塚であって、今後これからが重要だということを申し上げさせていただきます。 これ、ちょっと私事になりますけれども、私は、双子の知的障害を持った弟がおりました。二十六のときに亡くなりました。精神じゃなくて知的ではありますけれども、例えば、今、議会でいろいろとご議論を、他の委員の方の議論も聞きながら、ちょっとあっと思い出したことがあるんです。家族で旅行をしようと思いまして、私どもがまだ中学生だったときです。旅行をしようと思って、家族で車で山の方に向かったんです。もちろん知的の子も、環境が変わると大変に精神が動揺するものですから、しかし、家族で一つの車に乗っているんだから大丈夫だろうというか、何の心配もしていなかったんです。 ところが、どんどん山の奥に入っていくと、多分、前の日の夜に見たテレビがいけなかったんだと思うんですけれども、何だかそこに置いていかれるんじゃないかという、何かおびえ出して、車の中で暴れ出して、走っている車のドアをあけて外に飛び出しそうになったというので、ずうっとこう、みんなで必死になって押さえ込んで、家に帰るよといって帰るか、もう目の前だから宿泊するところに行くか、何だかもう楽しい旅行のはずが、ちょっと悲しい思いをしながら、現地に着いたら安心して落ちついたんですけれども、とにかく、障害を持ったお子さんというのは、何がきっかけでどういうことが起きるかわからないというところもあります。 梅ケ丘の病院のお子さん方も、中身は違いますけれども、いろいろなご両親の方のご心配もあると思います。関係者の、助けている方のご心配もあります。万全のご対応をいただいて、移転をしっかりやっていただくようにお願いを申し上げて、質疑を終わります。
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