環境・建設委員会 (小笠原諸島の世界遺産登録、自然保護条例に基づく希少植物の移植、都道秋多三・三・九号線高瀬橋工事計画、自転車の利用促進について)

平成20(2008)年11月18日

環境・建設委員会

〇吉田委員
 皆様、お疲れさまでございます。
 私は、昨年からこの委員会に所属をさせていただきまして、昨年一年、環境局の事業について勉強させていただきまして、東京都の環境局というのは、日本をというか、全国の自治体を牽引するしっかりした環境に関する行政をやっていただいているんだなということを感じている次第であります。
 本日の各委員の皆様の質疑をお聞きしても、大変深い見識と問題意識に敬意を表すると同時に、引き続き行政と議会が両輪でしっかりと、この東京をすばらしい都市にしていかなければいけない、こういう思いを新たにしているところであります。
 カーボンマイナス東京十年プロジェクトで提案しております世界で最も環境負荷の少ない都市の実現、あるいは東京都の環境基本計画にございます世界の諸都市の範となる持続可能な都市モデルを発信していくと。そして、より質の高い都市環境の形成による都市の魅力の向上と、都市間競争の中で人や企業を引きつけ、選択され続ける都市、こういうものをつくっていくという観点で、例えば昨年、日本で先駆けて排出量の取引の制度を取り入れたり、大変なことをやっていただいております。
 私は、昨年は、地球温暖化防止あるいは廃棄物対策などを中心に質疑をさせていただいたわけでございますけども、本日は、今の時点でぜひお聞きをしたいという点について、何点か質問をさせていただいてまいります。

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 まず、小笠原諸島の外来種の対策、この問題から質問させていただきます。
 改めて申し上げることもないかもしれませんが、小笠原諸島は生物の種の起源が非常に多様であって、独自の進化の過程で多くの固有種を生み出してきたばかりか、今なお進化中の過程を見ることのできる、こういう世界でもまれな地域であります。
 中でも、陸産の貝類九十五種の固有種率は九三%と、ほとんどと極めて高く、現在も新種の発見が続いております。そしてまた、小さな海洋島でありながら植物の種類も多く、小笠原の特徴的な植生である乾性低木林を構成する植物では、六十九種の固有種が確認をされ、固有種率は六七%となっております。そして、世界じゅうのさまざまな中で、この小笠原ほど変わった種が混合している地域もないという、世界でほかに例がない地域だということが、学者の間で評価が定まっているということであります。
 このようなたぐいまれな自然環境を後世に残していくべく、東京都では世界自然遺産の登録を目指しているところであります。
 そこで、まず遺産登録に向けたスケジュールがどのようになっているかお伺いをいたします。

〇中島自然環境部長
 小笠原諸島でございますけれども、世界自然遺産登録を目指しまして、平成十九年一月に政府がユネスコに世界遺産条約暫定リスト、いわゆる暫定リストでございますけども、これを提出いたしております。
 現在、小笠原固有の生態系を駆逐しております外来種の排除や、登録に必要な推薦書、それから管理計画の策定を行っております。
 今後、平成二十二年一月の推薦書提出を目指しておりまして、その後、ユネスコの諮問機関による評価を受けまして、平成二十三年七月ごろ登録の可否が決定される見込みでございます。

〇吉田委員
 二十三年の七月ごろ登録の可否が決定という大事な状況なんでありますけれども、この世界自然遺産の登録に向けましては、外来種対策の実績を上げることが最大の課題であるということであります。関係機関がそれぞれに対策を講じているところでありますけれども、都においても精力的に外来種対策を推進しているという状況だというふうに認識をしておりますが、都はどのような事業を実施して、そしてどのような事業の成果が出ているのか、お伺いします。

〇中島自然環境部長
 東京都といたしましても、これまでノヤギの排除、これを平成九年以降、聟島列島の媒島から順次行ってきておりまして、希少固有植物の回復などの成果を上げてきております。平成十六年から排除を始めました兄島におきましても、根絶に近い状況となったことから、当初予定を一年前倒しをいたしまして、弟島でのノヤギ排除を今年度から着手いたしまして、そこでも早期の根絶を目指しております。
 また、聟島列島や南島では、固有植物を駆逐しておりますギンネムや竹、ササなどの外来植物の排除を行いまして、小笠原本来の植生の回復を図っております。
 また、東京都レンジャーを配置いたしておりますけれども、母島へ渡航する際に、靴底洗浄の指導を行いまして、外来種拡散防止を図り、陸産貝類を保全しているところでございます。
 来年度以降も、これらの外来種対策を着実に推進してまいります。

〇吉田委員
 ありがとうございます。着実に成果も上がっているというところだと思いますけれども、私も小笠原へ参りまして、実際にグリーンアノールとかアカギとか、さまざまな外来種の状況を見ておりまして、自然遺産としてしっかりと価値があるというふうに認められて、登録してもらって、そして小笠原の価値が守られていくためには、行政機関による外来種の対策にとどまらず、本当に島を挙げて、島民も、あるいはこれを楽しみにいらっしゃる観光客も、小笠原の貴重な自然を保護するために、皆さんで協力して取り組んでいく、こういう思いを一つにするということが不可欠なはずであります。
 先ほどエコツーリズムについてもご議論がございましたけれども、島を挙げてというか、そのためにどういうふうに取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

〇中島自然環境部長
 ただいま委員からご指摘がございましたように、小笠原の自然環境を保全していくためには、行政による外来種対策だけではなくて、島民や観光客が小笠原の自然について十分理解をし、新たに外来種を持ち込まないなど、そうした環境に負荷を与えない行動をとることが大切でございます。
 そのため、小笠原のビジターセンターでの企画展示ですとか、あるいは今年度作成を予定しておりますけれども、小笠原の自然のすばらしさ、それから外来種対策の必要性を紹介するDVDを、島内の学校で活用したり、あるいは先ほどありましたように、「おがさわら丸」ですね、船の中で放映することはもとより、あらゆる機会を通じまして、島民、それから観光客に対する普及啓発を幅広く実施いたしまして、理解を深めていきたいというふうに考えております。
 それから、さらに遺産を守っていくための具体的な方策を示す管理計画におきまして、島民、それから観光客が遵守すべき事項を盛り込みまして、それらについて理解を求め、行動を促してまいります。
 こうしたことを展開することによりまして、小笠原全体、そして都民も巻き込んで、小笠原の自然環境を保全してまいりたいと考えております。

〇吉田委員
 ぜひよろしくお願いいたします。
 新聞、テレビなどでも、屋久島では、自然遺産に登録をされてその価値がわかったために、逆に観光客が殺到して、島の自然遺産が傷んでいるというような状況が起きることに、どうやって管理をしていったらいいか、こういうことも課題になっているというふうにも伺っております。
 いわば小笠原ルールというか、そういうものをしっかりと、島の方だけでなくて、来島される方にもきちんと理解をいただいて、グリーンアノールも飼っていたものが逃げたのがここまでふえてしまったんだということでありますので、島全体で、あるいは入島者全体がその価値を守ることは大変に努力が要ることで、そのためにみんなで努力しなきゃいけないんだということを、ぜひ東京都も一生懸命普及啓発に引き続き努めていただいて、小笠原の自然環境保全と、そして世界自然遺産登録に向けて、お取り組みを引き続き続けていただきたいと思います。

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 続きまして、自然保護条例に基づく開発の許可に関して幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 冒頭申し上げましたとおり、自然環境の保全というのは、小笠原のような貴重な種が残っているところだけでなくて、私どもが生活をしているすぐ近くの東京都内におきましても、この保全は非常に重要でありますし、次の世代のためにもそれを残していく、維持保全に可能な限りの努力をしてまいらなければなりません。
 その一方で、持続可能な、世界の中で魅力のある都市づくり、こういうことへの、いろいろな自然に改変を加える作用を働かせていくということも、これまた必要なことであります。
 私は先般、自然環境保全審議会の委員になりまして、開発案件における希少植物への配慮に関して審議会で議論をさせていただきました。その際に植物の専門家の方々とも意見交換をさせていただいて、初めて知ることなどもありまして、適切な都市開発に関して、希少な植物の保護、この面で一層取り組まなければいけない点があるという思いを強くしたところであります。こうした認識に立ってお伺いをいたします。

 まず、都内で一定規模以上の自然地を含む土地を開発しようとした場合の自然保護条例に基づく開発許可、これを受けることが義務づけられているわけですが、過去五年間、都内で開発許可をした案件はどのくらいあるのでありましょうか。
 そしてまた、それらの許可案件のうち、過去三年間に絞りまして、都のレッドデータブックなどに掲載されている希少な植物を移植した事例は、年度ごとにそれぞれ何件あるのか、お伺いをいたします。

〇中島自然環境部長
 過去五年で開発許可した案件でございますけれども、四百八十五件でございます。
 このうち、過去三年間で東京都のレッドデータブックなどに掲載されている希少な植物の移植事例でございますけれども、平成十七年度が三件、十八年度が五件、十九年度が四件でございます。

〇吉田委員
 五年で四百八十五件と。つまり年百件ほどの許可の案件があり、そのうち希少な植物の移植の事例は年に四、五件ずつあるということでございます。
 開発の許可に際して、希少な植物を移植するなどの配慮措置がとられたことは大変重要な措置でありますが、せっかくというか、措置をしていただいた希少植物の移植後の状況、すなわちその後の生育の状況はどうなっているのか、お伺いをいたします。

〇中島自然環境部長
 十七年度につきましては、三件の案件において六種を移植しております。そのうち二件、三種は、移植後の状況が把握できておりませんで不明でございます。そして、残り一件の三種は良好な状態にあります。
 また、十八年度でございますが、五件、十三種を移植いたしまして、一種が移植後の状況が不明、そしてその他はおおむね良好な状態にございます。
 また、十九年度は四件、十一種を移植いたしまして、一種は移植後の状況が不明ですが、その他はおおむね良好というような状況となってございます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。おおむね良好というものが大勢であるということで、ひとまずは安心をいたしました。細かなデータもいただいているところでありますけれども、確かにそのとおりだと思います。
 しかし、ただ一つ懸念というか、気にかかりますのは、中には移植後の状況が不明という案件もあるということであります。貴重だからせっかく移植をした、そしてその後の状況を把握していく、こういうデータを集積していくこと自身、今後の保護に向けて非常に参考になるというか、価値のあることだと思います。ということからして、不明なものもあるということでありますが、都は、移植後の状況を的確に把握する必要がそもそもあるというふうに考えますけれども、この点はいかがでしょうか。

〇中島自然環境部長
 開発に伴います希少植物の移植後の状況把握についてでございますが、いわゆる植物の専門家でも、移植後のモニタリングによりまして状況の把握を始めたのは、わずか三、四年前からというふうにいわれております。東京都といたしましても、平成十八年度に自然環境保全審議会規制部会の指摘を受けまして、それ以降、開発面積が三ヘクタール以上の案件の移植については、すべて事業者にモニタリングを義務づけております。
 今後でございますけれども、開発面積にかかわらず、すべての移植事例について、許可条件の中で事業者にモニタリングの義務づけをいたします。こうした移植に係るデータを蓄積し、また活用することによりまして、希少植物の一層の保護に努めてまいります。

〇吉田委員
 大変前向きなご答弁をいただきましてありがとうございます。移植後の状況について、今後、すべての許可案件について事業者にモニタリングを義務づけていただいて、そのデータを蓄積して、今後のさらなる知見の向上というか、そしてさらに良好に、きちんと移植して生育できるようにしていただけるという踏み込んだご対応をいただけるということで、大変にうれしく思います。
 鳥のトキも、日本産のものは絶滅してしまったわけでありまして、気づいたときには手おくれであったということが二度とあってはならないわけで、今から手を打ってあれば幾らでもというか、間に合うという絶滅危惧種、絶滅の危険のある動植物がたくさんあるわけであります。環境局におかれては、これまで以上に、今ご答弁いただいたように、適切に事業者を指導していただいて、貴重な自然の保護に努めていただきたいと思います。

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 そして、同じく条例に関しまして、今度は具体的な個別の案件について質問を続けさせていただきます。
 都道秋多三・三・九号線の建設事業に関してであります。
 現在、この案件は、あきる野市の氷沢橋交差点から五日市街道の区間の整備事業、こういう中で、平井川に橋梁を建設するという計画、こういうことになっております。
 私も去る十六日、この日、日曜日朝だったんですが、現地を見てまいりましたが、大変すばらしい豊かな自然が広がっているきんちゃく田というような状況でありまして、ちょっと私はよくわかりませんが、都内に残された最後のというふうにおっしゃる方もいるきんちゃく田だそうでありまして、多くの動植物の生育の場である、そういう大切な場所だというところを見てまいりました。
 この事業地の周辺には、希少動物も生育が多数確認されておりまして、また、地元の自然環境に関するいろいろな団体の方々などから、多数の意見が寄せられているという状況もございまして、事業を進めるに当たっては、こうした自然環境の希少性などに十分配慮する必要があるというふうに考えております。こうした観点から何点かお伺いします。
 まず、自然保護条例では、国の機関もしくは地方公共団体等が一定規模以上の自然地を含む土地を開発しようとする場合、開発の許可に関して知事に協議しなければならないとされております。
 そこで伺いますが、本件事業は、多摩環境事務所で協議をされていると思いますけれども、協議の状況と今後の見通しはどのようになっているのか、お伺いをいたします。

〇中島自然環境部長
 本件でございますけれども、これはことしの十月三日付で、西多摩建設事務所長から東京都知事あての協議書を多摩環境事務所で受理しております。現在、協議書に添付されました計画概要書、計画図、自然環境調査結果に基づく自然環境保全計画書などをもとにいたしまして、自然の保護と回復について十分配慮されているものであるかどうかなどの事項について審査をされております。
 しかし、この間、地元の自然保護団体から、オオタカの生息状況につきまして、西多摩建設事務所が委託して実施した自然環境調査結果と異なる見解が寄せられていることなどから、自然環境調査の精査とオオタカの行動圏調査等の実施を求めているところでございます。

〇吉田委員
 現在、自然環境調査の精査を求めておられるというところでありますが、これは西多摩建設事務所が委託をして行った自然環境調査の結果、私も拝見をいたしました。
 そうしますと、現地調査で、成鳥の雄、雌の飛しょうを確認しているにもかかわらず−−調査結果に書いてあるんですね。にもかかわらず、つがいと判別していないわけであります。このことについて、私、環境省に問い合わせましたところ、雄と雌が飛んでいて、つがいではないというのは、つがいでないことを証拠づけなければ、証明しなければ、一般的にはつがいと判別するべきだろうというご回答でありました。
 実はこの報告書、私もちょっと見ていて、オオタカの繁殖期についても誤認があるというものでありまして、これも私は環境省に確認しましたけれども、基本的な事実関係についても、これは都民の税金で都が委託調査を行って、調査をされた会社の報告書が基本的なことで何点も認識が違う点があると。非常に厳しいいい方をすれば、これはちょっと不備があると思いますけれども、多摩環境事務所ではどのようにお考えになっているのか、見解を伺います。

〇中島自然環境部長
 先ほどもお答えをいたしましたけれども、これは相互に見解が異なっていることなどから、さらに精査が必要という観点から、オオタカの行動圏調査等の実施を求めておりまして、なお補うべき点があるというふうに考えております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。なお補うべき点、私もあろうと思います。
 この平井川周辺というところで、長く観察や調査を行っている自然保護団体では、繁殖期のディスプレーフライトですね、繁殖行為や、幼鳥、要するにひながかえった幼鳥の飛しょうなども確認をしているところでありまして、その団体として、オオタカが繁殖をして生息しているという見解を示しております。
 こうなりますと、環境省の猛禽類保護の進め方、これを見ますと、きちんとした調査を実施して、その結果に基づいて審査し、判断するべきであるというふうに思いますけれども、環境省の猛禽類保護の進め方、これに基づいてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。

〇中島自然環境部長
 私どもも、環境省の猛禽類保護の進め方、これに基づくものだというふうに考えております。その上で、事業地周辺のオオタカにつきましては、多摩環境事務所に現在幾つかの情報が寄せられております。このため、西多摩建設事務所に対しまして、委託した自然環境調査内容の精査、自然保護団体等の調査結果の整理、また、これまでに得られたさまざまな情報を提供した上で、しかるべき専門家の意見聴取等を行うよう指示しております。
 今後、こうした専門家の意見等を踏まえ、適切に対応してまいります。

〇吉田委員
 ぜひ適切に対応していただきたいわけであります。
 そもそも、東京都など、非常に奥の方までというか、山の方まで人も住み、開発が進んでいるようなところでは、そうでないところに比べて、オオタカなど猛禽類の生態の形態も大きく変わっているというか、営巣の中心域の近くだけを保全すれば、それで事足りるというような状況ではなくて、例えば主要なえさ場とか、ちょっと遠いところにでも、開発から残っているところに、ちょっと遠いところでも行かなければその生態を維持できないというような生態の状況というのが観察されるので、保護の仕方というのも、人の開発の進んだところでは、そうじゃないところよりも、より厳密にというか、生態を踏まえてやらなければいけないんだという考え方が、最近、保護を考える方々の中で主流になっているようであります。
 そうした中で、例えば埼玉県や神奈川県などでは、独自の、環境省と別途の、もうちょっと綿密な指針というものもつくって、自分の自治体内の保護に活用しているという状況でありまして、例えば、一点だけご紹介をすれば、東京都の場合は、開発許可の手引におきまして、オオタカの生息に関する調査及び解析を実施しとしながらも、特例というか例外として、調査に基づく営巣中心域が策定されない場合は云々と。その後は、三百五十メートルまでの範囲をみなすとか。しかし、そもそも営巣中心域を策定しないということ自身が、ちょっと綿密さを欠くというか、そういう点について、例えば埼玉県の保護指針では、営巣中心域の判定という項目を設けまして、ずらずら読み上げませんけれども、詳細に、だれから見てもわかりやすく、その地域を、区域を判定する、こういうことを定めて記載をして運用しているわけであります。
 ぜひ、少なくとも環境省の指針、これの手続、決まりに基づいて保護のあり方をしっかりと進めていただくということを重ねてお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

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 最後に、自転車の利用の促進という観点についてお伺いいたします。
 昨年の四定の一般質問でも、あるいは事務事業でも質問させていただきましたけれども、自転車活用対策、これについて、まずこの意義につきまして都の見解をお伺いいたします。

〇市川自動車公害対策部長
 自転車は、環境に優しく、都民に身近で便利な交通手段でございます。移動に当たりまして自転車の利用を図ることは、自動車交通量の抑制にもつながりまして、CO2削減にも効果があることから、日常生活などさまざまな場面におきまして自転車の利用促進を図っていくことは、環境の観点からも重要であると認識しております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。おっしゃるとおり、都内からの二酸化炭素の排出量の約二割が自動車から排出をされていて、この利用を抑制するためにも、自動車から公共交通機関や、そして自転車などへの交通行動の転換をぜひ促進するよう、都としても啓発、普及に努めていただきたいと思うわけであります。
 中でも身近な交通手段、自転車の利用促進、これについては局をまたがったというか、さまざまな局にご協力をいただきながら、安全で便利に利用できる環境を整えていくという必要があるわけでございます。
 昨年のご答弁で、利用促進にかかわる取り組みの進捗状況などを適宜取りまとめて、周知に努めていただくというご答弁をいただいたわけでありますので、その後の自転車利用促進に関するお取り組みの状況、そしてその成果についてお伺いいたします。

〇市川自動車公害対策部長
 東京都はこれまでも、自転車道の整備などを始めまして、自転車の活用対策を実施してきたところでございますが、今年度から新たに自転車利用促進の普及啓発という観点で、庁内各局や関係機関と連携しまして、九月に環境交通キャンペーンを開催いたしまして、環境に優しい自転車の特性、自転車の交通安全、自転車の乗り方教室などのPRを行ったところでございます。また、荒川区などが開催する環境イベントなどにも参画いたしまして、環境に優しい自転車利用のPRに関係機関と連携して取り組んでおります。
 さらに、ホームページも活用いたしまして、関係区市等機関でやってございます自転車走行空間整備に関します社会実験の情報なども掲載をするなど、都民等への周知の拡大も図ってきてございます。
 こうした取り組みを通じまして、都民等に対しまして自転車利用促進の意識浸透を図っているところでございます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。いろいろとお取り組みを進めていただいているということでありますけれども、このキャンペーンとかホームページとか、一生懸命お聞きをさせていただいていて、やっぱり初めは産みの苦しみというか、大変ご苦労されながらキャンペーンを打っていただいて、ただちょっと、各局の連携というところで、本年度のというか、お取り組みで、もうちょっと頑張ってほしいなという思いもないわけではありません。
 というのは、例えばオリンピックの招致などについては、町連、商店街も巻き込んで、さまざまな啓発というか、招致の機運を盛り上げる活動をしていただいていることに比べて、私のおります中野では、年に一度、中野祭りというのがありまして、オリンピックの招致のブースはちゃんと来たんですけども、環境関係のが残念ながら、小さな区だからなのか来なかったんですけども、他局の行っているいろんなイベントがありますよね。いっぱいあります。そういうものにも連携を、そして各区市町村、こういうところの事業にも、具体例も、既にやっていらっしゃると思いますけども、もっとやっていただく。そして、関係の団体、組織、こういうところとも連携をして、自分の局、課の事業だけでなくて、人の場所も借りてどんどん啓発を進めるということをやっていただきたいわけでありますが、二十一年度以降のお取り組みについて伺います。

〇市川自動車公害対策部長
 今年度の取り組みも踏まえまして、来年度はさらに普及啓発を促進するという一環から、例えば先ほど申し上げました環境交通キャンペーンにおきましても、連携して参加する団体の拡充を図ってまいりますとともに、庁内各局や区市町村等の関係機関が行っておりますさまざまな環境イベントへの参加の拡大も図ってまいりたいと思っております。
 また、イベント時に限らず、通年にわたっての広報も重要だと考えておりますので、広報紙やリーフレットを初めまして多様な広報手段を用いまして、自転車利用促進の普及啓発のための広報活動を行っていきたいと考えてございます。
 また、先ほど連携というご指摘をいただいてございますが、自転車関係の庁内各局あるいは区市との連絡会なども活用いたしまして、関係機関の連携を一層強めまして、情報の充実等を図ることによりまして、都民等への普及啓発、意識啓発を推進してまいりたいと考えております。

〇吉田委員
 非常に積極的なご答弁、ありがとうございます。
 ホームページにつきましても、各局連携の状況というか、社会実験のところのみならず、他局のお取り組みにもわかりやすくリンクをしていただいたり、見ていて、非常に重いというんですけど、なかなかあかないPDFファイルがあったり、お忙しいとは存じますけど、エコドライブとか共同配送とかお忙しいと存じますが、自転車のところもより都民に働きかけを進めていただきたいと思います。
 本日は、非常に限られた分野をご質問申し上げましたけれども、冒頭申し上げたとおり、地球環境保全あるいは地域の環境改善、さまざまな、全幅の信頼を置いておりますが、引き続き都政の進捗に邁進していただくように改めてお願いして、質問を終わります。