都市整備委員会 (東京都耐震改修促進計画について)

2007.2.19 : 都市整備委員会

〇吉田委員
 質問に先立ちまして、昨日の東京マラソンの大成功をお喜び申し上げます。
 昨日のかなりの雨と寒さの中で三万人の方が参加され、完走され、百七十八万人の方が沿道で応援をされたと。すばらしい成功であったと思います。
 もちろん、世界五大マラソンに匹敵する今回の大会の成功は、関係各位のご尽力と参加された皆様の頑張りによるものでございますが、忘れてはならないのは、東京のまちづくりをずっと地道にやってこられた都市整備局初め都庁の皆様のご努力の一つの成果ということでありまして、これを励みに、ぜひ引き続き、今後とも、この東京、国際競争力のある、魅力のある、そして安全な、都民に優しいまちづくりを進めていただきますようにお願いを申し上げます。

 東京都耐震改修促進計画に関連して幾つかお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災では、約九割の方が家屋の倒壊により亡くなっておられます。
 また、倒壊する割合が高くなるほど出火の割合も大きくなっており、地震による一撃から住宅の倒壊を防止することが、都民の生命と財産を守り、被害の拡大を防止する上で重要であります。

 平成十七年三月に、中央防災会議決定として、住宅の耐震化率九十%を十年以内に実現し、東海、東南海、南海地震による死者を半減させるとの地震防災戦略が打ち出されて以降、平成十八年一月に改正耐震改修促進法が施行され、今回、東京都としての耐震改修促進計画の素案が公表され、着実に取り組みが進捗していることを歓迎いたします。皆様の日々のお取り組みに感謝いたします。
 東京都住宅マスタープランの方にも言及がございますが、この耐震化率九十%を十年以内という具体的な数値目標を何としても実現しなければならないと思います。
 そこで、この九十%の目標達成に向けて具体的にどのように進めていかれるのか、お伺いいたします。

〇金子市街地建築部長
 住宅の耐震化を促進するためには、所有者みずからが主体的に取り組んでいくことが不可欠でございます。
 耐震改修促進計画の策定を契機に、耐震化の助成制度の活用や情報提供をより一層行い、住宅の所有者に対して耐震化に向けた取り組みを促してまいります。
 また、区市町村に対しまして、都の計画を踏まえた耐震改修促進計画を策定するよう要請するとともに、地域のまちづくりとも連携して目標を達成してまいります。

〇吉田委員
 区市町村の役割ももちろん重要でございます。
 地域の事情を熟知しているのは地元の区であり、都民が耐震診断や耐震改修をしようと思うときに、まず相談するのも地元の区であります。
 目標達成のためには、都の施策だけでは困難なわけで、区との連携した取り組みとなることが非常に重要でございます。
 この連携について、先ほど林田理事の質疑において、わかりやすい質疑がございましたので、木造住宅の耐震助成、この観点に着目して、昨年4月から行われている耐震助成、区との役割分担についてどのようにお考えか、お伺いいたします。

〇金子市街地建築部長
 区は、住民に身近な自治体といたしまして、地域の実情を踏まえながら耐震化に取り組むことが必要でございます。
また、都は、広域的な都市防災の観点での耐震化に取り組むことが必要であると考えております。
 整備地域の住宅の耐震化を促進するためにも、区は耐震化への助成制度を整備することが必要であるというふうに考えております。

〇吉田委員
 木造住宅の耐震化を進めるためには、まさしく身近な自治体である区市町村の役割が重要でございます。
 木造住宅の耐震化助成制度に関していえば、都の助成制度は、区が助成事業を行う場合に、区が負担する費用の半分を都が助成するというものでありますので、逆にいえば、区が助成事業を制度として持っていなければ、その区に住んでいる都民が耐震化に取り組もうとしたときに、都としては応援のしようがないということであるわけであります。

 現在、23区では、耐震診断についてはすべての区が支援、助成を行っておりますが、耐震改修については、既に21の区で助成制度を持っていますが、練馬区と中野区が制度を持っておりません。この2区について、今後、制度を設けていく動きがあるのか、状況をお伺いいたします。

〇金子市街地建築部長
 練馬区につきましては、提出されております平成19年度予算案に耐震改修助成が盛り込まれておりますけれども、中野区につきましては計上されていないというふうに聞いております。

〇吉田委員
 お聞きしますと、来年度以降、耐震改修助成を持っていない区は中野区だけになるようであります。中野区は、耐震診断の普及に向けては非常に積極的に取り組んでおりますけれども、やはり、診断した結果、耐震性が不十分だとわかった場合に実際に改修を実施してもらう、これが肝要でございます。

 しかし、耐震改修には個人の費用負担の問題もあり、地域全体の防災性の向上という観点から、公による財政的な支援も必要であります。
 中野区には、他の区と同様に、耐震工事の助成制度もぜひつくっていただきたいと考えております。私としても中野区に精力的に働きかける所存でありますが、都の方からも強く要請していただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

〇金子市街地建築部長
 都といたしましても、整備地域を抱えている中野区につきましては、今、中野区では耐震診断に非常に熱心に取り組んでいただいておりますけれども、やはり、さらに耐震改修助成を創設していただければありがたいというふうに考えております。
 私どもとしましては、行政連絡協議会などの場を通じて働きかけていきたいというふうに考えております。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 次に、新築される住宅、建築物の耐震化の徹底についてお伺いいたします。
 これまで質疑をしてまいりました、昭和五十六年以前に建築された旧耐震基準の住宅の耐震化ももちろん重要でありますが、平成十七年十一月に発覚した構造計算書の偽装事件で改めて認識させられたとおり、これから新しく建築される住宅の耐震性を必ず確保するということもまた重要であります。

 耐震改修促進計画の素案では、関連施策として新築時の耐震化の徹底が記載され、住宅マスタープランにおいても、住宅の建設、リフォーム等に係る適正な事業活動の促進の項で取り上げられておりますが、素案では、新築される住宅についても、建築確認、中間検査、完了検査の実施を徹底するとなっております。
 特に中間検査は、木造の基礎や小屋組み、コンクリートの鉄筋など、住宅の骨格である構造体を現地で検査する非常に大切な役割を担っております。この中間検査について、検査員の人数や検査の所要時間など、実態はどのようになっているのか、お伺いいたします。

〇金子市街地建築部長
 中間検査でございますが、これは特定行政庁の職員、そして民間の指定確認検査機関の検査員が実施しておるものでございます。
 通常、一名から三名で実施いたしまして、木造三階建ての中間検査の場合ですと四十分から六十分程度、鉄筋コンクリート造で一万平方メートルを超えるような場合などは三時間程度かかることもあるというふうに承知しております。

〇吉田委員
 実際にその時間をかけて検査をしていただいていればよいかなと思います。
 お役所の場合は、検査事業の採算性ということは考えないと思いますけれども、民間の指定確認検査機関の場合、営利団体であり、事業の採算性が求められるというわけで、繁忙期には短時間で済ませてしまうということもないとは限りません。
 中間検査や完了検査を健全化することは、住宅の品質を確保する上で非常に重要なことであります。
 平成十八年六月に改正、公布された建築基準法では、国の指定した確認検査機関についても、特定行政庁に立入検査の権限が付与されることになりました。

 これまで都は、知事が指定した二機関しか立入検査ができなかったわけでありますが、法改正により、国の指定した機関を含む二十七機関の検査ができるようになります。逆にいえば、都の責任が大変に大きくなったということでもあります。
 そこで、民間の指定確認検査機関に対する立入検査の体制を強化するとともに、例えば業務状況を抜き打ち検査するなど、緊張感のある厳格な方法でしっかりと指導、監督していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

〇金子市街地建築部長
 都内で業務を実施しているのは二十七機関でございまして、これらが立入検査の対象ということになります。
 必要な検査体制を整備するとともに、抜き打ち検査も含めまして厳格に立入検査を実施するなど、中間検査や完了検査が適正に行われるよう取り組んでまいります。

〇吉田委員
 ありがとうございます。
 中間検査や完了検査の実施について、都としてもしっかり今後取り組んでいただけるということなので、よろしくお願い申し上げます。
 耐震改修促進計画の意義は、一言でいって、住宅や建築物の耐震性を確保し、都民が将来にわたって安心して暮らせるまちにするために全力を挙げていくということであります。

 いつ大地震が来てもおかしくない状況でありますので、そして、防災対策は時間との勝負でもありますので、今後とも最大限の努力をお願いいたしまして、質問を終わります。