各会計決算特別委員会 (防災都市づくりについて)

平成21(2009)年10月21日

厚生委員会

〇吉田委員
 次に、防災都市づくりについてお伺いをしてまいります。
 防災都市づくり、いうまでもなく、災害に強い安全・安心のまちづくりは、都政の最重要の課題の一つであります。そして、東京の区部周辺部に広範に広がっている、戦後の急速な市街化によって形成された木造住宅密集地域、このような地域では、老朽化した木造建築物が密集していることに加え、道路が狭隘で、消防車などの緊急車両が通行できない。道路のみならず、公園などの防災上有効なオープンスペースが不足しているなど、さまざまな課題を抱えております。
 国の調査委員会報告において指摘されている、今後三十年以内に、南関東ではマグニチュード七クラスの地震が七割の確率で発生する。このような大地震が首都圏で一たび発生すれば、この木密地域において最も大きな被害が生じると危惧をされているわけで、私も何度か質疑をさせていただきましたが、この木密地域の改善に向けて、都は建物の不燃化の促進、道路、公園などの整備など、防災都市づくりを推進し、木造住宅密集地域整備事業を初めとするさまざまな施策を展開をしてきていただいているわけです。
 そこでまず、平成二十年度の都の木密事業の予算額、執行率、実績及びこれまでの実績の累計についてお伺いをいたします。


〇石川民間開発担当部長
 木密事業についてですが、平成二十年度の当初予算額は約二十一億円でございます。これに対して決算額は約十九億円で、執行率は約九四%でございます。平成二十年度の実績は五十二地区、約二千ヘクタールを対象に事業を実施しておりまして、道路や公園の整備のため、約一ヘクタールの用 地を取得したほか、七十戸の不燃化建てかえなどを行っております。
 また、平成二十年度末までの累計の実績ですが、約十五ヘクタールの道路や公園を整備するとともに、約七千戸の不燃化建てかえや、三百六十戸の従前居住者用のコミュニティ住宅の建設などを行っております。


〇吉田委員
 ありがとうございます。道路や公園の整備など、一歩一歩着実に進んでいることがわかりました。
 それでは、次に、これまでの取り組みによって、災害に強いまちづくり、まちの形成に向けてどのような効果があったのか、お伺いします。


〇石川民間開発担当部長
 これまでの取り組みの効果についてでございますが、都は防災都市づくり推進計画において、震災時に大きな被害が想定される地域を整備地域として約六千五百ヘクタール指定し、この地域で木密事業を初めとする事業や規制誘導策を重層的かつ積極的に展開し、災害に強いまちづくりを進めてきております。
 その防災上の効果として、市街地の燃えにくさをあらわす不燃領域率は、平成八年からの十年間で、区部平均では約五ポイント上昇したのに対して、これまでの取り組みにより、整備地域ではこれを二ポイント上回る七ポイント上昇し、約五六%となるなど、市街地の防災性は着実に向上しております。


〇吉田委員
 その他の地域に比べて、ポイント数で上回る、二ポイント上回る七ポイント上昇したと。この取り組みの効果が実際にわかったわけであります。目標は七〇%、まだまだ取り組みをどんどんやっていただかなければいけない。今、五六%という状況でございますが、このお話の防災都市づくり推進計画では、整備地域のうち十一カ所、二千四百ヘクタールを重点整備地域と定め、早期に防災性の向上を図るとしております。私の地元の中野の南台地区もその一つに指定されておりますが、例えばここではどのような取り組みがなされ、どのような防災上の効果があったのか、お伺いします。


〇石川民間開発担当部長
 中野南台地区の取り組みと効果についてでございますが、中野南台地区は新宿副都心に近接し、老朽木造住宅や幅員四メーター未満の細街路が多く、火災危険度が高い地域もあり、中野区では、南台一、二丁目地区と南台四丁目地区の二地区、約四十六ヘクタールで木密事業などを実施し、老朽 建築物の除却や不燃化建てかえ、道路の整備などに取り組んでまいりました。
 こうした取り組みに加え、平成十五年から新たな防火規制を導入しており、これらの効果により、市街地の燃えにくさをあらわす不燃領域率は、平成八年の四三%から、十八年の五二%となり、十年間で九ポイント改善するなど、中野南台地区の防災性の向上が図られております。


〇吉田委員
 ありがとうございます。着実に効果があらわれていることがわかりましたが、当地区は火災危険度が高い地域でございますことから、防災性の向上をさらに進めていただくことが重要であります。
 防災公園の整備も進められる予定と聞いておりますが、今後、当地区のまちづくりではどのような取り組みを進めていかれるのか、伺います。


〇石川民間開発担当部長
 今後の取り組みについてですが、中野南台地区の防災都市づくりを進めるに当たっては、木密事業や不燃化促進事業に合わせ、地区計画などの規制誘導策を重層的かつ積極的に実施していくことが重要と認識しております。中野南台地区においては、中野区が、この地区のほぼ中央に位置し、避 難場所として指定されている東大附属中学校一帯で約一ヘクタールの防災公園の整備を予定しており、この整備に合わせ、今後、周辺の道路を整備するとともに、今年度より避難場所周辺の不燃化を進め、防災機能の向上を図ることとしております。
 また、区では、災害に強い安心して住み続けられるまちの形成を目指して、地区計画がまだ策定されていないこの地区の北部地域で、地区計画の導入を検討し ております。今後も中野南台地区の防災性の向上のために、区が行う取り組みに対し、都は積極的に技術的、財政的支援を行うなど、区と連携して防災都市づく りを着実に進めてまいります。


〇吉田委員
 よくわかりました。首都直下地震というのは本当にあす起きてもおかしくないわけであります。引き続きしっかりと取り組んでいただきたいわけですが、このような、都が改善の必要性が高い木密地域だと指定している整備地域だけでも、先ほどご説明があったように二十七地域、六千五百ヘクタールにも及ぶわけであります。現在、木密地域整備の事業費は約二十億円ということでありますが、平成二十年度は九割を超える執行率で、着実に成果が上がっているわけであります。都内の多くの木密地域を一日も早く改善し、災害に強い安全な東京を実現するため、今後もう少し木造住宅密集地域整備の事業費をふやしていただいて、事業規模を拡大して取り組みを進めていただくことが必要じゃないか、ぜひこういうこともご検討いただきたいと思います。
 この防災都市づくりに関連して、最後に一点、確認をさせていただきたいと思います。
 私の地元、中野駅北口の警察大学校等跡地の地区計画についてでありますが、この地区を含む一帯は、東京都震災対策条例によって広域避難場所に指定されています。私は、平成十九年一月の都市整備委員会において、広域避難場所としての機能が確保されるよう、この地区の中央部には三ヘクタール、全体として四ヘクタール、できればそれ以上の空地を確保してもらいたいと要望していたわけでありますが、現在どのような計画になっているのか、確認の意味でお伺いしま す。


〇安井都市づくり政策部長
 中野警察大学校跡地を対象といたします中野四丁目地区地区計画でございますけれども、施設計画の具体化に合わせまして地区整備計画を定めるため、平成二十一年六月に地区計画の変更を行ってございます。この中で、都としても、防災都市整備の観点も踏まえながら、個々の事業者の開発計画に対しまして、地区全体として公開空地やオープンスペースの広角的な確保を誘導してきたところでございます。
 その結果、現在の計画では約一・五ヘクタールの都市計画公園を中心に、中央にまとまった一団の公開空地として約三ヘクタールを確保するとともに、その周囲には、各事業者の開発に合わせまして、個々の敷地内に緑豊かなオープンスペースを合計約一・五ヘクタール確保することで、全体といたしまして約四・五ヘクタールの空地を確保する計画となってございます。


〇吉田委員
 大変にありがたいと思います。四ヘクタール以上の空地を確保していただいているという計画だと。ここは、区民の中では大きな不安と期待と要望があったところでありますので、この避難に有効なオープンスペースの確保がされるということが確認できまして、安心をいたしました。
 災害に強い安全・安心のまちづくりを実現していくためには、この木密地域の改善を着実に進めることに加え、大規模開発に伴い、広域的な避難場所を適切に整備していくことも非常に重要であります。都には、この一層のお取り組み、支援をお願いし、次の質問に移らせていただきます。