環境・建設委員会 (自然環境保全審議会「中間のまとめ」について)
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平成20(2008)年12月12日
環境・建設委員会
〇吉田委員 私からも質問させていただきます。 ただいまの山田委員の方から大変有意義なご指摘がありまして、私も大変勉強になった次第であります。 この条例でございますが、そもそも高度経済成長時代に都市化の波によって東京の緑が急速に失われる中、昭和四十七年に都が自然環境に対する無秩序な開発に歯どめをかけるために制定したのが、東京における自然の保護と回復に関する条例であります。 類似の制度といたしまして、宅地開発などの際に都市計画法の第二十九条に基づいていろいろ規制を行う開発許可制度がございますけれども、この自然保護条例における開発許可制度と、都市計画法における開発許可制度の、これ違いはどういうことなのかお伺いいたします。
〇中島自然環境部長 都市計画法第二十九条の開発許可制度でございますけれども、これは計画的にまちづくりを図るという法の目的を達成するため、開発に際して道路ですとか公園等の公共施設などを一定水準以上確保させる制度でございます。 これに対しまして、私どもの条例の開発許可制度は、条例の第三条にも掲げられておりますが、先ほど来申し上げているとおり、開発に当たって損なわれる自然を最小限にとどめ、自然が損なわれた場合にはその回復を図ることを目的に創設された制度でございまして、自然環境の保護を前提とした制度となってございます。 そのため、本条例では、開発に当たり、緑地基準に応じた緑地の確保が求められるのに対し、都市計画法二十九条の開発許可制度では公園、緑地、広場を設けることが求められております。 本条例の開発許可制度と都市計画法に基づく開発許可制度が相まって、市街地においてより多くの緑が確保されると考えております。
〇吉田委員 よくわかりました。 都市計画法の場合は公園、緑地、広場とありますが、自然保護条例の場合は緑地ということに絞ってというか、重点を置いて規制をというか、行うということで、しかもこれが両方とも同一の対象に対して規制がかかることによって、相まってより多くの緑が確保されるということが、よく理解できました。 それで、今のご答弁にもありましたように、自然環境保護という観点に着目したこの都の開発許可制度は、大変意義のある制度でございますけれども、今回、中間の取りまとめがございましたが、現在どのような課題があるのかをお伺いいたします。
〇中島自然環境部長 中間のまとめでも指摘されてございますが、主な課題といたしまして、一つ目は、住宅系の開発におきまして、既存樹木等の保全についての規定がないことから、開発の際に既存樹木を伐採し新たに植樹をする、そういった事例が少なくないということがございます。 第二に、制度により確保された緑地の保全につきましては、あくまでも事業者等の努力にゆだねられておりまして、事業完了後の緑地を保全する仕組みがないことがあります。 第三には、マンションなどの共同住宅の開発につきまして、緑化計画書制度による案件と比べますと、確保される緑地が不十分であるなどの課題がございます。
〇吉田委員 大変今の課題がわかりました。せっかく既存の、緑地開発に当たって損なわれる自然を最小限にとどめるという目的に対して既存の樹木等の保全についての規定がないことなど、確かに大きな課題であったんだと思います。 先般、去る十一月二十一日に公表されました今回の中間のまとめは、私も委員にしていただいております東京都自然環境保全審議会に、昨年十月に諮問をされて、その後、計画部会の審議を経て取りまとめられたものでありまして、私も一生懸命読ませていただいておるんですが、この中で示されている制度の強化の方向というのは、大変に望ましいものだと思います。先ほどの山田委員のご質疑でもわかりましたけれども、本当にこの方向で制度の改正を行っていただきたいと思うんですけれども、先ほどご答弁のあった主な課題三つ、この三つの課題を克服してより緑の保全を推進するために、今回の中間のまとめでは具体的なその制度強化の方向性として、既存の樹木等の保全の検討義務化、それから維持管理計画書の作成とそれに基づく維持管理の義務化といった新しい仕組みなどが示されているわけであります。 特に既存樹木の保全という観点からしますと、今回の制度の強化、この方針によりますと、方向性によりますと、開発許可制度が適用される開発案件、市街化区域であれば敷地面積三千平方メートル以上、市街化調整区域であれば一千平方メートル以上の開発について既存樹木の保全検討が義務化されるということでありまして、これまでよりも既存の樹木の保全が進むことは本当に期待されます。 その上ででございますが、緑の保全をより一層推進する、特に既存の樹木の保全を一層これを推進するという立場からは、開発許可制度が適用されない市街化区域における敷地面積三千平方メートル未満の開発案件についても、この保全が進むよう取り組むべきだと考えますけれども、所見をお伺いいたします。
〇中島自然環境部長 開発許可制度が適用されない市街化区域におけます敷地面積一千平米から三千平米未満の開発案件につきましては、緑化計画書制度の適用となります。 この緑化計画書制度におきましても、先ほど来ご答弁申し上げているように、良好な緑の増加が図れるよう、そういった誘導する仕組みにつきまして審議会の最終答申等を踏まえ、検討してまいります。
〇吉田委員 市街化調整区域などでは一千平方メートル以上という縛りがかかるんですが、市街化区域においては三千平方メートル以上と。それ以下は、この緑化計画書制度でということでございますので、改めてこの仕組みの検討ということをよろしくお願いいたします。 それでは、この開発許可制度でも緑化計画書制度でも、いずれにも該当しない敷地面積一千平方メートル未満の開発案件については、どのような取り組みがなされているのか、あるいはなされるのかということについて、お伺いいたします。
〇中島自然環境部長 多くの区市町村におきまして、条例あるいは要綱などによりまして独自の基準を設けて一千平米未満の小規模開発案件につきましても、開発指導を行っております。 また、条例や要綱等に基づく保存樹木・樹林といった既存樹木を保全する制度を設けている区市町村も多いわけでございます。 このように、緑の保全、創出に向けまして、各区市町村がそれぞれ独自の取り組みを行っているところでございます。
〇吉田委員 多くの区市町村で独自の基準を設けていらっしゃるということで、つまり全部の区市町村ではなくて、二十三区のうちでいえば二十二区、二十六の市のうちでは二十五、そして町村の中では逆に独自の基準を設けているところの方が少ないという状況であるかと理解しております。 もちろん各区市町村のそれぞれの置かれた環境状況において適切にやっているのだろうとは思うんですけれども、やはり自治体によっては取り組みが少し足りないとか、そういうところもある可能性もあるということでありまして、これは本当に東京都として密に各区市町村と連携をとって、この中間まとめにもございますが、この保全の後押しをぜひしていただきたいと思うわけであります。 そして、この取り組みの状況についても、やはりわかりやすく都民が理解をしていく必要があると思うんですけれども、この各区市町村が持っている条例や要綱などに基づく保存樹木・樹林の制度につきまして、その制度内容などを調査してホームページなどで公表をすべきだと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
〇中島自然環境部長 各区市町村におきましては、それぞれ非常にさまざまな工夫を凝らして、そういったことを独自のホームページで公表しているところでございますが、お話の各区市町村が条例や要綱等に定めている保存樹木・樹林の制度につきまして、都といたしましても制度概要等について定期的に調査を行っておりまして、既に都民情報ルーム等で閲覧できるようになっております。 また、やはり制度強化に際しましては、必要な情報提供などによりまして事業者の皆さんが円滑に取り組めるよう、そうした情報を提供することによってきめ細かな対応を行ってまいります。
〇吉田委員 ありがとうございます。 既に都民情報ルームなどで閲覧できる、あるいは各区市町村でも閲覧できるんだと思いますけれども、やはり電子政府というか、IT革命などの行政コストあるいはサービスのコスト低減という観点からも−−私なんかは中野ですから新宿へぱっと来れますが、会社にお勤めの方はなかなかお休みをとって来るわけにもいきませんし、あるいは多摩とか、あるいは江戸川とか、なかなか都庁まで来るのが大変な方もいらっしゃるかと思います。 国土交通省は、樹木保存法に基づく保存樹及び保存樹林等の指定状況というのをホームページで公開しておりますし、また条例等に基づくものについても全国の都道府県、市区町村につきまして、保存樹及び保存樹林等指定状況、これはホームページで公開しております。ぜひ東京都におかれましても、この都内の各区市町村の保存樹木・樹林の制度、そして現在の保存樹の本数とか樹林の面積とか、こういうものについて国土交通省などと別の調査を独自に行っていらっしゃるわけでありますので、それも東京都としても公開していただくのは非常に意義のあることだと思います。ぜひそういうこともご検討いただくように強く要望させていただきます。 そして、改めて良好な既存樹木の保全を図っていくというこの条例の趣旨、そして今回の中間のまとめの趣旨を踏まえて、都と区市町村とがより一層連携してこれを進めていく、取り組むことが必要だと考えますので、改めてこの連携のあり方についてお伺いいたします。
〇中島自然環境部長 緑のさまざまな施策を推進するに当たりましては、東京都と区市町村が適切に役割分担をしながら連携して取り組むことが重要でございます。 地域の緑の状況ですとか、それぞれの緑の価値を熟知しております地元区市町村による、先ほど来申し上げております独自の緑施策の展開は、緑あふれる東京の実現に不可欠でございます。 今後、良好な既存樹木の保全検討義務につきましても、地域の実情を踏まえた仕組みとするなど、区市町村としっかりとスクラムを組んで実効性のある緑づくりを行ってまいります。
〇吉田委員 ありがとうございます。 今回の内容でございます、報告事項でございます中間のまとめにつきまして、大変に内容を理解させていただいて、ぜひこれに基づいて改正というか、緑の施策が進むように期待をしております。今後、具体的な検討を深めていただいて、実効性の高い制度を構築していただいて、区市町村、都民、民間事業者などと十分な連携をして、緑の施策を推進して緑豊かな東京の実現にぜひ努めていただきたいと思います。 私からの質問を終わります。
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