石原都知事の尖閣諸島購入表明についての吉田康一郎の見解

                                               平成24年4月19日

                   東京都による尖閣諸島購入についての見解

                                          東京都議会議員 吉田康一郎

 4月16日、石原知事が、東京都による尖閣諸島の購入の意思を表明した。
 本件について、現下の内外情勢を踏まえ、全面的に賛成する。

 尖閣諸島はあらゆる観点から見て日本の確固たる固有の領土であるが、中国政府は、1971年から突如、領有権を主張し、国内外において宣伝工作を行うのみならず、増強を続ける軍事力による示威、恫喝をはじめ、我が国に対し様々な圧力を強めている。 
 旧自民党政権も現民主党政権も、外交・安全保障に関する基本的な認識と判断を誤り続け、唯々諾々と中国の老獪な言辞に従い、自衛隊を駐留させることはおろか、島に国民が上陸する事すら妨げ、港や構造物を建築することもせず、何ら実効支配を強化することをせず、中国の度重なる主権侵害行為に対しても、事態が悪化することを放置して、意図的に事無かれ主義の無為無策を続ける、亡国・売国的な不作為を続けてきた。
 報道によれば、島の所有者が、政府をはじめ中国や民間人など様々な売却の打診を断り続けてきたが、今般、石原知事ならば島を守ってくれるとの期待の下、東京都に島の売却の意向を示しているとのことであり、国の将来を憂うる国民、都民、一議員として大いに歓迎する。

 もとより東京都は、我が国の首都として経済、文化、情報その他様々な機能が集中集積し、多くの大企業も本社を置き、国全体の経済活動の果実が、東京において都税という形でも徴せられている。
 東京都民の福祉の向上は、国全体の安全という基礎の上に、国内各地域の自由闊達な、外国からの不当な制約や圧力を受けない国民各層の活動の上に成り立っている。
 被災地からの瓦礫の受入れも、都民のメリットの計算ではなく、被災地の復興支援による我が国全体の利益を考えての施策である。
 我が国政府が、旧自民党政権以来、愚かな外交、経済、財政をはじめ諸政策を長年にわたり続けてきたツケとして、巨額の財政赤字を抱え、実施すべき政策と講ずべき財政措置にも及び腰である中、都は堅実な財政運営を続け、全国自治体で最も健全な財政状況にあり、財政余力がある。
 税には、応益、応能の2つの考え方があるが、応能負担という考え方から、都が、尖閣諸島を購入し、下述の通り島を活用する事で期待できる都民及び国民全体の利益は、実効支配の強化という実と相まって、島の購入費を遥かに凌駕する大きなものであると認識している。

 日本の当然の排他的経済水域である「東シナ海の日中中間線以東の水域」における、海洋・漁業資源、天然ガスをはじめとする地下資源、自然エネルギー資源、島周辺の自然等の観光・レジャー資源その他を開発・利用していく為の、最前線の拠点として整備するとともに、それらの権益をはじめ国防の最前線を担う堅塁として万全の機能を果たすべく、自衛隊を常駐させ、各種防衛施設を整備し、自衛隊、海上保安庁の活動拠点として活用していくべきである。
 特に、絶滅危惧種のセンカクモグラをはじめとする固有種の保護を含め、自然保護地域として保全し、自然公園として活用していくことも重要である。

 主権の堅持並びに島の保全という基本的な理念に基づいて事業を行うナショナル・トラストの様な団体を設立し、その趣旨に賛同する者に寄付を募りつつ、島の一部の土地を購入・管理していく、そのような仕組みを活用していくことも有用ではないかと考える。

以 上