各会計決算特別委員会 (洪水対策について)

平成21(2009)年10月19日

各会計決算特別委員会

〇吉田委員
 次に、洪水対策についてお伺いします。
 ことしも全国で集中豪雨や台風などによる水害が発生して、とうとい命が奪われるなど、大きな被害が生じたわけでありますけれども、私の地元、中野におきましても、妙正寺川など、平成十七年九月に一時間一一二ミリという集中豪雨で甚大な被害をこうむったために、都では河川激甚災害対策特別緊急事業、激特事業、この採用を受けて、重点的に事業を進めていただいているわけであります。
 私も、あるいは中野選出の各党の先生方もいろいろお聞きしてきたんですけれども、今回、決算説明書によると、妙正寺川では平成二十年度、約四十三億円余りの事業が執行されているということでありますが、本事業は再度災害が起きることを防止するものであり、この事業が完了しますと、環状七号線から下流の安全性が大きく向上するということを大変期待しております。
 他方、環状七号線の上流側の区間は、やはり水害を受けているにもかかわらず、いまだに未整備の状況が続いているわけであります。そこで、今、精力的に取り組んでいただいているような激特事業、この見通しとともに、環七より上の川上の未整備区間の整備をどのように行うのか、お伺いします。


〇廣木河川部長
 妙正寺川の激甚災害対策特別緊急事業でございますが、既に再度災害防止の計画断面を確保しており、護岸整備はほぼ完了しております。かけかえをする橋梁につきましても、八橋のうち二橋が完了しており、残る六橋について仕上げ工事を実施中であります。予定どおり、平成二十一年度に事業を完了させてまいります。
 未整備区間の整備についてでございますが、河川の拡幅は下流側から順次進めるのが原則でございますが、環状七号線上流の未整備区間の整備には相当の期間を要することから、都営鷺の宮アパートの一部を利用した調節池を整備する予定としております。このことにより、調節池下流の治水安全度を早期に向上させるとともに、調節池上流の護岸整備が可能となるなど、五〇ミリ整備を着実に推進してまいります。


〇吉田委員
 ありがとうございます。
 粛々と激特事業が進んでいるということで、本当にうれしく思うとともに、環七より上流の区間、都営の鷺宮住宅、ここに調節池を新たに予定しているということでございます。
 新しい調節池を設置するということは、たくさん既設の調節池をつくっていただいているんですが、これとあわせ、妙正寺川の安全性を早期に高めるために有効な手法だと私も評価をいたしております。
 この予定の調節池ですが、ちょっと聞いているところによりますと、この都営鷺の宮アパートのところの調節池は、流入した洪水の排水のためにポンプ設備を設置する必要がある、そのような設計で検討していらっしゃるということであります。それはまだ検討しているということでありますが、その場合にはランニングコストがやはり発生することになります。建設時のイニシアルコストだけでなくて、中長期的にずっとメンテを続けていく、ポンプを動かすたびにその維持費もかかっていくということで、本当に後代、末代まで継続的、恒常的な維持費が必要となっていくわけで、次の世代に、今、日本は大変な借金を背負わせておりますが、さらに、微々たるというのか、微々たるじゃないというかわかりませんが、負の遺産を増大させる結果になるわけであります。なるべく次の世代への負担を減らすように、減らすように考えていきながら、地域の洪水対策、安全のために取り組んでいただく必要があると思うんです。
 設置済みの北江古田調節池や妙正寺川第一調節池は、自然に洪水が流入して、河川の水位が下がると自然に排水して、ポンプなどを使わない自然流下といういい方をしますけれども、使わない方式でありまして、ふだんも消防団の方々の訓練とか、あるいは地域の方の避難訓練などの場として活用されております。もちろん、環七の調節池のような大型の調節池も必要でありまして、これらもポンプをがんがん使って対応しなければいけない。当然でありますが、今後新たな調節池を設置する場合、ランニングコストが発生しない自然排水を基本とした調節池、こういうものに努力をしていくということが重要だと思います。
 そこで、今回の都営鷺の宮アパートに予定されている調節池についても、ポンプ設備を要さない自然排水の調節池として整備すべきだと考えるわけですが、ご見解を伺います。


〇廣木河川部長
 限られた土地の中で調節池で貯留する量を確保し、治水効果を発揮するためには、構造的にポンプが必要な場合もあります。
 お話の鷺宮調節池につきましては、妙正寺川の中上流区間の安全性の向上に向け、関係機関と調整の上、住宅の建てかえに合わせ、敷地の一部を利用して設置することになったものでございます。調節池上流に向け護岸整備する上で必要な貯留量は約三万五千立方メートルでございます。構造につきましては、その容量を確保した上で、ポンプ等の設備が必要になるかどうかについて、今年度に予定している詳細設計の中で検討してまいります。


〇吉田委員
 ありがとうございます。
 これはもちろん洪水の対策、地域に洪水を起こさないようにする、これは最優先の課題でありまして、そのために設置するものでありますから、その能力をきちんと発揮できる、こういうものをつくっていただく、当然必要なわけであります。
 ただ、今回の場合は非常に微妙な状況というか、ポンプが必要か必要じゃないか、いろいろ本当におっしゃるとおり、詳細設計の中で検討していただくような状況。もうどうしても絶対に必要な容量があって、必ず掘り込み式でやらなきゃいけないんだという状況であれば、もちろんこのような要望は申し上げないんですが、ポンプなしでもいけるかもしれないというような状況でありますならば、できるだけ知恵を絞っていただきたい。
 この環七より北側は、今お取り組みをご検討いただいている鷺の宮アパートの敷地以外にも、ちょっと勝手に自分で調べさせていただきましたが、これは、妙正寺川上流に鷺宮西住宅かな、建設年度が昭和三十四年から六年につくって、そろそろ更新しなきゃいけないとか、こういう大きな敷地も今後更新が必要で、大きな工事が予想されるというところもあるわけであります。いろいろの周囲の状況を勘案しながら、この一発で調節池、終わりということでは多分ないと。早期に環七より上流の部分についての洪水対策を進めていただくという観点でいろいろご検討いただくと思いますので、そういうことを総合的に勘案して、この鷺の宮アパートのところもぜひご検討いただきたい、このように−−まあ、とにかく基本は洪水が起きないように、これが大前提でありますが、その中でご検討いただきたいとお願い申し上げます。ぜひ積極的な治水対策を進めていただきたいと思います。