環境・建設委員会 (海岸保全事業、連続立体交差事業について)

平成20(2008)年3月18日

環境・建設委員会

〇吉田委員
 皆様、長時間お疲れさまでございます。私からは、まず、海岸保全事業についてお伺いをいたしてまいりたいと思います。

 昨年の第四回定例会で質問もさせていただいたのでございますけれども、海岸保全事業というのは、国土を保全し、領海、排他的経済水域、いわゆるEEZを維持するという、これは、東京都のみならず日本という国全体にかかわる最も重要で基本的な施策の一つであるというふうに考えます。
 建設局は、この海岸保全事業を行い、一般公共海岸を管理するという重要な仕事をしている部署でございますので、本日は幾つかの点を伺ってまいりたいと思います。
 本日、お許しをいただきまして、海上保安庁がホームページで出しております日本の領海等概念図、こちらもごらんいただきながら質疑をお聞きいただければ、と思うのですが、まず、現在、東京都の管内にある伊豆諸島や小笠原諸島の中に、非常に面積が小さく、脆弱な島で、しかも大きな島に付随しているのではなくて、海洋の中に孤立して存在している島、いわゆる絶海の孤島として存在をしている島にはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。

〇高橋河川部長 
 お話の伊豆・小笠原諸島におきまして、面積が〇・一平方キロメートル以下の孤島は、北から申し上げますと、東京の南四百二十三キロメートルにあるベヨネース列岩、四百七十六キロメートルの須美寿島、六百五十八キロメートルの孀婦岩、さらには、千七百三十三キロメートル離れている、我が国最南端の沖ノ鳥島がございます。

〇吉田委員 
 ありがとうございます。皆様ご存じのとおり、日本は三千以上の島から成りまして、この領海等概念図でも、沖鳥や硫黄島、小笠原、南鳥島、沖大東等さまざまな島がありますが……(発言する者あり)もちろんです、竹島も含めてですね。しかし、〇・一平方キロメートル以下の孤島といいますと、沖ノ鳥島を含めて、東京都の管内にはあと三つあるということで、私もそのように認識しております。
 先ほどありましたベヨネース列岩、(写真を示す)こちら本当に岩がちょこちょことあるだけのもの。須美寿島、これも岩山がぽつんと、この周りは全部海ですね。そして孀婦岩、これも岩が百メートルの高さのものが海上にぽつんと屹立しているというものでございます。
 こういう非常に面積が小さく、海洋の中に孤立して存在している島というのは、強い波浪や風雨、あるいはここは火山帯にございますので、地震、付近の海底火山活動などにより、いつ何どき侵食され、あるいは崩壊して水面下に沈んで失われてしまうかわからない、こういうおそれがあるのではないかと懸念をしております。
 例えば、ベヨネース列岩の近くにございました明神礁、ここは一度島になりましたけれども、島が吹き飛ばされてまた水面下に潜っていたり、あるいはさまざまな島が出てきては侵食で洗われて、また水面下に潜るということが、日本のあらゆるところで起きているという認識をしております。
 もしそうなれば、領土として認められなくなりまして、領海も排他的経済水域も喪失し、将来的に非常に大きな国家的損失になるものと認識します。
 実際、沖ノ鳥島は、戦前の調査ではサンゴ礁の中に二・八メートルの高さがあった北小島、昔は北露岩と呼ばれましたが、これを含め六つの島があったようであり、一九六八年に日本に返還された後も、一九八二年以前は四つの島が出ておりました。しかし、今は北小島、現在の高さは満潮時数十センチということでありますが、それと東小島、これは昔、東露岩といわれていたようですが、この二つのみになってしまっております。侵食によって失われたということです。
 この残り二つの島も消滅のおそれがあるということで、ようやく国の直轄事業として消波ブロックの設置やコンクリートの充てんなどの海岸保全事業が行われて、島として今、保全している、こういう状況でございますが、翻って、沖ノ鳥島以外の、ただいまご答弁いただいたベヨネース列岩や須美寿島、孀婦岩についても同じように心配をする必要があるのではないか、このように考える次第です。
 そこで、もしこの三つの孤島がなくなった場合の日本の領海と排他的経済水域は、おおよそどのくらい減少するのか、お伺いします。

〇高橋河川部長
 領海と排他的経済水域の行政上の所管は外務省でございますので、問い合わせました。そうしましたら、公表していないとの回答でございました。
 責任をもって計算できる立場ではございませんが、たっての委員からのご要望でございますので、図上で、島の大きさや形状を考慮に入れずに大まかに試算いたしましたところ、領海は、島の中心から半径十二海里、約二十二キロメートルの範囲で、およそ四千六百平方キロメートル程度となりました。
 また同様に、排他的経済水域は、島の中心から半径二百海里、約三百七十キロメートルで、およそ六千五百平方キロメートル程度となりました。

〇吉田委員
 ありがとうございます。大変な計算をしていただいて、どうも本当にありがとうございます。
 島の位置からして、沖ノ鳥島や南鳥島のように、とにかく三百六十度すべて独立の島でEEZが確保されているといえる状況ではございませんので、重複等を除くと、おっしゃったような数字になるということでございますが、この六千五百平方キロメートルというのは、東京都の面積の約三倍に相当いたします。
 これは、今後の海底の資源あるいは海洋の資源、こういうものが、日本にとって経済水域におけるかなりの有益な資源となるということを考えれば、この影響ははかり知れないと思います。
 そして、例えばという例で申し上げますと、これは独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構、こちらが平成十五年に行った調査でございますけれども、ベヨネース海丘、列岩と同じところにある海丘で、ここを調査いたしましたところ、その試料は一トンで、金二十四グラム、銀千二百七十五グラム、そして銅が一・一四%、鉛五・五七%、亜鉛三五%等を含めさまざまな、海底の熱水鉱床というものからベースメタルあるいはレアメタル、こういうものが、地上の鉱山と匹敵するような高水準のものが取れる。少なくともこの伊豆・小笠原の地域で、これは三つ目の海底の熱水鉱床を発見したという記事がございました。
 そして、二十年度の経済産業省の予算要求の中に、国産のレアメタルを確保するために、二〇〇八年度から、この伊豆・小笠原や沖縄といったところの海底の熱水鉱床の開発を目指して来年度五億円の予算を投入してさまざまな調査を始めるということが入っております。
 国全体としてこういうふうに期待をしているという状況でございまして、EEZあるいは領海、こういうものの起点となります三つの孤島の保全は非常に重要な問題でございますけれども、これらの孤島については、現在どのような状態なのかをお聞きしましたところ、ほとんど把握をされていない、こういうことでございまして、私は大変に驚くべき状況ではないかと思っております。
 沖ノ鳥島につきましては、六つあった岩山がもう今二つになってしまった。そして、国の直轄の管理になって、今、一生懸命保全している。これは大変厳しいいい方をすれば、東京都に国が島の保全を、管理を任せていられなくなったから国が直轄にした、厳しいいい方をすればそうなるわけであります。そして、本日、今、私がご質問している三つの島についても、現在の状態がわからないということでございます。
 さきの第四回定例会で海岸の保全の問題についてお伺いしましたところ、伊豆・小笠原諸島における一般公共海岸に対する調査を平成二十五年度までに完了する、そういう目標であるとのご答弁をいただきました。
 しかし、その順番をお聞きしましたところ、本土に近い島から順番に調査を行っていくというふうにご説明いただいたと、理解しております。
 これは、優先度をもう一度再検討してみていただいて、小さくてもろい順番にというか、例えば大島などはあれだけ大きな島ですから、一年に一メートル砂浜が侵食されても、これは大変な損失ですが、一夜にして海に沈んでなくなってしまうということはないわけで、こういう本当に海の中にぽつんと岩だけ出ているといってもいいような島、こういうものを最優先にその状態を調べる、そして、保全が必要、手当てが必要な状態なのかを認識する。こういう孤島に対する調査を優先して一刻も早く行う必要があると考えますが、ご認識をお伺いします。

〇高橋河川部長 
 伊豆・小笠原諸島の海岸保全区域以外の一般公共海岸につきましては、平成二十五年度完了を目標に、現地踏査や航空測量による地形や土地利用状況などの調査を現在進めております。
 限られた予算の中ではございますが、島の住民生活やその他のことをもろもろ考慮いたしまして、今後とも順次、調査を進めてまいります。

〇吉田委員
 まあ順次ということでございますが、この順次というのは、優先順位をよくよくご検討いただきたいということで、今の質疑をお聞きいただいて、局長から、この離島、本当に脆弱な、いつ失われてしまうかわからないこういう島は、本当に国益にとってとても大事なことだと思うのですが、ぜひ決意というか、島を守るのだというか、日本の、東京の大切な島をなくさないぞというご決意をお聞かせいただきたいと思います。

〇道家建設局長 
 今の吉田委員の前段のお話の中で、領海でありますとか排他的経済水域のことに非常に思いをはせたお話でございましたし、ご質問であったと思っておりますが、領海や排他的経済水域の事柄につきましては、まさに所管外でございまして、この場でお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、島などの海岸保全をするということにつきましては、まさに建設局の所管でございます。この重要性につきましては、十二月の第四回定例会で吉田議員の一般質問にも私お答えしたところでございまして、そんなに月日がたっていないものですから、そういう内容になるかと思いますけれども、この海岸保全事業の取り組みについてですけれども、国土を保全し、そして島民の命と暮らしを守るため、台風や季節風などの波浪から海岸の侵食を防止することは極めて重要であると認識しております。
 このため都は、波浪被害のおそれの高い地域や海岸の侵食が著しい伊豆諸島などの二十六の海岸を海岸保全区域に指定し、海岸保全施設の整備を進めておるところでございます。
 また、伊豆や小笠原諸島の海岸保全区域以外の、今お話のあったような一般公共海岸につきましては、地形や土地利用状況などの調査を、ただいま部長が答弁したとおり順次進めておりまして、侵食状況の把握に努めております。
 今後とも、財源の確保に努め、着実に海岸保全事業を進めてまいる所存でございます。

〇吉田委員 
 ご答弁ありがとうございます。
 ただ、人はいないんですよね、無人島ですから。そういうところも、国全体の成り行きということも、首都東京として、首都公務員としてぜひお考えいただきながら、順次、しっかりとプライオリティーをよくつけてご調査をお願いしたい思います。
 そして、もしこれがもろいのであれば、一刻も早く手当てをしなければいけない、こういう事実の確認をぜひされて、公表していただきたいと思います。
 そして、次の質問に移らせていただきます。
 実は次、自転車走行空間の整備についてということをご質問しようと思っておりました。
 昨年の本委員会での事務事業の質疑、あるいは第四回定例会の一般質問で、この自転車走行空間の確保ということで質問をさせていただいて、来年度予算にどういうふうに入っているのかな、こういう話をお聞きしようと思いましたが、原田理事のご質問あるいは橘委員のご質問で、すばらしいご質疑がございました。ですから、これは省略をいたしまして、引き続き自転車走行空間の確保、環境に優しく、そして安全で利用しやすい、そういう東京のまちづくり、自転車の利用促進もできるまちづくり、鋭意積極的に進めていただきたい、このようにお願いを申し上げて、次に、最後の質問に移らせていただきます。
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 最後は、私の地元のことに関連しまして、連続立体交差事業についてお伺いします。
 都内には、平成十九年一月現在、いまだ約千百六十カ所の踏切が存在し、このうち、ピーク時の遮断時間が四十分以上のいわゆるあかずの踏切が約二百八十カ所、実に全国の約半数が東京に集中しているわけでございます。
 連続立体交差事業は、道路整備の一環として数多くの踏切を同時に除去し、交通渋滞や地域分断の解消を図る非常に効果の高い事業でございます。
 現在、都は、JR中央線など都内八路線十カ所で事業を実施していますが、さらに積極的に取り組んでいくべきと考えます。
 そのような中で、昨年末、私の地元であります中野区の西武新宿線中井駅から野方駅までの連続立体交差事業について、国から新規着工準備採択の内示を受けたと伺っております。
 そこで、この中井−野方間における連続立体交差事業の規模というか、延長と、その区間の踏切の数についてお伺いをいたします。

〇藤森道路計画担当部長
 西武新宿線の中井駅と野方駅間におきます連続立体交差事業の延長でございますが、約二・六キロメートルでございます。
 この事業区間の中に九カ所の踏切がございまして、そのうち七カ所があかずの踏切でございます。

〇吉田委員 
 ありがとうございます。現在事業中の八路線十カ所の事業で、今後百八カ所の踏切が除去され、そのうち約半数の五十六カ所があかずの踏切であると伺っています。
 これに対して、中野の事業区間では、九カ所の踏切のうち約八割の七カ所があかずの踏切になっているということで、まさにあかずの踏切が連檐しているという、とりわけ事業効果が高い区間である、このようにいえると思います。
 地域の住民は、これまで本当に不便な思いをしてきたわけで、一刻も早い、あかずの踏切の解消が望まれますが、連続立体交差事業の事業化までには、都市計画や環境アセスメントの手続など相当の時間を要すると思います。
 そこでまず、事業化に向けて平成二十年度はどのようなことを予定しているのか、お伺いします。

〇藤森道路計画担当部長 
 連続立体交差事業を進めてまいりますためには、安定した道路特定財源が必要不可欠でございまして、現在、それに関連する法案が、平成二十年度予算案とあわせて国会で審議されております。
 政府原案のとおり、平成二十年度予算が成立し、この事業が国庫補助事業として新規採択されれば、平成二十年度に鉄道立体化の形式や施工方法などの検討を行い、この検討を踏まえ、都市計画手続や事業化に向けて、国との比較設計協議を進めていく予定でございます。

〇吉田委員 
 財源の問題はともあれ、とにかく東京都として大変必要な事業であると思いますので、ぜひさまざまなご努力をしていただいて、しっかりと財源を確保していただいて、西武新宿線の中井−野方間の事業は、沿線住民を初め地元中野区民はもちろん、鉄道の利用者も本当に長年強く望んできたものでございます。
 この事業の一刻も早い事業化、そして早期の完成を強く強くお願い、要望申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。