公営企業会計決算特別委員会第2分科会 (合流式下水道の改善事業について)

2005.10.26 : 平成16年度_公営企業会計決算特別委員会第2分科会(第3号)


◯吉田委員
 長時間、皆さんお疲れさまでございます。私からは、これまでの委員の方からご質問があったところを多少省きまして、合流式下水道の改善事業について幾つかご質問を申し上げます。
 
 私は中野区に住んでおりまして、中野区には妙正寺川、善福寺川、神田川と三つの河川がございます。私も川や池、湖といった水辺は大変好きですので、都内のみならず、あちこち出かけて、水辺、川辺を楽しんでいるのでございます。私が子どものころからおります中野のこの三つの河川、大変水量は少なくなったけれども、水質は大変改善されたというふうに思っておりますので、これは本当に下水道局の皆様のご尽力のおかげであると感謝申し上げます。
 
 新聞報道によれば、神田川にもアユが十年以上前から遡上しているというようなことでございます。残念ながら中野区にはまだ上ってきていないようですので、これは河川局等いろいろとご努力いただいて、いろいろな方が水辺、川辺を楽しめるような事業をしていただければと思います。
 
 しかし、これは晴天時のことでございまして、各委員のお話もありましたとおり、さきの九月四日の台風でも、中野でも二千戸以上の家屋の床下、床上浸水がございました。こういうときの川の状況は、私も夜中に現場へ行きましたが、大変汚い流れになるということでございます。この原因についてお伺いしましたら、区内の下水道の八割を占める合流式の下水道は、ある一定以上の雨量になりますと、汚水まじりの雨水が河川に流出する構造になっていると。お台場などに漂着して問題になっておりますオイルボールというものも、これは家庭や事業所で下水道に流された油が下水道内で固まって、大雨の際に海まで流れ出る、こういう被害が出ているんだというふうに伺っております。
 
 こういうことに対応するために、下水道局では合流式下水道の改善事業を進めておられると伺っています。まず簡単に、一般的にこの下水道の改善事業を改めて確認のためお伺いいたします。


◯中村計画調整部長
 合流式下水道の改善事業でございますが、一年間に合流式下水道から放流される汚濁負荷量を分流式下水道と同程度まで削減することを目標としております。
 
 具体的には、降雨時に水再生センターで処理します下水の量をふやすための幹線管渠の増強や、降雨初期の特に汚れた下水をためるための貯留池の整備を進めておりますが、完成までには長い年月と多大な費用が必要となります。そこで、短期間に事業効果が実感できる合流改善クイックプランを平成十三年の三月に策定し、その後、事業効果を検証した上で、新・合流改善クイックプランとして改定、充実いたしました。
 
 新クイックプランでは、下水道に油やごみを入れない、ためない、出さない、これを基本方針としまして、雨天時における雨水吐け口からのオイルボールやごみの流出抑制対策などのハード対策、さらに、お客様への協力依頼や関係機関との連携といったソフト対策の両面から対策を実施することとしております。


◯吉田委員
 ありがとうございます。
 それでは、このクイックプランの中で、全面的な合流の分流式への変換というのは莫大なコストもかかって大変だ、なかなか難しいということでございます。ようやく都区内は、下水道の普及率が区部では一〇〇%、市部でも九十何%と大変上がってきたわけですが、まだまだ課題が多いということを改めて認識いたしました。この合流式の部分を分流式に一部でしておられる、例えば再開発事業等で部分的に分流式をしておられるということでございますので、この事業の内容と進捗状況についてお伺いいたします。


◯伊東建設部長
 再開発事業用地内を分流式下水道で整備するいわゆる部分分流化についてですが、現在整備中の都市計画道路放射六号線と青梅街道とが交差する神田川沿いの新宿区北新宿地区約四・七ヘクタールの再開発事業において導入を進めております。下水道の整備は再開発事業の工程に合わせており、完了の見込みといたしましては平成十九年度末となっております。


◯吉田委員
 先ほど大西委員の方からもご質問がございましたが、ぜひ積極的にこの再開発事業等における分流化を進めていただきたいのでございますが、どういうところであれば積極的に進められるのか、進める上で条件になる、ここは難しいというような条件づけがあるのか、それについてお伺いいたします。


◯中村計画調整部長
 再開発事業の中で分流化を進めます条件といたしましては、道路に汚水と雨水の二本の管渠を別々に敷設できますスペースが確保できること、それから、地形的に雨水を河川や海に自然流下により排除できることが挙げられます。このため、取り入れた雨水を区域内から放流先まで導水することを考慮しますと、再開発事業などが河川などの放流先に隣接していることが望ましいといえます。また、区域内の建物も汚水管と雨水管に分ける必要がございまして、経済的な負担が発生するため、事業者の理解と協力が得られることなどが必要となります。


◯吉田委員
 いろいろと条件が難しい地域、そういうこともあるようでございますが、ぜひ積極的に分流化を進めていただくようにご尽力いただければと思います。
 
 しかしまた、分流式の下水道につきましても万能ということではないわけでございまして、車道等雨水溝に入った水がそのまま川に流されるということで、今、区部では全部一度下水処理場に行くので、例えば酔っぱらった方が戻してしまったものとか、あるいは道の人がたばこの吸い殻を車道のところにぽんと入れてしまうというようなものは、全部平常時は下水処理場に行くけれども、これが分流式になりますと、そのまま川に流れてしまうという問題もございます。
 
 将来的には、費用の面、あるいはさまざまな面で問題があろうかと思いますが、平常時においては、分流式においてもいろいろ下水管の斜度とか、こういう問題で難しい面もあろうかと思いますが、可能なところでは、平常時においては雨水管の水を汚水管の方に流して処理できるような仕組みということも、部分によってはご検討いただくということが将来お考えいただければなと。これは意見でございます。
 
 それでは続きまして、「油・断・快適!下水道」のキャンペーン、これは私もポスター等で見かけたことがあるんですが、この内容について、まず目的と具体的な取り組みについてお伺いいたします。


◯野口総務部長
 台所などから流されます油は、宅地内の排水設備や公共下水道管渠を詰まらせるおそれがございますし、おっしゃるように河川や海の汚濁の大きな原因ともなっております。このため、当局では、以前からお客様に対しまして下水道に油を流さないことをお願いしてまいりましたが、平成十三年度からは「油・断・快適!下水道」キャンペーンを展開いたしまして、取り組みを強化しているところでございます。
 
 今年度におきましては、金融機関、スーパー、鉄道の駅などにおけるポスターの掲示、主婦向けの雑誌などへの広告掲載、ラジオ放送の活用などを行うほか、NPOや消費者団体などと協働いたしまして、各種イベントにおきましてPR活動を行っているところでございます。
 
 なお、協賛企業には製品を活用したPRでご協力をいただいておりますし、大手スーパーには店頭でのPR活動を展開していただいているところでございます。また、下水道事業にさまざまな形でご協力いただいております下水道サポーターという制度がございますが、現在、百六十名余りの方がいらっしゃいます。この方たちにもスーパー店頭等でのPR活動にご協力をいただいているところでございます。


◯吉田委員
 いろいろの取り組みをされているということで、私も本当にご尽力に感謝を申し上げるんでございますが、このキャンペーンの中で、下水道に油を入れない、油というのが最も水に負荷をかけるということで、大変重要な要素だと思うんですが、この油を入れないために、都民や飲食店などへの働きかけが大変に重要な取り組みだと思います。この油について、特に都民の皆さんへ、あるいは企業、事業者などへの働きかけを今どのようにされているか、そして今後の取り組みの方向性についてお伺いいたしたいと思います。


◯野口総務部長
 おっしゃるとおり、油につきましては水に溶けないという性格がございますので、基本的には、処理場を通らなければ、そのままの形で流されてしまうということで、非常に注意すべき項目であると我々は認識しておりまして、お客様や事業者に対しまして、油を流さないということに対しまして、先ほど申し上げましたように、キャンペーンを中心といたしましてさまざまなPR活動を展開しているわけでございます。
 
 今後につきましては、協賛企業、NPO、消費者団体、スーパー業界など局外のさまざまな方々との協働の輪を拡大していくとともに、先ほど申し上げましたPR媒体として、さらにマスメディアやインターネットなどの活用も一層進めるなどいたしまして、手法の多様化を図りまして、下水道に油を流さない、この重要性をさらに強く訴えてまいりたいと考えております。


◯吉田委員
 キャンペーンのサポーターのボランティアの方が百六十人以上いらっしゃるということで、都民の認識も少しずつ高まっているんだなと思いますが、油を取るためのグリース阻集器というものがあるやに伺っております。これは、要するにラーメン屋さんとか飲食店とか、こういうところでそのまま水に流すということではなくて、建築基準法によりますと、そういうものを流す事業者さんというのは油の阻集器というのを一応設置しなければいけない、条文を追いかけていくとそう読める。しかし、罰則規定もありませんので、とにかく下水道局の皆様がお願いして、少しずつ少しずつ設置していただいている、こういう状況だと伺っております。
 
 この阻集器、大変に設備もお金がかかり、そしてなかなか使いにくいということもあるようでございますので、さらにこの阻集器を、利用者というか使用者が使いやすいもの、そして安いもの、このための技術開発というか、製品開発、こういうところに引き続き下水道局としてもご尽力いただいて、油を皆様が簡単に捨てずに、ちゃんと阻集器を通して、下水道に環境負荷を与えないようなやり方をやっていくということも含めて、キャンペーンの中でこれも従来以上に重視をしていただいて、皆様のご苦労は、キャンペーン期間中に戸別に訪問されてお願いして歩いたり、本当に頭の下がるご努力だと認識しておりますが、さらに一層、技術面も含めて一体的な取り組みを進めていただいて、都民が安心できるような下水道事業に引き続き邁進していただきますように、私も、あるいは我が党の仲間も含めて一生懸命に応援してまいりますので、引き続きのご努力をお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。