都議会本会議討論 (中途議決)

平成19(2007)年2月21日

本会議討論              (中途議決)


○都議会民主党 吉田康一郎(総務会副会長・中野区)

 私は、都議会民主党を代表して、本会議の採決に付される第118号議案「平成18年度東京都一般会計補正予算」を初めとした知事提出議案に賛成する立場から、討論を行います。
 
 平成18年度最終補正予算案は、3743億円にのぼる都税の増収に支えられ、総額8549億円の補正を行うものです。
 第118号議案では、障害者自立支援法の円滑な運用に向けた取組みや、幹線道路などの整備促進、豊洲地区防潮護岸整備、小笠原諸島定期航路補助などに取り組むため、365億円を計上しています。事業予算については喫緊の課題に絞って予算を計上し、その一方で、財政基盤の構築を目指し、減債基金積立不足額の圧縮を優先し、3251億円を計上しました。また将来の需要を見据えた財政調整基金にも326億円を積み立てています。
 これらは、過去に行った財源対策負担の解消、東京の将来の課題に対応できる体力を確保するための適切な措置であろうと考えます。

 特に、幹線道路などの都市基盤については、国の補正予算に基づいて、東京都の負担を最小限に抑えながら整備を促進することが期待でき、そのか所付けについては、より重要度の高い路線を優先すべきであります。
 補正予算案で選定されている、区部環状道路や多摩南北道路は、都市の骨格を形成する重要な道路として、重点的に整備していく必要がありますし、放射道路についても、北新宿地区を抜ける放射6号線の完成を見据えた青梅街道中野坂上付近の拡幅など、効果の高い事業が選定されています。
 さらに、補正予算案では、河川海岸費に関しては、ゼロ国債の発行による神田川の整備だけではなく、善福寺川の護岸整備の事業促進に向けた債務負担行為を計上しています。善福寺川の護岸整備は、国債発行に関係なく実施する東京都の率先的な取組みの表れだと理解しますが、引き続き、妙正寺川・善福寺川流域における護岸や調節池の整備など、河川激甚災害対策特別緊急事業を重点的に推進し、流域の浸水対策を強化していかなければなりません。

 第121号議案における必要経費の補正は、都税収入の増加を活用し、隠れ借金である減債基金積立不足の圧縮を目指す取組みであります。この最終補正と来年度当初予算で4351億円の全額を解消し、一時は1兆円にも達していた隠れ借金のほとんどが解消されることになります。
 今後とも安定的・継続的な施策の充実と財政基盤の強化の両面に留意しながら、健全な財政運営を行っていかなければなりません。

 次に、第118号議案並びに第128号議案における、障害者自立支援対策臨時特例基金と、障害者自立支援対策臨時特例交付金による特別対策について申し上げます。
 国の補正予算で、特別対策費として960億円が盛り込まれました。これに伴い、東京都18年度補正予算で96億円を受け入れて基金とし、そのうち18億円を一般会計に繰り入れ、利用者負担の軽減、事業者に対する激変緩和、小規模作業所等への助成、といった特別対策を実施するものです。
 政府は、この目的について、自立支援法の円滑な運営のため、としています。
 しかし、そもそも、なぜ、こうした措置が必要となったのでしょうか。制度実施直後にこれだけの補正が必要となったこの制度自体に、障害者に関わる多様な実情に対応し切れていないまま、負担増が先行し、自立支援策が不十分であるなど、多くの問題があるからであります。
 この課題への明確な対応が示されないままでは、「激変緩和措置」により、急場を凌ぐことができても、この措置が終了し、法の見直しが行われる3年後には、再び制度自体の問題が顕在化してしまいます。
 今回の補正予算の背景となった、利用者からの悲鳴とも言える厳しい声にしっかりと向き合い、サービスの利用状況を注視し、都としても、適切に対応していく必要があることを申し述べ、都議会民主党を代表しての討論を終わります。