都市整備委員会 (都市再生特別地区の三案件、補助線街路第一二三号線について)

平成19(2007)年5月24日

都市整備委員会


〇吉田委員
 私からは、まず都市再生特別地区の三案件について質問をさせていただきます。
 東京都では、昨年十二月に「十年後の東京」を公表し、水と緑の回廊で囲まれた美しいまち東京の復活ということを、十年後に向けた八つの目標のうちの一つに位置づけて、本格的な取り組みを開始しようとしております。
 私としても、これは大変時宜を得た取り組みとして評価をし、その成果に大いに期待をしているところでございます。知事がよくいわれるような、現場を抱える東京都の強みというものを生かして、野心的な目標、高く掲げた目標の実現に向けて、実効性のある方策を打ち出してほしいと思っております。
 そこで、この特別地区の三案件における公共貢献として、緑の整備について何点かお伺いをいたしてまいりたいと思います。
 この各案件について、私なりに道路率とか緑地率とか居住人口とか、その他いろいろの指標について、個々の案件というより指標として把握したいなと思って調べてまいりました。
 各案件とも、都市の価値を高めていくということで、改善というか向上がなされているというふうに認識をしておりますが、この緑地率について、特に現況及び本計画によって開発後どういう状況になるのか、改めてまずお伺いいたしたいと思います。

〇戸田開発プロジェクト推進担当部長
 緑被率につきまして、現況と本計画について地区ごとに順次お伝えしたいと思います。
 大手町一丁目六地区は、従前が約九%、これが約二七%になります。
 日本橋室町東地区につきましては、従前〇・六%、これが一五%になります。
 北品川五丁目第一地区は、従前二%です、これが二九%というふうになります。

〇吉田委員
 また、これの参考のために二十三区の区部平均、それから諸外国の緑地率、大都市、主要都市の数字についてお伺いをいたします。

〇戸田開発プロジェクト推進担当部長
 二十三区平均の値につきましては、緑地率は、平成十八年の建設局のデータによりますと約六%ということになっております。
 また、諸外国の例でございますけれども、主要な都市でありますニューヨーク、パリ、ロンドンにおける緑被率を公表されている幾つかの資料から推計いたしますと、ニューヨークは約二七%、パリは約二四%、ロンドンは約一一%となっているというふうに思います。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 二十三区の平均が六%というのが、今回、大手町で二七%、日本橋で一五%、北品川では二九%と、ニューヨーク、パリに匹敵するような緑地率になっていくという大変な計画でございまして、これは本当にすばらしいなと思っております。
 今、大手町一丁目六について立石委員から、若い十五年しかたっていないものを壊していく計画はもったいないなと、私もそのとおりに思います。私は、この地区のすぐ横を十一年間通って通勤をしておりまして、東西線の大手町駅から経団連に十一年、この横を通って往復して、このかいわいでご飯を食べていたものですから、この辺、私も愛着があるんですが、ここに大きな大手町の森というのができるのかというと、本当にここに勤める方も、付近の方も、大変にうれしいことだろうなと。まだ耐用年数がたくさん残っているビルを壊して、大変にもったいないことだけれども、それを補って余りあるいいまちづくりもできるのかなと、そういう期待も持っております。
 この大手町と比べまして、室町は一五%というような数値でございますけれども、この地区ごとに緑地率等が変わっていくということでありますので、それぞれどのような計画によって市街地の整備、改善に寄与する都市再生貢献を行うのか、これをお伺いいたしたいと思います。

〇戸田開発プロジェクト推進担当部長
 大手町一の六地区は都市計画道路が完成し、大規模な敷地で街区が構成されております。
 地下鉄の駅密度といった公共交通機関も高い水準で整備された地域でございます。
 こうした地域特性を踏まえまして、良好な環境と潤い空間の創出のための約三千六百平方メートルになんなんとする大手町の森、既存の公共交通をより質の高いものとするターミナル機能の整備、こういったものを図ることとしております。
 また、日本橋室町東地区におきましては、都市計画道路は整備されているものの、大手町と比較し、敷地規模が小規模なものでございます。中央通りの街並み景観形成、にぎわいの創出、回遊性の確保などが求められている地域というふうに思っているところでございます。
 そこを、五つの街区を一体的に整備する、そうすることによりまして、連続した街並み景観の形成がされ、駐車場の集約や地下、地上の歩行者ネットワークの整備による歩行環境の改善、緑地の集約化などにより、まちのにぎわいを創出する計画ができるということになっております。
 また、北品川五丁目第1地区におきましては、工場が集積した地域からものづくり産業の伝統を維持しつつ、副都心にふさわしい業務・商業、住宅など計画的な複合市街地として整備する地域としておるところでございます。土地利用転換に当たっては、地区内の主要な幹線道路等を整備した上で、地区の課題に対応した計画とするということにしております。
 以上でございます。

〇吉田委員
 それぞれの計画で現状の都市基盤の状況、土地利用の状況など地域の特性を踏まえて、特色あるまちづくりを進めるために官民一体となって取り組みをされて、質の高い計画となるように、そういう工夫をしているということを大いに評価をしたいと思います。
 先ほど諸外国の主要都市の数字も出てまいりまして、申し上げたとおり、日本橋室町東地区というところは一五%にとどまっているということは、もちろんそれを補って余りあるいろいろの貢献というのはしていることはよく理解できますけれども、ここのところはほかの案件に比べて緑地率がなかなか向上できなかった。この違いが生じる理由について、できれば二割とか頑張っていただければなというような気もしたものですから、改めて理由をお尋ねいたしたいと思います。

〇戸田開発プロジェクト推進担当部長
 大手町地区は街区の規模が大きく、大・丸・有ガイドラインにおいて、その特性を生かして公開空地ネットワーク型のまちづくりを目指しているところでございます。
 そこで、大手町一の六地区では、この方針を受けまして、緑のネットワークの基点となる三千六百平方メートルになろうとする大手町の森を初めとした空地の確保を図ったところでございます。
 しかしながら、日本橋室町東地区は、この今申し上げました大手町一の六地区と比べまして、街区全体の単位が小さいものですのでなかなか空地が見出せない、そういう特性があります。
 そこで、それぞれ一つずつというよりも街区としては五つを一つとしてとらえると、そういうことによって、E地区、先ほどお話に出ました福徳神社といったようなところに大きな空間を確保するというようなことを計画したところでございますし、それのみならず、なかなか二〇%というのは困難だったとは思いますけれども、できるだけとるというようなことで、敷地の周辺ですとか屋上などにも可能な限り緑を配置したというところでございます。

〇吉田委員
 各地区の地域の特性の違いがある中で緑化の努力をされているということについて理解をいたしました。冒頭に申し上げた「十年後の東京」の中で、東京を緑あふれる都市へ変えるということで、この目標を達成させるために一層の努力をしていただきたいと思っております。
 そこで、今後一般的に都市再生の特別地区等においても緑地率を上げていく、こういうことが必要だと、もちろんここだけで確保していくわけではないですが、ここでも頑張っていただくということが重要であると思いますが、所見をお伺いします。

〇戸田開発プロジェクト推進担当部長
 市街地像を実現していくために、緑の創出は最も重要な施策の一つというふうに私どもは考えております。そのための緑の創出に向けて都民の皆様方ですとか、さまざまな規模、業種の企業の皆様方のご協力も必要としているところでございます。
 今後、都市再生特別地区などの都市開発に当たっては、事業者に対しまして、地区内の緑化の推進になお一層のご協力をいただくよう要請してまいりたいと考えておるところでございます。

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〇吉田委員 ありがとうございます。
 次に、提案事項概要8番の港区港南四丁目の東京都市計画道路、補助線街路第一二三号線について、何点かお伺いいたします。
 この事前説明会資料等見ますと、この補助第一二三号線というのは既に完成されて供用されている道路を直線的な形状の道路に変更するという内容になっております。東京において、既に完成している道路を直線的に変更してつくり変えるという事例はなかなか少ないように思いますけれども、今回の計画の変更はどのような理由からなされるのか、また、この直線道路に変更するということを都としてどう評価されているのか、伺います。

〇石井都市基盤部長
 お答えいたします。今回の都市計画変更に関する地域につきましては、港区まちづくりマスタープランにおきまして、新しい商業・業務機能や文化交流機能及び都市型住宅の誘導を推進することとしておりまして、居住人口の増加に対応したまちづくりを行うとしております。
 本件は、ただいまスクリーンに示しております国有地、これを港区が取得いたしましたが、この土地は図面で見るとおわかりのように、現在の学校敷地と都市計画道路補助第一二三号線で分断されております。このため街区を整形化することによりまして、人口増加に対応した学校施設等の整備、拡充を図ることを目的に都市計画変更を行うものでございます。
 もう少し具体的に申し上げますと、港区が施行いたします土地区画整理事業によりまして、既存の学校敷地と補助第一二三号線の敷地及び取得した国有地の三つの土地を対象に交換分合、いわゆる換地を行いまして、敷地の集約化を図るとともに道路の再配置を行います。これにより道路で分断されていた街区が整形化され、土地の有効活用が図られることになるものでございます。
 このように、今回の都市計画変更は、土地の交換分合と直線的な道路への再配置により地域の課題に対応したまちづくりに大きく貢献するものと考えております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 今回の変更区間は既に供用されている道路でありますので、沿線には住宅や事務所などが立地して土地利用が図られているところでございます。この変更するに当たっては、沿道の住民の方の理解と協力が不可欠であろうかと思います。
 この変更によりまして、補助一二三号線に面しなくなる沿線の方々、この方々が今まさに利用している道路、これが遠くに行ってしまうわけですから、道路を利用する上で、また将来自分の敷地の建てかえ等を行うときに支障を生じないかどうかについてお伺いしたいと思います。
 また、あわせて、この沿道の方々がこの変更案についてどのように受けとめていらっしゃるのか、反対があったのかとか歓迎されているのか、賛同が得られているのか、その辺についてお伺いいたします。

〇石井都市基盤部長
 お手元の薄茶色の表紙の事前説明会資料の四四ページをごらんいただければというふうに思います。
 今回の都市計画道路の変更と時期を合わせまして、港区が当該地域に地区計画を決定することとなっております。四四ページの今ごらんいただきました図は、港区が決定する港南四丁目地区地区計画の計画図でございます。今回の都市計画変更によりまして、補助第一二三号線から外れる道路の一部、今ご指摘のところでございますが、図の中の中央部、斜線で表示している範囲について、この地区計画で区画道路に位置づけまして、道路法上の道路がそのまま残ることとしております。
 このため、実態上の道路としての利用や将来の建てかえの観点からは特段の支障は生じません。
 また、沿道住民の意向についてのお尋ねでございますけれども、港区が本年三月二十日と二十一日の二日間、地元説明会を開催し周辺地域の住民の方々に説明を行いましたが、今回の都市計画道路の変更及び地区計画に関して反対の意見は出されておりません。
 以上でございます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 曲がっていた形状、湾曲していた形状の道路を、土地利用の変更に伴って直線的にして、そして街区を整形化させる、こういうことが地元の方々にも迷惑をかけずに行われる、本当にすばらしいことだなと。何でこういうのがたくさん案件で出てきていないのかなと不思議に思うわけですが、本当にこういう案件が進んでいって、美しい街区形成というのが進んでいくといいなと、歓迎をさせていただきます。
 こういう観点で、次に大崎駅西口地区地区計画についてお伺いをさせていただきます。今回十一件ぐらい上がってきました変更の案件、いろいろ図面等見させていただいて、あるいは自分なりにも見に行ったりしまして、道路の形状あるいは街区の形状、こういうものが非常によく整ったものになっていくなという案件が非常に多い中で、大崎の案件は、ちょっと変わった案件だなというか、道路の形状もぐにゃぐにゃしたままというか、そういうものが今回諮られるということでございます。
 いろいろのご苦労の中で、いろいろと積み上げてこられたんだともちろん思いますけれども、なるべく街区の整形化、あるいは道路は美しく直線とか、そういうふうにしていくべきなんだろうと思いますし、そういう努力をされていると思いますが、この辺、どうしてこういう現状になっているのか、お伺いいたします。

〇野本都市づくり政策部長
 大崎駅西口地区でございますけれども、土地利用転換に合わせた土地の高度利用を図るとともに、交通広場、歩行者ネットワークの形成などによりまして、魅力とにぎわいのある良好な都市空間の形成を図ることとしております。
 ご指摘の地区幹線四号なんですけれども、開発区域内の交通処理のみならず、周辺市街地の未整備道路を補完しまして、地区の利便性と防災性の向上等を図る道路であります。
 道路の線形でございますけれども、地域の意向あるいは既存道路の配置、それから市街地再開発事業の区域等を踏まえまして、土地の有効活用と安全で円滑な交通処理を図る計画となっており、適切なものと考えております。

〇吉田委員
 ただいま、適切だというご説明がありました。不適切な計画を東京都さんがつくられるはずはないので、もちろんきちんと機能し適切な計画なんだろうと思いますけれども、さらにもうちょっと野心的なというか、美しい十年後の東京の街並みということに向けて、まことに地元の合意形成というものが難しいんだと思います。あるいはそれぞれの土地に関する権利とかこういうものの調整、難しいかと思いますけれども、引き続き、街区の整形化というか、あるいはその道路を見通しのいい通りやすい通りにしていただく、こういうご努力をさらにお願いをしたいなと思う次第であります。
 同じ観点から、ここの大崎駅西口については大変地権者も多くということでございますけれども、新宿六丁目地区、ここについてもちょっとお伺いをしたいと思います。ここは都市再生機構さんでしょうか、そのプロジェクトの土地を全部買って地権者一人になって、そして新しく計画をやっていくというところでございます。
 この周辺の地図を見ますと、このエリアの計画地の周りはほぼすべて、碁盤の目みたいに街区道路ができているわけであります。その中で、ぽっと、ここのエリアだけ丸い道路があって区画割ができている。この街区、ちょっと素人的に考えれば、周辺の延長上に短冊というのか碁盤の目というのか、そういう直線的な街区を形成すればいいんじゃないんだろうかなと素人的には思うわけですが、これはどういうことでこういう計画になったのか、お伺いをいたします。

〇野本都市づくり政策部長
 新宿六丁目地区ですけれども、大規模工場跡地において、道路等の都市基盤整備と合わせまして、住宅、商業、医療、福祉等の機能の導入により、良好な複合市街地の形成を図ることとしております。
 ご指摘の地区幹線道路あるいは主要区画道路でございますけれども、開発に伴う交通を適切かつ安全に処理するとともに、近隣地域の利便性の向上等を図ることを目的とした道路でございます。
 道路の線形については、敷地の有効利用、それから周辺市街地との連携、既存道路との接続、こうしたことを考慮した計画となっており、適切なものと考えています。

〇吉田委員 ありがとうございます。
 こちらも適切だというご説明であります。適切なんだと思います。ただ、やっぱり広域的なネットワークみたいなものもぜひもうちょっと考えていただきたいなというか、都計道だけで交通網というのを、そこで考えていけばいいんだということだけでなく、いろいろと、都市というのはどんどん動いていく生き物でございますので、その動きを先取りしてつぶしがきくような街区形成とか、あるいは道路の敷き方というのを、区画道路についてもある程度配慮していただく必要というのがあるんじゃないのかなと。
 例えば、さっきの大崎なんかも、東京都として副都心に位置づけているというところでございます。今後どういうふうに予想以上の都市機能の集積が進んで、いろいろなニーズが高まっていくかというような、これまでは生活道路と思っていたところが、意外に人々は通過交通も含めてがんがん使うようになっていくとか、そういうこともあろうかと思います。
 また、道は真っすぐじゃなくても、曲がっていても味があるんだという考えもあろうかと思いますけれども、東京の道というのは曲がっているところが多過ぎて、味が多過ぎて何の味がするのかわからないような、もうちょっと薄味というか、すっきりした街区形成ということも、なかなか難しいと思いますけれども、ぜひお考えをいただきたいなと。
 その対極的にあるのは、モロッコとかイスラム圏で、旧市街メディナといわれるところは車なんかもちろん通れない。人が二人すれ違うぐらいの袋小路と、真っすぐな道なんか一切ない。そういう町が美しい、世界遺産にもなる。フェズとかマラケシュとかそういう町もありますけれども、東京で都が再開発をするというところはそういう街区形成じゃないだろうという気もしますので、ぜひ、これはご答弁を求めることはできませんけれども、整形化された街区の形成という観点をより関心を強く持っていただきたいなというお願いを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。