都市整備委員会 (木造住宅密集地域の整備促進について)
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2006.11.02 : 都市整備委員会
○ 吉田委員 私からは、まず防災まちづくりの観点から、木造住宅密集地域の整備促進についてお伺いをいたしたいと思います。 私は昨年十二月、第四回定例会の本会議におきまして、木造住宅密集地域に対する防災対策への東京都の取り組みについて質問をいたしました。 その後の都のお取り組み状況について、改めて何点か質問をしたいと思います。
ことし五月に発表されました首都直下地震による東京の被害想定によりますと、東京湾北部を震源とした地震の際の火災による死者は、最悪の場合約三千五百人にも上るということで想定をされております。そして、私の住む中野区は、日本全国の自治体で最も人口密度が高く、木造住宅も密集しており、その被害想定では、区内の面積の約三割が焼失するとされており、この木密地域の早期の改善が切に望まれます。 そこでまず、中野区内におけますこれまでの木造住宅密集地域の整備事業の実績について、お伺いいたします。
○ 座間参事 中野区内におけます木造住宅密集地域の整備事業実態についてでございます。 都は、防災都市づくり推進計画におきまして、震災時に甚大な被害が想定される地域を整備地域として二十七地区、約六千五百ヘクタールを指定しておりまして、防災都市づくりの施策を推進しております。
このうち、中野区内におきましては、南台地区や大和町、野方地域など、約三百九十四ヘクタールを整備地域に指定しておりまして、現在区において、南台一、二丁目地区、南台四丁目地区、平和の森公園周辺地区の三地区約九十七ヘクタールを対象にして、木造住宅密集地域整備事業、いわゆる木密事業を実施しております。
また、規制誘導策といたしまして、地区計画や整備地域ほぼ全域への新たな防火規制の区域指定など、重層的に事業を展開しております。 平成十七年度末までの木密事業による実績といたしまして、避難路や緊急車両の進入路となる生活道路などの用地取得約五千九百平方メートル、老朽木造住宅の不燃化建てかえ約四百戸、それと、従前居住者用のコミュニティ住宅二十六戸の建設などを行っております。
○ 吉田委員 ありがとうございます。この木密事業は権利者の発意に基づいて行われる事業でありますことから、地元住民の防災意識の高揚と事業に対する協力がもちろん不可欠でありまして、整備を円滑に進めるためには、東京都と区、地元住民の連携が重要だと認識をしております。 都はこれまでも区に対する財政的支援や技術的支援を行ってきているとしておられますが、事業を推進するためには、地元住民の防災意識の高揚をさらに図っていくことが重要だと考えます。改めてそのお取り組み状況について伺います。
○ 座間参事 地元住民の防災意識の高揚についてでございます。 委員ご指摘のとおり、木密事業は建築物の建てかえに合わせ、道路の拡幅や不燃化、共同化を進めていく事業であることから、防災都市づくりに対する住民の理解と協力が不可欠であり、そのためには住民の防災意識の高揚を図ることが重要でございます。
このため都は、地域危険度や避難場所、避難道路などの防災情報を、インターネットや広報媒体などを活用して、広く住民に周知するとともに、地元区が効果的に施策を展開できる環境づくりのため、不燃化、共同化を進める各種事業や地区計画などの規制誘導策に関する技術的な支援を行っております。
平成十九年度には新たに地域危険度の公表を予定しておりますが、今後ともあらゆる機会をとらえて、防災に関する的確な情報を積極的に提供し、区と連携しながら、地元住民の防災意識の高揚を図ってまいります。
○ 吉田委員 ありがとうございます。冒頭に事業の進捗情況についてお伺いをいたしましたけれども、率直にいって、いつ起こるとも知れない大地震に備えて、整備のさらなるスピードアップを図っていく必要があるのではないかと考えます。
昨年の四定で申し上げた質問に対しまして、東京都は、建物の共同化を推進するための仕組みの構築や国に対する補助メニューの拡充要望など、制度の改善にも積極的に取り組んでいるとのご答弁がありました。木密地域の整備事業を推進する上で、事業の重要な柱の一つといえます共同化による不燃化を促進していくため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○ 座間参事 建築物の共同化による不燃化の促進についてでございますが、木密地域におきましては、土地や建築物にかかわる権利関係が輻輳していること、また、道路に接していない狭小な敷地が存在することなど、円滑な建てかえが進まない多くの課題を抱えております。
これらの課題を克服し、木密地域における建築物の共同化を推進するためには、従来の木密事業を推進するとともに、新たな事業手法として、街区単位で老朽建築物を除却し、防災性を備えた建築物の共同化と道路、公園などの公共施設の一体的整備が可能な防災街区事業などを活用してまいります。
また現在、木密事業で建築物を共同化する場合の補助要件の緩和などを国へ要望しているところでございまして、今後とも共同化の促進に向けた制度改善に努め、区が積極的に事業展開できるよう取り組んでまいります。
○ 吉田委員 ありがとうございます。都の積極的なお取り組みによって、私どもの中野でも災害に強いまちづくりがより一層スピードアップして進んでいくことを期待いたしまして、次に質問を移らせていただきます。 ___
次に、現在、東京都が総合的な治水対策の一環として進めている雨水流出抑制対策について伺いたいと思います。 先ほど質疑もございましたので、若干認識については省略をいたしますけれども、昨年九月四日の集中豪雨では、神田川流域を中心に、都内で六千戸に近い浸水被害が発生して、私もその現場で大変に驚くと同時に、被害を受けた方に本当に心を痛めたわけでございます。
当然その原因としては、一時間当たり一〇〇ミリを超える記録的な集中豪雨が非常に長く続いた。そのことが直接的な原因だと思いますが、いろいろご指摘がありますとおり、神田川など都市の河川の周辺の状況として、土地がコンクリートなどに覆われて、雨が地面にしみ込まなくなった結果、雨が一気に河川や下水道に集中してしまう、これが大きな原因となっているというふうに私も認識しております。
こうした状況を改善するために、東京都ではこれまで、都市整備局が中心となって、総合的な治水対策の一環として、雨水流出抑制対策を進めていると聞いております。 そこでまず、東京都はどのような形でこの雨水流出抑制対策を進めているのか、お伺いします。
○ 石井都市基盤部長 お答えいたします。 雨水流出抑制対策の進め方についてのお尋ねでございますが、都は、平成元年度より、神田川、目黒川、石神井川など、区部の主要八流域におきまして、総合的な治水対策暫定計画というものを順次策定いたしまして、その中で、浸透ますや防災調整池の設置などにより、一時間当たり一〇ミリ相当の雨水の流出を抑制することを長期的な目標として設定いたしまして、雨水流出抑制対策に取り組んできてございます。
○ 吉田委員 ありがとうございます。 神田川など八流域において、雨水流出抑制について目標値を設定して、対策を推進しているということでございますが、総合的な治水対策暫定計画を策定済みの八流域、特に妙正寺川、江古田川などを含めた神田川流域における雨水流出抑制対策の実績についてお伺いをいたします。
○ 石井都市基盤局長 総合的な治水対策暫定計画を策定済みの神田川、石神井川など八流域における対策実績の合計でございますが、これは平成十七年三月末現在、浸透施設と貯留施設を合わせて百五十八万立方メートルとなっておりまして、これを二十五メートルプールをますといたしまして換算いたしますと、約五千三百杯分に相当する量となっております。
そのうち、妙正寺川、江古田川などを含む、お話の神田川流域における実績は、浸透施設と貯留施設とを合わせまして、約五十九万立方メートルでございまして、二十五メートルプールに換算すると、約二千杯に相当する量でございます。
その効果は、一時間当たり一〇ミリ相当の雨水をカットするという目標に対しまして、二十三区内八流域全体の平均で見ますと、二・六ミリ分に相当いたします。八流域のうち神田川流域だけについて見ますと、三・一ミリ相当分の雨水流出抑制効果があると推計してございます。
○ 吉田委員 ありがとうございます。もう少し詳しく神田川流域における雨水流出抑制対策についてお伺いしたいんですが、貯留施設と浸透施設と、それぞれの対策の実績についてお教えいただけますでしょうか。
○ 石井都市基盤部長 雨水流出抑制対策は、繰り返しになって恐縮でございますが、貯留施設と浸透施設、二つあるわけでございますが、それぞれの対策実績ということで、ただいまお答えしました神田川流域における雨水流出抑制対策の実績量である合計五十九万立方メートルの内訳は、浸透ますや浸透管、透水性舗装などの浸透施設による対策量が約三十四万立方メートル、ビルの下などに設置いたします雨水貯留槽など貯留施設による対策量が約二十五万立方メートルとなってございます。
○ 吉田委員 ありがとうございます。半分以上が浸透施設による対策量ということでございまして、私はこの抑制対策の中でも浸透施設を設置することによって、健全な水循環を回復して、水害を軽減することがとりわけ重要な対策と考えておりますものですから、これは私は非常に喜ばしいというふうに受けとめております。
そして以前、中野区におきましても、平成十三年度まで個人住宅への浸透ますの設置に関して助成を実施しており、東京都も区の助成制度に対して補助金を出しておりました。この都の補助金について、同じく平成十三年度に廃止されたところではございますが、最近の浸水被害の状況を考えると、復活をご検討いただくべき時期に来たのではないかなと私は思っております。
これまでの都市整備委委員会でのご議論もあったようでございますけれども、今後、東京都の浸透ます設置に関する補助金の復活などによって、雨水流出抑制対策をより一層推進すべきだと私は考えますが、ご見解を伺います。
○ 石井都市基盤部長 お話にありますように、近年、都内では一部地域において、非常に一部の限定した地域ではございますが、局所的かつ短時間に降る集中豪雨が増加しておりまして、雨水流出抑制対策の重要性は今後より一層増してくる、このように認識してございます。
このため、本年五月に、学識経験者などから成る豪雨対策検討委員会を立ち上げまして、豪雨対策のあり方について、雨水の流出抑制対策も含めまして、検討を進めております。今後、本委員会からの答申を踏まえまして、都として豪雨対策に関する基本方針を策定していく所存でございます。
○ 吉田委員 ありがとうございます。早急に基本方針を策定していただいて、ぜひその中に浸透ますの設置等についてもご検討いただければと思います。 そして、このほかにも、例えば公園や緑地の整備の推進によって浸透量を多くすることや、河川とその近くの公園、緑地を一体整備することによって、調節池の機能を持たせることをご検討いただきたい。
この中で、私は都市整備局が平成十八年一月に策定をされましたみどりの新戦略ガイドライン、これは本当にすばらしいなと思っておりまして、ここの施策の中の一つで、豊かなネットワークに寄与する環境軸の形成という項目でございます。 道路、河川、公園などの骨格となる主たる都市施設の整備等を契機にして、沿道や沿川などの周辺のまちづくりを一体としてとらえて、緑豊かで、広がりと厚みを持った良好な都市環境を形成していく、こういうものを形成するんだという施策、すばらしいと思います。
これにぜひ治水とか親水、こういう意味の観点も盛り込んでいただいて、豪雨対策検討委員会におきましても、みどりの新戦略ガイドライン、これとも非常に強い連携を図っていただきながら、施策を打ち出していただきたいなと念願する次第であります。
中野は、皆さんご存知のとおり、二十三区内で都立公園と海上公園がない二つの区の一つでございまして、これは中野区と豊島区であります。 そして、豊島区には雑司ケ谷の墓苑がございまして、これも緑地に類するものだとみなすと、何と都立の緑地に関する施設がない唯一の区でございまして、私は寂しい限りだなと思っているのですが、先ほどの質疑でもありました都市計画的な手法とか、そういうものも含めて、あるいは河川法に基づいた対策となると、建設局さんの所管となるのかもしれませんけれども、例えば妙正寺川と一緒の善福寺川の上流には善福寺公園とか和田堀公園というすばらしい公園がありますが、ここまでは夢物語になってしまうかもしれませんけれども、例えば妙正寺川沿川、百年後にはすばらしい親水公園ができるような、例えば先ほどの木密事業のときのスキームでつくっていただいておりますような共同化とか高度化、こういう手法も利用するような、いうならば防災親水街区整備事業のようなことも将来ご検討いただきたいな、これは念願というか、そういうことも希望いたしまして、親水、治水対策が進むことを強く期待し、要望いたしまして、質問を終わります。
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