都市整備委員会 (荷さばき対策、八ッ場ダムの事業について)

平成19(2007)年3月1日

都市整備委員会


〇吉田委員
 私からは、二つの点についてお伺いをいたしたいと思います。
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 まず、荷さばき対策についてであります。
 昨年六月の改正道路交通法の施行により、違法駐車の取り締まりが強化されたことに対応し、都では荷さばき車両の駐車施設の確保対策に取り組んでいると理解しておりますが、最近のお取り組み状況について伺います。

〇石井都市基盤部長
 都内の貨物の配送は、都民生活や経済活動を支える重要な役割を担っております。
 一方で、路上での荷さばき車両は渋滞や事故の原因ともなっているわけでございます。
 このため、スムーズ東京21拡大作戦の一環といたしまして、これまでコインパーキングに荷さばき車両を受け入れてもらうような、そうした取り組みを実施してまいりました。
 昨年六月時点での受け入れ駐車場は約五十カ所でございましたけれども、改正道路交通法の施行に合わせまして取り組みを一層進めたことにより、十二月末では二百五十カ所を超えるまでに至っております。
 また、本年二月からは、東京都道路整備保全公社と連携いたしまして、インターネットの都内総合駐車場案内サイト、これをエスパークというふうに呼んでおりますけれども、このエスパークにおきまして荷さばき可能駐車場の情報提供を行っているところでございます。
 以上でございます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 昨年の四定での質疑では、昨年十一月末現在の民間の受け入れ駐車場が約二百四十カ所ほどだったと思いますので、対策が着実に進捗していることを理解いたしました。
 また、民間の事業者に協力を求めるだけではなく、公共施設の駐車場など、都の施設の活用にも鋭意取り組んでいらっしゃると認識しておりますが、さらに、例えば未利用地なども含めて、荷さばき需要の高いところに都有地などがあれば、これを活用した取り組みも進めていく、こういう理解でよろしいのかどうか、今後のお取り組みについてお伺いします。

〇石井都市基盤部長
 今後の取り組みというお尋ねでございますが、荷さばき施設は、業務上必要な施設として、貨物を受け入れる側で確保するというのが基本である、このように考えておりますけれども、地域によっては、実情に応じた荷さばき対策を進めていくことも一方では必要だというふうに認識しております。
 このため、一案といたしましては、コインパーキングなどの民間の駐車場だけではなく、公共施設に併設されている駐車場などの活用も効果的ではないか、このように今考えております。
 都はこれまでも、先ほどお話しいたしましたが、道路整備保全公社の駐車場への受け入れや高速道路高架下における荷さばき施設の整備を実施してまいりました。
 現在、物流事業者等と連携して、荷さばきの駐車需要が高い地区などがどこにあるのか、どのぐらい必要なのかというようなことの調査を進めております。今後その結果を踏まえまして、民間施設のさらなる活用とともに、庁内連絡会等を活用し、立地条件等を加味しながら都有地などの利用可能性も視野に入れて検討するなど、幅広く荷さばき対策を進めてまいりたいと思っております。
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〇吉田委員
 ありがとうございます。
 それでは、次に、八ッ場ダムの事業に関連してご質問をいたします。
 まず、利根川水系の渇水による過去の給水制限などの事例についてお聞かせください。

〇野本都市づくり政策部長
 主な給水制限の事例としまして、昭和六十二年に七十一日間、平成六年に六十四日間、平成八年に四十四日間、いずれも夏の渇水時に最大一五%の給水制限を行っております。
 また最近では、平成十三年の夏に十八日間、都民の自主節水による五%の給水制限を行っております。
 水源確保という点では、これらに加え、近年の少雨傾向、気候変動、安全率なども考慮する必要があるかと考えております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 次に、八ッ場ダムを除いて、利根川水系で最後に建設された奈良俣ダム完成以後の洪水被害の状況についてお聞かせください。

〇野本都市づくり政策部長
 平成十年の台風五号によりまして、住宅などが千三百戸、農地など千四百ヘクタールが浸水しております。
 このように、奈良俣ダムが完成しましても、大規模な洪水被害が発生しております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 次に、都が今後八ッ場ダムに支出する金額の予定額をお伺いいたします。

〇野本都市づくり政策部長
 都は、八ッ場ダム建設事業と、関連事業として水源地域対策特別措置法に基づく事業などに支出しておりまして、これらの事業について、今年度分も含み、今後四百十四億円を支出する予定でございます。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 いろいろとお聞かせをいただきました。
 東京都の最近の水の需要を見ますと、人口増にもかかわらず、一日最大配水量は年々減少または横ばい傾向で推移をしておりまして、平成十七年度は五百八万立方メートルであります。
 一人当たりの水の使用量は、この十年余り、さまざまな要因から着実に減少してきておりまして、今後増加していくことを想定することは難しいと思います。
 他方、東京の人口全体も、現在の一千二百六十六万人から、八年後の平成二十七年ごろの一千三百万人をピークに、その後は減少に向かうと予測をされております。
 仮に、一人当たり一日最大給水量を猛暑であった平成十六年の四百二十リットルで計算しても、一日最大配水量は、四百二十リットル掛ける一千三百万人で五百四十六万立方メートルとなります。これが東京の水の需要の上限であり、現在の東京都の水の需要予測は過大だと思われます。
 これに対して東京都が現在確保している水源量は、一日当たり六百二十三万立方メートルであります。
 しかも、この水源量には、実際には使用している地下水の供給量、一日当たり四十万立方メートルが原則として算入されておらず、他の自治体で認めているように地下水を安定水源に算入すれば、水源量は六百六十万立方メートルを超えます。
 さらに、滝沢ダムが完成をすれば、一日当たり七万立方メートルの水源を確保でき、水源量は六百六十七万立方メートルを超えるわけであります。
 先ほど、過去、最大一五%の給水制限が三回あったとのご説明がございました。
 乱暴に今の六百六十七万立方メートル全体を一五%カットしたとしても、五百六十七万立方メートルとなりまして、平成二十七年のピークに想定される東京の最大水需要の五百四十六万立方メートルを上回っております。
 八ッ場ダムによりまして、東京都は一日当たり四十三万立方メートルの水源量を確保できるとのことでございますが、その必要はないのではないかと思われるわけであります。
(「今まで賛成してきたんだよ、民主党は。」と呼ぶ者あり)

 次に、治水面から見ますと、先ほど洪水の被害のお話がございました。
 細かくは申し上げませんけれども、そもそも利根川の治水計画に関し、現在、国土交通省は八斗島における基本高水流量を毎秒二万二千立方メートルと設定しておりますが、昭和二十五年以降、洪水規模が毎秒一万立方メートルを超える記録はございません。
 この基本高水流量自体が過大な設定だといわざるを得ません。
 その中で、八ッ場ダムの治水上の役割も、これは余り大きな役割を与えられていないわけでありまして、そして……(発言する者あり)先ほどお伺いをしましたとおり、平成十年に浸水被害一千戸というような被害がございましたが、その平成十年を上回るような最大日降水量を記録したような、例えば平成十五年の台風その他でも甚大な被害というのは出ておらない。
 こういうことを考えますと、この八ッ場ダムにお金をかけていくというのとはまた別の治水対策、こういうことも考えていく必要があるのではないかと思われます。

 さらに、吾妻川が非常に酸性の強い川であること、ダム予定地周辺の地盤が軟弱であることなど、多くの問題点も指摘をされております。
 平成十五年十一月、八ッ場ダムの総事業費が二千百十億円から四千六百億円と二倍以上に引き上げられましたけれども、現段階でも期限内の完成が危ぶまれており、総事業費のさらなる増加も懸念されるところであります。
 このようなさまざまな観点から、この八ッ場ダムを建設する必要があるのかどうか、現段階で改めて見直す必要があるのではないか、このように考える次第でございますが、ご見解をお伺いいたします。

〇野本都市づくり政策部長
 八ッ場ダムの必要性についてのお尋ねでございますけれども、都はこれまで、都民への安定的な水供給を確保するため、必要な水源の確保に努力をしてきたところでございます。
 しかしながら、近年における少雨傾向等を考慮しますと、水源の安定性を確保しているとはいえない状況にございます。
 八ッ場ダムは、将来の安定的な水の供給にとっても、また先ほど申しましたように、治水の面から見ても不可欠なダムであると考えております。
 それから、地下水を使ったらどうかというお話がございましたけれども、地下水を使いますと、地盤沈下あるいは水質等の問題があり、安心・安全な水を供給するという点でも支障があると考えております。
 ちなみに、八ッ場ダム建設事業への都の参画につきましては、平成十五年四定におきまして都議会の賛成の議決をいただいているということをご理解いただきたいと思います。