都市整備委員会 (警察大学校等の移転跡地の地区計画について)

2007.1.25 都市整備委員会


〇吉田委員
 私からも、中野四丁目地区、いわゆる警察大学校等の移転跡地の地区計画についてお伺いいたします。
 JR中野駅の至近に位置しております警察大学校等が平成十三年に移転してからこの方、この跡地の利用については、今、川井理事からもお話があったとおり、長年の課題になっております。
 この間、中野区では、区民参加のまちづくりを標榜して、約二年にわたり、広く区民参加のもとで議論を積み重ねていきまして、中野駅周辺まちづくり計画、これを平成十七年五月に策定しております。
 もろもろの経緯がございますけれども、今回の計画によりまして、中野駅に至近の地区で十八ヘクタールもの土地の再開発が行われるということは、中野駅周辺のまちを大きく変えていくわけでありまして、区民の関心は本当に高いものがあります。
 そして、いろいろな意見があるわけでございます。

 しかし、中野区の表玄関ともいえるこの地区におきまして、さまざまな要求される都市機能を統合的に、また調和を持って果たしていくことで、駅周辺のにぎわいとまちの魅力を高めていくとともに、緑豊かな環境と、また防災面でのしっかりとした都市基盤の機能を果たす、こういうことが必要だと私は考えております。
 こういう立場から、すばらしいまちづくりがしっかりと進んでいくことを願うという立場で、幾つかご質問をさせていただきます。

 まず、この警察大学校等跡地を含む一帯は、東京都震災対策条例によって広域避難場所に指定されております。
 隣接している中野区役所等も含めて、中野区役所一帯として約十万人を収容する避難場所として指定されております。
 今回の地区計画におきまして、震災対策条例と整合性のとれた広域避難場所として、きちんと機能が確保されることになるのかどうかお伺いをいたします。

〇宮村市街地整備部長
 今ご質問のとおり、当地区を含めた約二十二ヘクタールの区域を中野区役所一帯として避難場所に指定しておりまして、十万人が避難する計画としております。
 東京都は、本地区の地区計画案の中で、避難場所としての安全性の確保を図るということを方針として位置づけております。
 開発後におきましても、中野区役所一帯に現行と同規模の避難場所を確保するよう、区と連携して取り組んでまいります。

〇吉田委員
 この中で、今回の計画では一・五ヘクタールの都市計画公園を整備するとともに、その周辺にさらに約一・五ヘクタールの公共空地を確保して、合わせて三ヘクタールの防災公園を整備することとなっておりますが、この防災公園につきましては、当初は四ヘクタール程度の公園を整備して広域避難場所としての機能を確保するというふうに伺っておりました。
 これはできる限り四ヘクタールに近づけていただきたい、このように念願をしているわけでございますが、これについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

〇野本都市づくり政策部長
 今回提案の地区計画では、平成十七年に中野区、杉並区、東京都が共同で策定した土地利用転換計画案の見直し等を踏まえまして、地区の中央部に約一・五ヘクタールの都市計画公園を整備するとともに、その周辺に約一・五ヘクタールの公共空地を確保することとなっております。
 さらに、地区整備計画の策定などを通じまして事業者の開発を適切に誘導することにより、民間や大学等の敷地内にオープンスペースを確保しまして、ご指摘の平成十三年度に策定した土地利用転換計画案に記載されたものと同等の空間を確保してまいります。

〇吉田委員
 個々の事業者の開発に際して敷地内にオープンスペースを誘導していくということでございますが、そのオープンスペースが、できる限り中央の三ヘクタールの防災公園とまとまった公共の空地、公園、緑地というようなものになるようにぜひ誘導していただきたいとお願い申し上げます。
 現在、この警大跡地は、うっそうと樹木が茂る緑豊かな土地になっております。
 この貴重な緑を再開発の際に伐採してコンクリートで覆ってしまうのではなくて、できるだけ既存の樹木を残し、この計画の中央の三ヘクタールの防災公園とあわせて、全体として四ヘクタールあるいはそれ以上の、分断されたのではなく、まとまった緑豊かな公共スペースができ上がるように、ぜひ個々の事業者を誘導していただきたい。
 これはお願いを申し上げます。

 次に、震災等の災害時の帰宅困難者対策についてお聞かせいただきたいと思います。

 帰宅困難者対策は、基本的には地域防災計画に係る事項でございまして、本委員会の所管ではないかとも思われますけれども、当地区の計画において帰宅困難者対策への取り組みがあればお聞かせ願いたいと思います。

〇野本都市づくり政策部長
 帰宅困難者対策につきましては、ご指摘のように総務局で所管しておりますけれども、本地区での対応について、中野区の中野駅周辺まちづくり計画におきまして、帰宅困難者の受け入れなど災害時の救援体制について、区と大学等で日ごろから緊密な連携を図り、災害時の協力関係を築くと記載されております。

〇吉田委員
 また、防災対策の観点から、今回の計画に際して一部の専門家から、この計画に基づいて地域内に高さ百メートルを超えるような高層ビルを建設していくと、大震災がいざ起きたときに、高層ビルからのガラスの落下とかあるいは火災旋風、こういうものが発生するなどの危険があって、この地区が有効な避難場所として機能できなくなるのではないかとの懸念が指摘されて、そうした指摘を受けて、この地区計画に不安を覚えていらっしゃる区民もおられます。
 これが事実となりますと大変な問題になるわけでございますが、この懸念、指摘についてはどのようにお考えか、お聞かせください。

〇宮村市街地整備部長
 現実に高層ビルを含んだ避難場所というものを指定しておりますので、そうした際の検討に当たりまして、東京消防庁や防災を専門とする大学教授など学識経験者などによる専門的検討を行いまして、避難場所の安全性について検討し、指定を行ってきております。

 高層ビルからのガラスの落下につきましては、現在建築されておりますビルの窓ガラスは柔軟性のあるとめ方をしているため、安全は確保されているというふうに考えており、震度七を観測いたしました阪神・淡路大震災でも、こうしたビルにつきましては特に問題は生じていないというふうに聞いております。

 また、火災旋風につきましても、専門家からいまだ確立された学説がないというふうに聞いておりますが、今後とも専門家の意見や最新の情報を踏まえまして、安全な避難場所の確保に取り組んでまいります。

〇吉田委員
 そして、この区域内には中学校が現存しておりまして、今回の計画におきましても、別の中学校と統合した新設校を設置するという計画になっております。この新設中学校につきまして、例えば日照とか、良好な環境をいかに守っていけるか、この点について、昨年三月に国から示された土地の処分方針では、この中学校の南側に国の宿舎用地というものが位置づけられております。
 この用地の使われ方によっては、中学校の良好な環境の確保、こういうものが懸念されるわけでございますが、東京都としてはどのような対策を講じるお考えなのか、お聞かせください。

〇野本都市づくり政策部長
 中学校に対する日陰、日影などの周辺環境への影響につきましては、今後、都が地区整備計画を策定していく中で事業者の土地利用計画を適切に誘導しまして、良好な環境の形成を図ってまいります。

〇吉田委員
 最後に、この地区計画におきまして、駅からの入り口部分のところが、NTTあるいは税務署というものがございまして、中に入っていくアクセスに際して大変な交通のアクセスの障害となるような、クランクのような形で道ができ上がるような形になっております。
 この計画の中に位置づけるものではございませんけれども、この計画を契機に、中野区としては、中野駅周辺、北口あるいは南口も含めてまちづくりを新たにやっていこうということでございますので、今後の中野区の計画がだんだんとでき上がってまいります際には、交通の利便性やあるいはにぎわいや、さまざまな要求を満たす上でネックとなるようなことについて区からいろいろと要望等があった場合に、東京都としてぜひ特段のご配慮、ご支援をいただきますようにお願いを申し上げて、私からの質問を終わります。