各会計決算特別委員会 (東京港の自然環境の再生について)

平成21(2009)年10月16日

各会計決算特別委員会

〇吉田委員
 次に、東京港の自然環境の再生についてお伺いいたします。
 東京港は、海上輸送のただいま申し上げたような拠点としての役割だけでなく、貴重な水辺空間を有している大都市東京の潤いのある環境を形成するための貴重な資源というか貴重な役割を果たしている、このように思います。
 しかし、相変わらず夏には赤潮が発生するなど、水質の改善など取り組むべき課題も多々あると認識しております。海域においては、干潟や浅場、いそ場などの自然環境を再生することで生物の生育環境が改善され、その生物の働きによって水質も改善されていくと、このように聞いております。
 そこで、まず、東京港の海域での自然環境再生のための取り組みについて具体的にどのように取り組んでいただいているのか、各決でございますので具体的な内容をお伺いします。


〇前田港湾整備部長
 東京港では、美しく豊かな海の回復を目指しまして、自然環境を再生するため、生物の生息に配慮しながら、浅場、干潟、海浜などの整備を進めてまいりました。
 具体的には、昭和四十七年度から海上公園における海浜の整備に着手し、これまでに開園している海浜公園等の水域面積は約四百八十ヘクタールとなっております。また、羽田沖では、二百五十ヘクタールの浅場整備を平成十九年度に完了したところでございます。現在は、平成十九年度から平成二十三年度までの五カ年間で、新海面処分場東側に延長一キロメートルのいそ浜を整備する計画でございまして、平成二十年度には事業費約二億円で、百五十メートルを整備しております。
 また、実験的な取り組みといたしまして、お台場海浜公園におきまして、カキなどの生物を用いた水質浄化実験を実施し、生物の浄化作用や、生物の生育に適した環境の把握に努めているところでございます。


〇吉田委員
 いろいろとお聞きをしました。特に、羽田沖で二百五十ヘクタールという浅場を整備されたと、これはどんどん干潟がなくなるとか、いろんな中で本当によく整備をしていただいているなと、このように思います。今、税金の使い方が厳しい目にさらされる中、非常に効果の高い事業をしていただいているんではないか、私はこのように認識しております。
 そして、この施設整備の効果をどのようにとらえているのか、改めてお伺いいたします。


〇前田港湾整備部長
 これまでに整備いたしました干潟や浅場、いそ場などにおきましては、スズキやアサリの生息が確認され、魚釣りや潮干狩りが再びできるようになるなど、都民のレクリエーションの場となっております。また、羽田沖浅場におきましては、アナゴやメバルなどの魚類や、アサリやアオヤギなどの貝類も定着しております。
 また、お台場のカキ等による実験施設における昨年七月の測定結果によりますと、施設の内側の透視度が一メートルでございまして、外側の五十センチと比較いたしますと二倍となっており、海水の透視度等が向上している傾向が見受けられます。実験施設には、ハゼやカニ、小魚や大型魚のスズキなどの他の生物を集める効果も確認されておりまして、これら多様な生物の働きにより水質の浄化が進むことが期待されております。


〇吉田委員
 素人にわかりやすいように、また具体的に教えてくださいとお願いしたとおり、わかりやすく教えていただきましてありがとうございます。
 このご説明のとおり、干潟や浅場の整備をしていくということが、大変に効果があることなんだということがわかりました。こういうことをいろいろな機会をとらまえて東京港内に、本当に細々としたことも含めて大きく広げていくことが重要だと思います。
 そこで、東京港内に細かく走っている運河、こういう環境資源もあるんですけれども、この運河では自然環境再生に向けてどのようなお取り組みをしていただいているのか、お伺いします。


〇前田港湾整備部長
 東京港におけます自然環境のネットワーク化を図るため、比較的大規模な干潟等の間に位置します運河における取り組みも重要であるというふうに考えてございます。このため、運河におきまして、直立護岸に比べ生物の生息に適するとともに都民が水辺に親しめる緩傾斜護岸や、護岸際へのミニいそ場の整備などに努めているところでございます。
 緩傾斜護岸の整備につきましては、品川区の京浜運河におきまして、平成十七年度から実施しており、計画延長一・六キロメートルのうち、平成二十年度には八百メートルが完成いたしました。大田区の平和島運河におきましては、平成十九年度から工事に着手してございます。平成二十年度の緩傾斜護岸の整備費は約六億円でございます。
 また、ミニいそ場の整備につきましては、平成十七年度から江東区の豊洲運河において実施しておりまして、延長約六百二十メートルの間に十三カ所のミニいそ場を持つ護岸が平成二十年度末に完成いたしました。平成二十年度の事業費は、護岸の本体を含めまして約九億円でございます。


〇吉田委員
 このように環境資源としての港という観点からいろいろお聞きして、大変効果が上がっているということをお聞きしている中で、例えばかみそり護岸のようなところを、いそ場をつくっていただいたりして、そういうことが環境のみならず景観というか、そういうことにも非常に効果があると思うんです。
 私の住んでいるところは、中野といってかみそりの中小河川があるところで、こういうところも、なるべく三面のかみそり護岸を、ちょっとのり面を緩やかにしてくれとかお願いもしているんですけれども、環境上の観点のみならず、景観上の観点からも非常に効果が高い。運河は市街地にも近くて人々が身近に水辺を感じられる貴重な空間でありますので、そういう観点、水辺空間の開放感や美しさ、都市の美しさということを多くの都民、あるいは東京に来られた方が楽しめるようにする施策、美しい景観形成という観点も重要だと多くの方が指摘して、東京都も取り組んでいると思います。
 そこで、運河における景観形成の観点での取り組みについてお伺いいたします。


〇前田港湾整備部長
 港湾局におきましては、「十年後の東京」の目標の一つでございます水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活に向けまして、都市と海の接点という運河の特性を生かして、運河沿いの緑化などを通しまして、美しい景観形成に努めるとともに景観を楽しめる遊歩道整備を進めております。
 平成二十年度の取り組みにつきましては、京浜運河の緩傾斜護岸の整備に当たりまして、自然石を採用するとともに、護岸の上部を緑化し背後の海上公園と一体となった景観を形成しております。
 また、豊洲運河におきましては、地元区やまちづくり協議会と連携し、遊歩道と背後の住宅や学校、こちらの敷地内道路を一体的に整備するとともに、遊歩道の舗装には木製ブロックを試験的に採用しております。
 今後も、区や民間事業者とも連携し、運河の美しい景観の形成に努めてまいります。


〇吉田委員
 ご答弁いただいたとおり、かみそり護岸−−直立護岸ですか−−を緩傾斜護岸とする施策など、自然の再生や美しい景観の形成に非常に役立つというふうに評価しております。美しいまちを復活させるためには、水辺の取り組みというのは本当に重要でございます。今、二十年度の取り組みをいろいろお聞きして、すばらしいお取り組みがされておりますので、この成果を引き継ぎつつ、二十一年度もしっかりと取り組んでいただくことをお願いしまして、私からの質問を終わります。
 ありがとうございました。