各会計決算特別委員会 (雇用対策について)

平成21(2009)年10月14日

各会計決算特別委員会

〇吉田委員
 よろしくお願いいたします。
 まず私からは、雇用対策についてお伺いをいたします。
 昨年の秋からの世界同時不況の影響で我が国の景気も大きく落ち込みまして、雇用情勢の悪化が続いております。昨年八月、四・一%でありました全国の失業率は、ことしは五・五%と非常に厳しい状況となっております。ただいまの要求資料で、東京に限ればもう少しこのパーセンテージはまだ緩やかという状況でございますが、非常に厳しい状況であるということに変わりはございません。この間、派遣等の非正規労働者の解雇もふえ、また、休業などの雇用調整助成金の受理の件数も、本年三月以降、月に二百万件を超えております。さらに日銀の調査によれば、二十二年春採用の新規学卒者の採用計画も、ことしの二三%減といわれております。
 このように、労働市場は雇用調整が続いており、多くの方が、これはあすは我が身と、雇用について不安に駆られているところでございます。
 先般、私の地元の中野区にある法人において、ある従業員の方から相談がございました。ことしの四月、給料日の前日に突然職員全員が集められ、四月の給料は遅配、その上分割支給、翌月以降の給料は一〇%カット、六月のボーナスもゼロということで、職員一同大騒ぎになったということであります。
 こうしたときこそ、都民の方々が安心して労働に関する相談ができる窓口が必要でございます。東京都の労働相談情報センターには、多くの都民の方から労働に関する相談が寄せられていると聞いております。そこでまず、都が実施している労働相談の状況についてお伺いします。

〇小田雇用就業部長
 都では、都内六カ所の労働相談情報センターの窓口において、職員が電話や面談により相談に応じており、相談者の置かれた状況を把握し、問題解決に向けて適切なアドバイスを行っております。平成二十年度の相談件数は五万四千九百三十三件でございまして、ここ数年、五万五千件前後の高い水準が続いております。二十一年度は、八月末現在で二万三千五百七十七件と、前年同期と比べ、八・九%増加しております。また、毎年五月と十月に駅前など街頭において労働相談を行っており、二十年度には渋谷や池袋など、都内十三カ所で実施いたしまして、相談件数は千四百八十四件でございました。さらに雇用状況などに応じて特別相談会も開催しております。
 なお、当事者では自主的な解決が難しい問題につきましては、労使からの要請を受け、解決に向けて援助するあっせんも行っておるところです。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 二十年度も五万五千件と、ここ数年、ずっとそういう高い水準で相談があると。都はそういうきちんとした対応をしながら、いろいろと解決のために取り組んでいらっしゃると思うんですが、この二十年度の労働相談情報センターが実施したこの労働相談の内容と傾向についてお伺いをいたします。

〇小田雇用就業部長
 平成二十年度の労働相談の内容でございますが、労働相談五万四千九百三十三件のうち、一件の相談で複数項目にわたる相談がございますことから、相談内容を項目別に集計した件数は九万二千六百四十四件となっております。このうち、最も多い相談項目は、解雇の一万六百二十五件でございまして、あと退職の強要や勧奨など、退職関係の相談八千四百六十件を合わせますと、一万九千八十五件と、全体の二割を超え、前年度の一・三倍と、厳しい雇用情勢を反映したものとなっております。
 また、二十年度の上半期と、昨年十月から本年三月までの下半期の相談件数を比べますと、採用内定取り消しの相談が七十九件から二百五十九件と三・三倍、雇いどめが八百七十件から千三百五十件と一・六倍となるなど、雇用契約の解除に関する相談が大幅に増加しております。

〇吉田委員
 やはりお聞きをしてなるほどというか、解雇、こういう問題のご相談が多くて、特に最近では、採用内定の取り消しや、あるいは雇いどめと、まさに世の中で問題視されていることについて、都に相談が本当に殺到しているという状況だというふうに認識をいたしました。
 今ちょっとお話の中で、雇用状況などに応じて特別相談会を実施しているというご説明がございましたけれども、この現下の厳しい雇用の状況の中でどのような対応をされたのか、詳しくお伺いしたいと思います。テレビのニュースで私もちらっと報じているのを見た気もするんですが、この内容についてお伺いをいたします。

〇小田雇用就業部長
 昨年秋以降の厳しい雇用情勢を踏まえまして、二十年度は、十二月と本年三月に緊急特別相談会を実施いたしました。十二月は、非正規労働者の雇いどめや採用内定取り消しの急増に対応するため、緊急に開催することとしたものでございます。また年末には、臨時の相談窓口も開設したところでございます。三月には、年度末に向かい、多くの解雇者が出ることが予想されたため、労働相談のほか、東京しごとセンターと共同で再就職の相談も行いました。さらに、本年九月には、職場におけるストレスを抱える労働者の増加に対応するため、仕事の悩み特別相談会を、相談担当職員に加えて、臨床心理士など専門家を配置して実施したところです。
 九月の相談会は多くのマスコミから注目を浴び、テレビでも放映された結果、受け付け開始とともに相談が殺到しまして、全国から約千七百件の電話がありましたが、対応できた相談件数は二日間で二百件でございました。
 その内容といたしまして、職場のいじめなど、人間関係の深刻なトラブルのほか、解雇、長時間労働など、多岐にわたる相談が寄せられているところです。

〇吉田委員
 この特別相談会の内容についてよくわかりました。やっぱり国もいろいろと取り組みをしているようですけれども、都は、都の特色を生かした取り組みをしていただいていると。本当にしっかりと引き続きやっていただきたいと思うんです。
 マスコミにも報じられたということは、都の取り組みについて、これは一つ評価を示すものだと私は考えていいと思います。
 そして、次に、都の身近な労働相談の窓口として、多くの問題解決のための助言を行うということも大切であり、引き続きやっていただきたいですが、職場で実際のトラブルが起きる前に、労働法の基礎的な知識を普及していただいて、いろいろ労使の問題では、知識不足や、あるいは人間関係とか、こういうところからもつれるというところもあろうかと聞いております。そういうトラブルを未然に防止する取り組みというのも、この分野では取り組みが必要だと考えております。そこで、都ではどのような取り組みを行っているのか、お伺いをいたします。

〇小田雇用就業部長
 職場のトラブルを未然に防止するためには、労使が労働法や労働問題に関する正しい知識を知った上で対処する必要がございます。
 このため、都では、労働法をわかりやすく解説したポケット労働法などの冊子を配布しているほか、非正規労働者向けのリーフレットを、ハローワークなどの公共施設に加え、コンビニエンスストアも活用して提供しております。また働く方や事業主を対象に、労働関係法令の内容や最近の労働問題などを解説する労働セミナーなども開催しております。
 さらに、新たな普及啓発の手段として、平成二十年度、時間等の制約から労働セミナーに参加できない方に対して、インターネット上で労働知識の習得ができるe−ラーニングの開発を行いまして、本年四月からチャレンジ労働法と名づけて運用を開始しております。これまで約十六万件のアクセスがございます。
 今後ともこうした取り組みを通じて、労働関係法令の周知徹底に努めてまいります。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 ただいまいろいろとお聞きしてまいりましたが、この労働相談情報センターの役割は、本当に今の情勢の中、ますます重要になっていくものと思っております。都は、働く現場で生じている問題をきちんと把握していただいて、都民が直面する雇用問題を少しでも多く解決をしていくため、引き続きしっかりといろいろの機会をとらえて、またいろいろの手段を使って、相談や普及啓発に本当に積極的に取り組んでいただきたい、このようにお願いを申し上げ、次の質問に移ります。