公営企業会計決算特別委員会第2分科会 (水道水の水質の安全性等について)

2005.10.24 : 平成16年度_公営企業会計決算特別委員会第2分科会(第2号)


◯吉田委員
 私からは、水道水の水質の安全性その他について、幾つかご質問申し上げます。
 水道局ではかねてより、安全でおいしい水の安定的な供給を重点施策に位置づけて事業を進めておられ、敬意を表する次第です。平成十六年度からは、安全でおいしい水プロジェクトを立ち上げて、一層の水質向上の施策に取り組んでおられますことを、これも評価をさせていただきたいと思っております。
 
 我が党といたしましても、都民が毎日飲む水道水の安全性と品質、これについては大変重要視しております。これまでもさまざまな質疑を行ってきたところでございますが、本日は、これまでの質疑を踏まえながら、改めて水道水の安全性と水質の管理体制について質問申し上げます。

 まず、アスベストについてでございます。
 今、アスベストの健康への影響が大変な社会問題となっております。その中にあって、水道管についてもアスベストが含まれている管という、あるいはアスベストが含まれているとの報道がございます。東京都では、昭和四十三年以降アスベスト管は使用していないと伺っておりますが、過去に布設され、また現在も使用されている管があると伺っておりますが、現在使用されているアスベスト管はどの程度残っているのか伺いたいと思います。


◯滝沢給水部長
 石綿セメント管、いわゆるアスベスト管につきましては、従前から、震災対策及び漏水防止対策といたしまして、取りかえを進めてまいりました。区部では平成十四年度までに取りかえを完了しております。多摩地区では、水源から浄水所までの導水管に約二十七キロメートル、給水所から給水区域内に水を配る配水管に約八キロメートル残っております。


◯吉田委員
 区部では平成十四年度に解消しているけれども、多摩地区では約三十五キロメートル残っているとの答弁でございました。導水管二十七キロ、配水管八キロ、残存されていると。これはどういう計画で解消される予定なのか、改めてお聞きしたいと思います。


◯滝沢給水部長
 多摩地区に残っております石綿セメント管につきましては、導水管、配水管とも計画的に取りかえを進めているところでございます。おおむね平成十九年度には取りかえが完了するものと見込んでおります。


◯吉田委員
 平成十九年度中に解消ということをお聞きし、安心しますとともに、より急いでこの解消に取り組んでいただければと思います。一部では、水道水中のアスベストが危険であるというふうに報道している報道機関もございます。このような報道を都民が耳にしますと、水道水の安全性に不安を感じてしまうことになりますし、ひいては水道局に対して不信感を抱きかねないと思うのでございます。

 これまでの質疑でも安全性についてはお伺いしていると思いますが、改めて、水道水中のアスベストの安全性についてご説明をお伺いしたいと思います。


◯田口浄水部長
 水道水中のアスベストの安全性でございますが、厚生労働省では、アスベストは経口摂取に伴う毒性は極めて小さく、水道水中のアスベストの存在量は問題となるレベルにないことから、水質基準の設定を行わないとしております。
 
 また、世界保健機関でも、飲料水中のアスベストについては、健康影響の観点からガイドライン値を定める必要はないと結論できるとしております。
 さらに、米国の環境保護庁の第一種飲料水規則では、十マイクロメートル以上の長さのアスベスト繊維が水道水一リットル当たり七百万本以下と規定しておりますが、以前に実施いたしました都内の水道水の検査結果では、十マイクロメートル以上の繊維は全く検出されませんでした。
 
 これら国内外の関係機関の見解と検査結果から、水道水中におけるアスベストについては健康への影響はなく、安全上問題ないと考えております。


◯吉田委員
 水道水中のアスベストが健康に影響がなく、安全上問題ないとのご答弁をいただきまして、安心をいたしました。
 先ほど申し上げましたとおり、それでも、科学的知見をなかなか知り得ない都民としましては、アスベスト管というものに不安を抱く向きもございますので、なるべく早く撤去を進めていただきたいと思います。
 
 また、撤去するとなりますと、アスベストの飛散が問題となります。本年の七月には、石綿によります健康障害防止対策の充実を図るために、労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則が施行され、アスベスト管の撤去作業に当たっても適切な対応が定められております。撤去に当たっては規則に定める手続を遵守し、作業員はもとより、周辺住民に被害が発生しないように万全の対策をとっていただくよう、強くお願いを申し上げます。
 
 次に、鉛についてでございます。
 鉛は体内に蓄積性があり、危険性の高い毒物でありますことから、水質基準は従来〇・〇五ミリグラム・パー・リットル以下でございましたが、乳幼児への影響が懸念されたことから、平成十五年四月に〇・〇一ミリグラム・パー・リットル以下に強化をされております。
 
 東京都では、昭和五十五年以降、給水管の材料として鉛管は認めていないとのことでございますが、過去に布設された鉛管の給水管がいまだ多く残っていたことから、水道局では積極的に解消を進めておられると聞いております。
 
 そこで、鉛管の給水管解消の進捗状況と今後の予定について、確認のためお伺いいたします。


◯滝沢給水部長
 鉛製給水管の取りかえは、従前から、漏水防止対策として積極的に進めてまいりました。このことに加えまして、平成十五年度に鉛の水質基準が改正されることを踏まえまして、さらに取り組みを強化いたしました。その結果、公道部につきましては平成十四年度末までにほぼ取りかえを終えております。
 
 しかし、私道及び宅地内メーターまでにつきましては、平成十六年度末で、私道に約六千件、宅地内メーターまでに約十九万件が残っていると推計しております。これらの鉛製給水管につきましては、平成十八年度末までに解消を図ってまいります。


◯吉田委員
 計画どおり解消を進めておられるというご答弁でございますが、確実に、なるべく速やかに解消をするように進めていただきたいと申し上げます。
 
 そして、水道局が主体で取り組みを進められます宅地内メーターまでの取り組みにつきましては、解消のめどが立っているわけでございますが、我々は、メーターから宅地内の水道管を通して蛇口から出た水を飲むわけで、宅地内までが解消したからといって、それ以後の部分を考えれば、水道局の役目が終わるわけではないと思っております。引き続き水道局におかれては、都民に、鉛管の宅地内あるいは私道部の取りかえや水道使用時の注意の呼びかけ、これを進めていく必要があると存じます。
 
 そこで、宅地内の鉛管残存の状況把握と今後の対応、お取り組みについてお伺いいたします。


◯滝沢給水部長
 水道局では、昭和五十五年に、宅地内で新たに配管する場合、鉛製給水管の使用を禁止いたしましたが、現在も残っているところがございます。宅地内のメーターから蛇口までの間に鉛製給水管を使用しているお客様は、局の保有する資料から、平成十六年度末で約六十万栓と推計しております。
 
 これら鉛製給水管を使用しているお客様に対して、平成十三年度には、個別に水使用時の注意事項についてお知らせするとともに、他の管種への取りかえについて検討を勧める広報を行いました。
 
 この件につきましては、それ以降におきましても、継続して広く一般のお客様に対しまして、広報紙や局ホームページ及び検針票の裏面等で同様の広報を行っております。
 
 今後も効果的な広報を継続してまいります。


◯吉田委員
 末端の蛇口に至るまでの水質を適正に管理していただく観点から、ぜひ引き続きの強力なお取り組みをお願い申し上げます。
 そして、都民の健康に直接的にかかわります水道水の安全は水道局の責務でございます。水質に関しては、今ご質問したアスベストや鉛以外にも、ダイオキシンや環境ホルモンあるいは農薬、こういうものも問題視されているところでございます。また、今後、これまでにわかっていない水質に関する新たな問題も発生するかもしれません。
 
 こうした観点から、水道水の水質管理の強化が必要ではないかと考えております。そこで、水道局の水質管理のお取り組みの現状についてお伺いいたします。


◯田口浄水部長
 当局では、平成十六年度から水質検査計画を策定いたしまして、これに基づいて、水源から蛇口まで定期的かつ精度の高い水質検査を行うとともに、都内百二十三カ所の給水栓に自動水質計器を設置いたしまして、水質を常時監視するなど、水質管理の徹底を図っております。
 
 また、多種多様な農薬につきましては、水源流域における使用実態などから、毎年対象物質を選定いたしまして、きめ細かい検査を行っております。さらに、水質検査計画に基づく検査のほか、特に毒性が強いとされておりますダイオキシン類につきましては、浄水場の原水、浄水を定期的に検査し、安全の確認をしております。同様に、内分泌攪乱化学物質、いわゆる環境ホルモン等につきましても検査の強化を図っております。
 
 平成十六年三月には、水質検査の信頼性に関する世界的規格でございますISO/IEC一七〇二五の認定を取得いたしまして、水質検査結果を客観的に保証するとともに、都民への説明責任を果たすなど、充実を図っております。
 
 今後とも、お客様に安全な水道水を供給するよう、精度管理と技術力の向上に努め、水質管理に万全を期していく所存でございます。


◯吉田委員
 今後とも新たな科学的知見なども積極的に取り入れていただきながら、水質管理に万全を期していただきたいと思います。
 これまでのご答弁で、都民が安全に水道水を享受できるということを理解したわけでございますが、安心して飲めるという観点からも、今のようなお取り組みも含め、積極的にPRをしていただくということをお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。